『鉄コン筋クリート』 

●事前情報なにもなし。「ピンポン」の松本大洋の原作マンガの映画化ということがフックとなり観ることとなった。宣伝におどらされたということか?まあ普通なら観ることの無いタイプの作品である。原作は相当の人気マンガらしいが・・・・・全然知りません。(そういうアンテナをだしていナイというだけのこと)

●アニメ!というとどうしても子供向けというイメージが付きまとう。子供を対象にしたというべきか?子供が観て大丈夫な!というべきか?そういう風に思うクセが付いてしまっている。
しかしこのアニメは激しく大人向け。全く子供には向かない。子供に見せるべきでもない。

●二人の幼い子供が主人公の話しだが・・・・暴力だらけ。

●鉄パイプで同じような子供を襲い殴りつけ街を支配する。

●出てくるサブキャラもヤクザであり、暴力団であり・・・。

●ということで最初にちょっともっていたイメージとは著しくかい離したものだということに気が付いた。
そしてこういう手合の作品は嫌いなのだということにも。

●監督がなんで?と思ったが外国人で、「アニマトリックス」を作ったマイケル・アリアスという人。
あ、なるほどね、あの気色悪い作品を作ったひとなのか、まったく同じテイストになってるなぁと実感。

●主人公シロの声優が蒼井優だとは聞いていたが、キャラクターから蒼井優が全然感じられない(良い意味で)あの蒼井優がこの声をやってるの?とは最後までイメージできなかった。別人格の完全にシロというキャラクターに変化している。口調もなにもかも。やはり蒼井優は凄いといわざるを得ない。

●最初から最後まで暴力の映画。絵は非常におもしろく、演出も特異であり秀逸。なぜか画面に惹きつけられてしまう。

●だが、最初から最後まで通して、結局この映画にはテーマがない。あるとしたら兄弟愛か? ちがうでしょう。これだけの暴力映画なんだから。

●ストーリーも唯の暴力とそれを取り巻くコネタで肉付けされているだけのお話。感動するような内容も、なにもない。

●特異な原作を特異な監督が実験的に特異な映画として完成させた。それが松本大洋の原作人気と配給の力で公開するところまできたのだが、普通ならこのテの作品はマニアックな一部の人間にのみ受けるとても劇場で全国的に公開するようなタイプの映画ではないだろう。
映像の斬新な取り組み、アニメという方式をとりながらも今までに見たことの無い新しいテイストの映像を目の前に差出してくれたことは評価できる。

●だが、何を訴えるわけでもなく、感動するわけでもなく、最初から最後まで暴力だらけでそのストーリーが流れていくだけの映画だ!

●実験映画であり、これは人に感動を与える映画ではない。そういう映画が全国公開されてCMも流れ、そこそこのヒットになる。
何を持って映画なのか? もう一度見たいという不思議な引力があることだけは確かだが、これは映画という手法を使った一作品であり、映画ではない。