月夜の梟

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2007-03-04 久しぶりに2

<読書>若者はなぜ3年で辞めるのか?

新書を読むのは1年ぶりくらいだったりします。

若者はなぜ3年で辞めるのか? 年功序列が奪う日本の未来 (光文社新書)

若者はなぜ3年で辞めるのか? 年功序列が奪う日本の未来 (光文社新書)



この1年ほど、私の勤めている事務所でも2年〜5年程度先輩にあたる入所年次の人達が本当に良く辞めるのですが、おりしもの「内部統制だ!!」「四半期開示だ!!」「不正対策だ!!」という流れの中で、監査現場を支える中核年次の人達なので、残されたスタッフ(とマネージャー)にしてみると結構深刻な事態になっていたりします。


上層部も流石に不味いと思い出しているのか、色々と対策を考えているようなのですが、いかんせん業界全体が本当に忙しくなる時期にさしかかっているため、何を考えているとしても形が示されるのはこの夏以降になりますから、それまでにまたパラパラと辞める人が出てくるのだろうな・・・と。


本の内容自体は、一言で言ってしまえばアンチ「年功序列終身雇用」なのですが、結構自分の職場にも当てはまる話なのではないかと思って、スラスラと読めてしまいました。


監査法人は基本的にいわゆるパートナー、シニアパートナーに当たる「社員」「代表社員」が肩書き的にはゴールであり、出世しようと思うと必然的に社員を目指すことになります。監査報告書に「公認会計士」としてサインができるのも、監査法人では社員だけ(それより下のマネージャークラスまではあくまで「監査補助者」になります)なので、会計監査のプロとしても社員が一つのゴールということになります。


社員、代表社員は一般の株式会社で言えば執行役、取締役、代表取締役クラスに相当するため、当然報酬面でもマネージャー以下より優遇されます。出資者でもあるため、毎年の利益処分は彼らに配当されますし。


当然誰でもなれるわけではなく、大手法人だと、大体で法人が抱えている有資格者の1割〜1割5分くらいの人数比でしょうか?普通の会社の取締役の人数に比べるとだいぶ多いですが、法定業務の性質上ある程度の人数がいないと巣ステムとして回っていかないのでしょうがないところがあります。


はっきりと言われたことは無いですが、大体同期入所の中で1人〜3人くらいがパートナーになれるかなれないか位の割合という感じです。


で、監査法人の業務の一つの問題だと思うのは、中核業務である「会計監査業務」を「面白い」といってやっている人をあまり見かけないというところ。業務の性質上一人で全部まわせるパターンは非常に少なく、監査チームで役割分担をして進めていくことになりますし、4〜6年くらいはひたすら下積み的なことをやっていかないと、業務が分っていかないため、最初の数年は「つまらない」と思っていてもそれほど苦ではないのですが、それを過ぎて、一通りチームの動きを把握して、マネージャーを補佐して監査チームをコントロールできるくらいの立場になったときに、その会計士は事務所の中で自分の未来に何を見るのだろうと思うわけです。


上述のように、「出世する」というのは「社員を目指す」というのとほぼ同義ですし、コンサル部門は(特に大阪では)規模が小さい上に、管掌の社員というのが本当に少ない。(つまりコンサル部門で社員を目指すというのはとんでもなく狭き門)


そうすると、監査に面白みを見出せなければ、「実務能力あり」+「専門知識あり」+「20代終盤〜30代中盤」と3拍子そろっている(人が多い)この世代は、少し景気がよければ転職していくかな・・・と。(通常業務が基本的に忙しいですしね)


本人のキャリアパスとしてはいいのですが、法定独占業務を与えられて、基本的にインフラとして存続義務がある(ハズ)の監査法人としてそれはどうなのだろうかと思うわけです。


監査業務が面白いという人がいないというのは、私が日々仕事をして話をする中では少なくとも事実ですから、これを前提にモチベーションを引き出そうと思うと、それこそ「資本市場の番人」という士業の矜持を持ち出すか、報酬を高めて金でつるか、「内部統制専門」「連結専門」「上場支援専門」といった形で監査業務を細分化して専門性を高め、そこで一定レベル以上の知識をつけた人を、いわゆるフェロー的な形で処遇するか・・・などという対策を採る必要があるのではないかと思いますが。


現実問題として、「矜持」は今の大手法人の監査マニュアル遵守の監査だと正直これを実感するのは難しい気がしますし(本当に粉飾に手を染めてそうな危ない会社の担当なったりすると別の意味で実感できるのですが)、金でつるのは今の監査報酬の相場では無理でしょう(涙)。


となると、専門性かな・・・という気もするのですが、これも基本的に「監査とは非生産的業務で面白くは無い」という前提に立つと、これで喜びを感じられるのは学者タイプのちょっとマニアックな人達かな?という気もしますし、色々と難しいと・・・


本の話をほとんどしてないことに今頃気がつきましたが、久しぶりに色々考えた本でしたね・・・(←まとめきれなくなったらしい)

ろじゃあろじゃあ 2007/03/05 15:56 こんにちは
ろじゃあでございます。
TBさせていただきました。
会計士の先生方の組織の中でもこの本のお話の構図が当てはまるところがあるとは・・・・貴重なお話大変参考になりました。
DNAの連続性の見地から後進を育てるという部分で比較的上の方々が矜持をお持ちの世界では若い方々も呼応する矜持があり得るのではないかと思うのですがいかがなんでしょうか、そのあたりは?
今後仮に監査法人のサイドで若い弁護士の先生方を受け入れる総合事務所的な枠組みが増えてくるとこの専門性のところというのが矜持と結びつきやすくなるのかどうか・・・大変興味がございます。
それでは失礼いたします。