MEASLES MUMPS RUBELLA “FANTASTIC SUCCESS” (2006)
US、ワシントンDC。
うねったベースを基調とするグルーヴィな曲としてつくられているけれど、どうもリズムパートが完全に揃ってなくて微妙に外れているような気がしてならず、もどかしさを感じる。技量に劣るというのではなく充分にテクニカルではあるのだが、極微のズレがむしろ意図的に挿入されることで成り立っていると言うべきか。
そしてヴォーカルの声は水分含有率ゼロ。徹底して乾いた声質は情感を一切含まず、リズムに感じる不安定感と併せて、全体的に圧迫に満ちた空気を漂わせる。
それらに示唆されるものは、精確な技巧によって到達されるような整然とした秩序世界ではなくその対極、不安と不完全性を孕み、見通しのきかない不確定の世界。未だ生じていない可能性の豊穣を、背後の茫洋に隠し秘める。つまりそれは未来、すなわち踏み出すべき次の一手を待ち受ける、事象の地平そのものの如くに。
M-1 “Algorithm of Desire”
M-2 “FANTASTIC SUCCESS”
M-3 “Libra Science”
M-7 “Nice Hollow Bodies”