KyojiOhnoのブログ

作曲家、編曲家、ピアニストそして製作会社の経営者ですが、ここでは音楽以外の社会一般のことの雑感について書きます。

「新自由主義の幻想」の分析ー勝ち組でもない若者たちの小泉支持メカ

格差社会、弱者の切捨て、金持ち優遇、こんな政策を行った人物がなぜ、いまだにこんなに支持されているのか。不思議で仕方がなかった。

しかしブログでそこのところを非常に的確に分析した記事を見つけて、なるほど小泉のペテンのメカニズムが見えてきたような気がする。かなり前に書かれた記事のようだがあまりにも的確に分析しているように見えるので勝手ながらリンクを貼らせていただく。

キーワードは「何故、エリートでも勝ち組でもない若者たちが、小泉自民党を支持したか?」

それは
「敗者・弱者ほど甘い夢を見る」

からである。

■「若年層小泉支持」の背後にある新自由主義への幻想?(1)
http://komichin.blog80.fc2.com/blog-entry-4.html#more

 十年ほど前……私がちょうど就職活動をしていた頃には、「外資就職ブーム」が起きた。簡単に言えば、「年功序列など旧態依然として息詰まった日本企業より、実力主義外資系企業を目指そう」という流れである。外資系企業の就職セミナーなどが開かれたら、多くの学生たちが「外資実力主義=公平=かっこいい」というイメージに惹かれて集まってきた。しかし現実の外資系企業は、彼らが思っていた以上にはるかに過酷なものであり、日本企業以上にきつい仕事をほとんど休みなしでやらされるという話はしょっちゅう。さらに、「実力主義」とは言っても、内実は彼らが思っていたほど公平でもなく、上司の権限が非常に強力なため、日本企業以上に上司へのゴマスリが行われているらしい。これらの事実は、エコノミスト森永卓郎氏など多くの人々によって、現在では次第に世に知られてきている。
 さらに、近年の「ベンチャー」や「起業」ブーム。「自分も経営者になれる!」という夢を見せられて、事業を起こそうとしたのだが……現実に成功しているのは、ごく一部であり、圧倒的多数の人々はうまくいかず(ひどいのになると、詐欺や闇金業者、乗っ取り屋、悪質なフランチャイズのカモにされるだけというケースも多い)、最後は全てを失って破滅に至る人が増えている。このあたりの事情は、『起業バカ』(渡辺仁著、光文社ペーパーブックス)という本に書いてあるので、興味ある人はそちらをご覧いただきたい。

 さて、「成果主義」、「実力主義」、「外資系企業への就職」、「起業ブーム」、「ITベンチャー」、そして「小泉改革」。
 こうして見ると、それらのいわば「新自由主義的なもの」によって、「負け組」になるような人たちが、そういったものに幻想を抱いてしまうというパターンが、近年繰り返されている、ということに気づく!
 冒頭の引用記事にもあったA子さんも、「一流大卒ではない」、「就職活動は思うようにいかなかった」と、少なくとも「勝ち組」ではなさそうな人が、「ITベンチャー」というものに幻想を抱いてしまった。
 しかし結局は、そういったものに裏切られ、痛い目を見て、失望し、そうしてようやく現実を理解するのだが……。
 「小泉改革」に踊らされて支持している人たちも、いつか痛い目にあって、目を覚ますのだろうか? それとも、巧妙な世論操作に踊らされたままで、最後で気づかないのだろうか? あるいは、「ゆでガエル」のたとえ話のように、慣らされすぎて不感症になり、破滅するまで気づかないのだろうか? 今の時点では、私には何とも予想がつかないが……。

この記事が書かれたのは2年前だが、おそらく「ゆでガエル」のたとえ話のように、慣らされすぎて不感症になり、破滅するまで気づかない」というのが今のところ正しいだろうと思う。

さらに
■「若年層小泉支持」の背後にある新自由主義への幻想?(2)
http://komichin.blog80.fc2.com/blog-entry-5.html#more

