教育は鎧〜コンドリーザ・ライス(先々週のThe Daily Show)

いかん、やぱい。気がつけばブログエントリーが「X月X日のつぶやき」ばっかりになってる!たまにはちゃんとブログ書かないと。

考えているネタは常々あるのに、どうして書けないのかねー。こんなにつぶやいてるんだから、暇がないわけじゃないのに。

まあそういうわけで、最近のThe Daily Showから、印象に残ったゲストを。ブッシュ政権国務長官コンドリーザ・ライス氏です。

The Daily Show with Jon Stewart 2010/10/13 Condoleezza Rice

ライス氏といえば、ブッシュがホワイトハウスを去った時から、いつかThe Daily Showのゲストに来てほしいなと思っていた人でした。だって、ブッシュ自身はもちろん、チェイニー副大統領もカール・ローブも、たぶんデイリーショーには来てくれないでしょうからね...ブッシュ政権の幹部で、デイリーショーに来て話をしてくれそうなのは、コンディ・ライスしかいないと思ったのですよ。

しかし、今回のインタビューは(ちと)残念なことに、その決断に彼女も深く関わっていたイラク戦争の話も、愛国者法の話も、グアンタナモの拷問の話もナシでした。

というのは、今回ライスさんは本を出したのですが、それは彼女の生い立ちと家族に関する本で、ブッシュ政権でのことは何も書いていないからです。今回はこの本のプロモーションの一環なので、たぶんそういう条件でゲスト出演OKしたのでしょう。

ライス氏は、次回作ではブッシュ政権での経験を書いた本を出すので、その時はまたゲストに来てその話をしましょう、と約束しているので、まあ次のお楽しみ(?)ということで。いつになるか分かりませんけどね。

とはいえ、彼女の生い立ちの話は、それはそれで非常に興味深く感動的なものでした。

ライスさんは1950年代、南部のアラバマ州の生まれ。当時のアラバマ州は、全米でも最も人種差別の激しいところでした。そういうところで黒人家庭の娘として生まれた彼女が、大学教育を受けて博士号を得て、ましてや国務長官にまでなるなんて、それがどんなにものすごいことなのか、改めてしみじみと感じられます。

どうして彼女がここまで来れたのか、それは彼女の家族が「教育は鎧」だと考えていたからだ、と彼女は言います。

彼女のおじいさんは貧乏小作人の子供だったのですが、ある日「大学へ行きたい」と思い立ち、黒人でも行ける大学はないかと人に聞いて、当時黒人を受け入れていた数少ない大学に入学。でもじきにお金がなくなった。それでまた人に聞いて、「奨学金」というものがあると教えられた。で、どうやったらその奨学金をもらえるかと聞いたら、長老派教会の牧師になるならもらえる、と。そこで彼は、「そうですか。ぼくは前から、長老派教会の牧師になりたいと思っていたのです。」それ以来、彼女の家族は長老派になったと(笑)。

彼女が育った頃のアメリカ(特に南部)はまだまだあからさまで制度的な人種差別があったし、今だって差別は残っていますが、それでも才能があって、もう、ものすごーーく努力する人々には、ちゃんと最高の教育への道が開かれているというのはいいことだなあ。オバマ大統領夫妻だって、貧困家庭の出身で最高学府まで行きましたからね。

彼女の国務長官としての任期の間にブッシュ政権がやったことには、もちろん色々言いたいことがあるのですが、こうして話を聞いていると、彼女自身の人間性は本当に信用できるような気がするのです。だからこそ、複雑な気持ちになるのですけどね。