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2009-08-31

総合職女性の多くは管理職になりたくないと考えている、というのは本当だろうか。

http://www.esri.go.jp/jp/archive/bun/bun190/bun181b.pdf

総合職女性の管理職希望に関する実証分析

─均等法以後入社の総合職に着目して─

by 安田宏樹氏(慶應義塾大学大学院経済学研究科博士課程)

を読んだ。

著者の結論はこうだ。


まず、本稿の分析から得られた重要な結果は、均等法以後に入社した総合職女性においても、その多くは管理職に就くことを希望していないことが確認されたことである。現時点では、管理職に「なりたい」と考える総合職よりも管理職に「なりたくない」と考える総合職の女性の方が多い。

この結論がどうしてもひっかかった。この結論を否定したい、この結論が多くの人の目に触れて、総合職女性は管理職を望んでいないんだ、という短絡した解釈をされるのがいやだ、という感情に支配された。

私はこの論文で詳しく述べられている分析の過程をよく理解した上で、結論に異論を述べているのではない。ただ、データの示すところはたとえそうであっても、管理職になりたくない、と回答した背景に思いをはせたとき、この結論の一人歩きは誤解を生みやすいと思うのだ。

もし男性に対する管理職希望調査だったらどうだろうか。

総合職の男性は、9割以上が、多少の時期のばらつきはあっても、管理職の候補になるだろう。それがあたりまえの職場にあって、「あなたは将来管理職になりたいですか」と聞かれ、「なりたくない」と答えた場合、それは100%本人の意思、志向と考えてよいと思う。普通にしていればなれるのに、なりたくない、というのだから、その理由は本人の考え方に起因すると言ってよい。

では、総合職女性の場合はどうだろうか。

たいていの場合、知っている範囲で女性の管理職はいないか、非常に少ない。同期の中でも女性はもともと1割から2割で、その中で辞める人もいるから管理職にまでなる人は数%ではないか。

そういった状況の中で、「なりたくない」と答えた場合、それは100%本人の意思、志向と考えてよいだろうか。

この場合の「なりたくない」には、管理職になることそのものとは関係ない要素、つまり

・社内でレアケースとして(ものめずらしさも手伝って)何をやっても必要以上に注目されそうでいやだ

・女性の一般職や派遣、パート社員から仲間はずれにされたらいやだ

・必要以上に期待され、失敗が許されないに違いない

・男性総合職から足をひっぱられる、ねたまれるかもしれない

などという要素が入っていることが想定されるのである。ここにあげた4つの例は、男性が管理職になりたいかと聞かれて答えるときには、たぶん全く頭に浮かんでこないことに違いない。


したがって、安田氏の結論はこんな風に言い換えることができるかもしれない。


「現時点では、ものめずらしさから注目をあびたり、必要以上に期待されたり、バッシングがあったりしても、あえて管理職になりたいと思う総合職女性よりも、それらを気にして管理職になりたくないと思う総合職女性の方が多い。」

どうだろうか。むしろ、なりたくない、という反応のほうが正しく見えてこないだろうか。

「なりたくない」、の背景は、上位職に対するキャリアアップの意識が薄いとか、上昇志向がないとかいうレベルの問題ではない。管理職になると、自分なりのやり方で、これまで通り周囲と協力しながら働くことができなくなり、孤立するのではないか。その不安が「なりたくない」と答えさせているのだ。


調査データの中に、調査対象者の職場に女性の管理職が多いか少ないかというパラメータがもし存在しているのであれば、それによる分類をすることで、上記の仮定があっているかどうかがわかると思う。

ここで述べたことは、あくまで想像、私見であって、データから導かれた結論ではないことを、重ねて強調しておく。

今後、さらなる分析結果を期待したいと思います。

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