ここではなぜ「新自由主義」が幅広く受け入れられるような土壌になったかを説明している

当時、バブル経済が崩壊して間もない頃だった。「ジャパン・アズ・ナンバーワン」などとも言われたかつての勢いと自信はどこへやら。多くの人々が、先の見えない不安にかられていた。「土地成金」とか「株成金」とかいったバブル経済の恩恵を受けた人たちは、今まで自分たちを支えてきた幻想が崩れ、うちひしがれ、中には一挙に借金地獄へと突き落とされた人も少なくなかった。バブルの恩恵にあまり預かれなかった人々にも影響はあったが、一気に奈落の底へ落とされたバブル成金などの姿を、「やーい、ざまみろ」という嘲笑と、かつて自分たちよりおいしい思いをした者へのやっかみとが混じった複雑な思いで見つめていた。

 アメリカ型資本主義、新自由主義への幻想が振りまかれたのは、まさにそんな時であった。「これからは実力主義の時代だ。偏差値や学歴に関係なく……(以下略)」と、声高に喧伝された時、今度はそれまでバブル経済の恩恵を受けなかった層……すなわち、一般の勤労者・サラリーマンや学生・若者たちの一部がそれに飛びついた。その時の心境はおそらく以下のようなものだったのではないか?
「ほうら見ろ! あんな奴らだけがいい思いをして、俺(私)がくすぶっている時代はやはり間違いだったんだ。これからは、俺(私)にも、飛躍のチャンスがくる!」
 要するに、勝手に「自分も勝ち組になって、世の注目を浴び、いい思いができるようになる(かもしれない)」と、多くの人たち(特に若者たち)が幻想を抱いてしまった……というか、幻想を抱かされてしまったのだ。実際、バブルの恩恵からあぶれた人々や、まだ自分の可能性を信じられる若者たちにとって、その幻想は素晴らしく魅力的なものだった。アメリカ型資本主義、新自由主義への幻想を喧伝する人たちも、アメリカの資本主義がいかに自由かつ公正で素晴らしいものかを説き、日本の経済・社会を批判する時も、「アメリカではどうか」というのを基準に持ち出した。

 もっとも最近では、かつて言われてきたほど、アメリカの資本主義が「自由」でも「公正」でもないことが、エコノミスト森永卓郎氏などの識者によって、次第にわかってきている。例えば、多くの百万長者がいる影で、圧倒的多数の貧困層がいること……いや、むしろ貧困層の犠牲の上に、少数の大金持ちの繁栄がある、ということも明らかになってきた。また、アメリカの社会では、新入社員の段階から出身校で差が付けられ、一般大学の卒業者と「アイビー・リーグ」と呼ばれる名門私立大学出身者とでは、初任給だけでなく、その後の出世でも差をつけられるということも、今では次第に多くの人に知られ始めている。さらに、エンロン社の不正会計事件や、今年起こった大型台風カトリーナの災害など、アメリカ社会の矛盾を暴き出すような事件も起こってきている。
 それでも当初は、アメリカ資本主義の良い点や幻想が声高に宣伝されていたのに対して、アメリカ資本主義の不平等・不公正などの矛盾点を指摘する声は少数派だった。そういうこともあって、幻想が広がっていくのを止めることは、なかなかできなかった

■「若年層小泉支持」の背後にある新自由主義への幻想?(3)
http://komichin.blog80.fc2.com/blog-entry-9.html#more

、「何故、多くの日本人(特に若年層)が、自由主義への幻想に惑わされてしまったのか? 何故、それを見抜けなかったのか?」という問題について考えたい。


 結論から言えば、それは「無知」と「弱さ」、そして「想像力の欠落」のためである。
それは、詐欺やマルチまがい商法、怪しげなカルト集団や危ない思想などに、多くの若者がはまってしまう心理と根本的に同じである。

■「若年層小泉支持」の背後にある新自由主義への幻想?(4)
http://komichin.blog80.fc2.com/category2-1.html

上記第一の原因ー「無知」 具体的には「社会と自分自身に対する無知」について説明している。実に見事な分析で賞賛に値すると思う。

■「若年層小泉支持」の背後にある新自由主義への幻想?(5)
http://komichin.blog80.fc2.com/blog-entry-13.html#more

