傘の花

  

こんにちは、キャルです。

Sydneyは本当に雨が続きますね。やっと晴れてくれて何よりです。

ただ、恵みの雨とも言いますが、日本の雨の方が優しかったように、今でも感じます。

今回は「誰かと一緒にいる」という事について書こうと思います。

宜しければ、リラックスしてお読みください。

http://www.youtube.com/watch?v=s_wRkVEwU-w


日本にいた時、私は傘をさす習慣がありませんでした。勿論それは仕事の状況や、服装にもよったわけですが、傘をさすより寧ろ、雨に濡れる道路や、雨粒や、温度や、普段とは違う光の加減を見る方が数倍楽しかったからです。

なので、こっちに来てどこかホッとする瞬間があります。

ホントに楽しそうに雨を受けながら、行き交う人を見かけた時。

たしかに、険しげに眉を寄せる人も見かけるのですが、「なんて雨は美しいんだろう」という表情をしながら歩いている人を見かけると、どこかホッとします。

――自分と同じように感じる人がいるんだ。

こう感じると、夕暮れの家路で、どこかの家でカレーを作っている匂いをかいだ時のような、ホッとした気持ちになります。

日本ではそんな人がいなかったので、私はよく、雨の日はビルの上から人々の行き交う姿を見ていました。

最近はコンビニのビニール傘が増えてきたのであまり映えないのですが、行き交う人々がそれぞれの彩りの傘をさし、まるで傘の花が咲いたように見えるからです。

ノハラナデシコのような子供用の小さな傘。オリエンタルリリーのように、上品な大人の雰囲気をまとった女性の傘。ガマズミのように落ち着いた紺の傘。見るも華やかなカンゾウのような傘。寄り添いあうカラーのような傘。

槇原敬之の曲がどこからか聞こえてきそうですが、まさに千差万別。それぞれが好みに合った傘の花を咲かし、歩いていく姿はノスタルジックで、「誰かと誰かがいっしょにいる」ということを強く感じました。

プラトンの洞窟の例えでもないですが、傘で作られた風景なだけに、現実世界をよく表しているよう感じたのです。

まだちょっとぎこちない2つの傘。大きな相合傘。2つの傘と、1つの小さなこども傘。つっぱっていてもさびしげなビニール傘。

傘の中に無理やり入られようとすれば、人間だれしも嫌悪感が先に立つものです。

でも、いっしょに2つの傘で歩いていく方法も、傘のない人にさしかける方法も、立ち止まった人と少しの時間いっしょにいる方法も、いろいろあります。


大切なのは、「いっしょにいる事」。

たまに離れても、1人で歩きたい時があっても、1人で立ち止まっても、相合傘も、なんでも良い。

2人でゆっくり時間をかけて歩いていくことも、試してみませんか?