::: BUT IT'S A TRICK, SEE? YOU ONLY THINK IT'S GOT YOU. LOOK, NOW I FIT HERE AND YOU AREN'T CARRYING THE LOOP.

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 メカネロ “メクルメクセカイ” (2005)



男子3名、女子2名。
wafflesに似た雰囲気。
でも大きな違いは、歌詞をヴォーカルが書いていないこと。
作詞作曲共に、ベースの人が書いてる。
作曲はともかくとしても、歌詞はヴォーカルに書いていてほしいところだけど。
ところが、歌詞の中の人称代名詞が常に男性人称にされていて、そこが妙に正直。なんかこだわりを感じる。
男性が女性ヴォーカルの歌詞を書く場合に、あえて女性人称は用いないというのは、
女性が男性人称の歌詞を書いて自らうたう場合の人称のねじれとは違ったニュアンスがある気がする。
後者の場合の詞は、フィクショナルな・客観的な立場でうたわれている感じがするけど、(男性について書く女性作家のような。)
前者の場合は、そういうのすら超え、もっと淡泊に詞内容が扱われている雰囲気がある。
違う言い方をすれば、「女性ヴォーカルのうたう歌詞を男性人称で書いている男性」についてうたっている女性、というように思える。ややこしいけど。
しかしもしこの歌詞がすべて女性人称でうたわれていたならば、男性の作詞者に「うたわされている」という印象が先に立っただろう。そうではないところに意識的な誠実さが感じられるし、また結果として独特の語り口の歌詞になっていると思う。
なお、こうした区別は、スリーヴを見て誰が作詞をおこなっているのかという情報を得て初めて生まれる。曲だけを聴いてこの区別に至ることはあり得ない。


このバンドにはもうひとつ不思議なところがあって、
それは、彼らが「多摩ニュータウン」から生まれたバンドだということを強調しているところ。
タワレコのPOPでそう紹介されてるだけかと思ったら、オフィシャルページのバイオグラフィーでも、わざわざ多摩ニュータウンの歴史解説までして語っている。
多摩ニュータウンって、その名と裏腹に、新興住宅地とは言えないぐらいけっこう古くなってしまった印象がある。
というか「ニュータウン」全般にそういうイメージがもはやあるかも。
そういう「新しさを掲げていたけど今では古くなってしまったものの哀愁」とか、「ドライに荒廃していく〈郊外〉、でもそれなりに人が定着している生活感」というのを狙っているのだとすれば、それはギターポップのスタイルに合っていると思う。


M-1 “蛍光浴”
M-2 “カーテンコール”
M-3 “ようこそ”
冒頭の3曲がそれぞれ、ポップ、メロウ、疾走、というように異なる方向性が明確に出ていて、この3曲でだいたいこのバンドが代表されていると言ってもよさそう。M-1、M-2はわりと期待通りの音だけど、M-3で急に激しい音になって、びっくりする。ハードな音・虚無的な歌詞にこの透明ヴォーカルという組み合わせが、新鮮。


M-4 “ブルーサマー” 男女ツインヴォーカルのハーモニー。
M-9 “モノ” イントロ。


オフィシャル
 http://www.mecha-nero.com/
ASIN:B000BM6J2U






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―Angela Mitchell