 「(エリートや勝ち組でもないのに)小泉自民党と小泉構造改革路線を支持した人たちは、IQが低くて世間知らず」とよく言われる。
 ネットで、特に我々のような反小泉の言説を展開する者たちの間では、「B層」という「小泉政権を支持するIQも社会的地位も低い人々」を表現する言葉も流行した。
 失礼を承知・覚悟の上で言わせてもらうと、この見方はかなりの程度当たっていると思う。だがその一方で私は思う。それだけでは、やや不十分ではないか、と。

 この世のあらゆる詐術がそうであるように、「IQの低い人は騙されやすい」のはもちろんとしても、必ずしも「教養や学歴のある人間が騙されにくい」というわけではない。それは、騙す側がつけ込む隙は「IQや教養の低さ」だけではないからだ。騙される側が持つ「心の隙(弱さ)」につけ込む場合も多い。というより、現実世界で行われている詐欺の多くは、前者の「IQや教養の低さ」よりも、後者の「心の隙」につけ込むケースの方が、おそらくは多い。一流大学の学生や医師、学者、教師、公務員や経営者など、高いIQと教養、社会的地位まである(はずの)人たちまでが、あっさりと詐欺の被害者となるという事件が頻発するのもそのためだ。
 「小泉新自由主義路線に対する幻想を振りまく」という詐術に関しても例外ではない。

さらに
■世間知らずの若者が、小泉政権市場原理主義の暴走を許している!?
http://komichin.blog80.fc2.com/blog-entry-14.html#more
最近のmixiや2ちゃんの書き込みを見ると私もこの考えに同調してしまいます。

しばらくこのシリーズ中断したようだが次の記事、いやーどれも的確で冷静な分析なので非常に読み応えがあった。

■シリーズ再開宣言! 「若年層小泉支持」の背後にある新自由主義への幻想
http://komichin.blog80.fc2.com/blog-entry-15.html#more

小泉(新自由主義)改革とは一見、「全ての人にチャンスを与え、頑張っただけ報われる」ように見えて……実は、「一部の恵まれた人々がますます富む一方で、その他大勢の人たちはますます貧しくなるどころか、チャンスさえ狭められてしまう」という不公正なものである。勝ち組でもエリートでもない人たち(特に若年層)が、小泉改革を支持するということは、実は自分自身をさらなる貧困と無権利状態に追い込むだけなく、それを挽回するチャンスすらなくしてしまうという……つまり、自分で自分の首を絞めるようなものである。

 にも関わらず、多くの人たちがそういう「自分で自分の首を絞めるような」選択をしてしまう。それは一体、何故なのか?

 この疑問について、もう既にネットでも多くの人たちが、様々な考察をしてきた。
 私もそれなりに考えたのだが、その中で私はひとつの仮説を立ててみた。
 どうも、勝ち組でもエリートでもない人たちまでもが、「自分でも勝ち組になれるチャンスを与えられる」という幻想を勝手に抱いてしまったからではないか?

確かにその通りであると思う。このブログの著者、サラリーマンの方のようだが私もしがない零細企業の経営者、非常に共感する点多々である。ブログ名は「負け犬の遠吠え日記」というそうだが私的には「パラドックス」のように感じられる。ネットのブログや掲示板の書き込みでは、はっきりいって軽率な書き込みが非常に多いが、稀にこういった参考になるブログもある。

■嗚呼、負け犬の遠吠え日記(新館)
http://komichin.blog80.fc2.com/blog-entry-15.html#pagetop

しかもこれらの幻想に加え、小泉のもつカリスマ性、メデイアの使い方のうまさ、がこの「新自由主義の幻想」とあいまってまだこの時点でも多くの人、特に主婦層と若者が支持している。歴史を見ればわかるが過去独裁者が権力の握るときの構図そのものである

私は改めて恐怖を覚えずにはいられない。

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