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2010年9月12日付でライブドアブログに引っ越しました。
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これからもどうぞよろしくお願い致します。



2007-05-12

正答率4%の論理クイズ

アイデアノート 答えを聞いても答えがわからないトリッククイズが話題になっている。クイズを引用すると次のようになる。

一人の男性が肖像画を見ています。

ある人が、その男性に尋ねました。

『どなたの肖像画をご覧になっていらっしゃるのですか?』

その男性が答えました。

『私には兄弟も姉妹もいません。でも、この男性の父親は、私の父親の息子です』

(この男性の父親というのはもちろん、肖像画の人物の父親の意味です)

さて、男性は誰の肖像画を眺めていたのだろうか。

答えを聞いても答えがわからないトリッククイズ*アイデアノート

筆者には正しい答えしか浮かばず、なぜみんな正しくない答えのほうを思いつくのかしばらく理解が出来なかった。数学と同様で、問題文から境界条件を読み取り論理思考が行えれば、自ずと答えが出てきて、そもそもトリックに当たらないと思うのだが、どうもコメントを読む限り括弧書きの文を誤解してしまうことが誤答の原因のようだ。字面を追うだけで、境界条件を適切に認識できないのが問題だろうか。

論理的思考力を確認するための有名なクイズがある。こちらの正答率は4%程度だというが、クイズ自体は小学生でも解ける。純然たる論理クイズで、引っかけの要素は無い。何が必要とされていて、何が必要とされていないのかを論理的思考に従って明確にしていけば自ずと答えは出てくる。先の問題に引っ掛かってしまった人は、こちらにトライして自分の思考過程のどこに問題があるのか確認してみると良いだろう。

片面に数字、片面にアルファベットが記述された4枚のカードがある。

このカードは次のルールに従って作成されなければならない。

  • 左右対称のアルファベットの裏は、偶数である。

さて以下に示す4枚のカードがこのルールを満たしているか確認するためには、どのカードの裏面を確認する必要があるだろうか? 裏面を確認する必要があるカードを示せ。

f:id:LM-7:20070513085749p:image

答えは以下に背景色で記述するので、ここから下をマウスドラッグで文字列を反転させて確認してほしい。

[ここから反転]

Mと7のカードの2枚の裏面を確認する必要がある。

  • Mは左右対称なので裏が偶数か確認する必要がある。
  • 2は偶数なので裏のアルファベットは左右対称でも左右非対称でも構わない。
  • Pは左右非対称なので裏は奇数でも偶数でも構わない。
  • 7は奇数なので裏が左右対称のアルファベットでは困る。要確認。

[終了]

Heart-Gardenでは、この問題に対する心理学的な関連研究について紹介している。そもそも、上記の問題自体は「4枚カード問題」として心理学上有名な問題であり(Wason&Shapiro, 1971)、人が案外論理的に演繹する能力が低いことを示したものだ(正答率4%は本実験の結果による)。ところが、構造的には全く同一な問題で、「未成年者はビールを飲んではいけない」というルールに従った、ビールとコーラを用いた実験ではその正答率はおよそ8割にも達した(Griggs&Cox, 1982)という。

これらの興味深い実験より、化学記号的な問題より社会ルール的な問題の方が正答率が高いことから、人間の脳は、社会のルールに対する不正をよりよく察知できるように進化してきたのではないか、という仮説が登場したという。その仮説に関し、Cheng&Holyoakは許可スキーマを使用した結果、正答率が上がったと主張しており、コスメディス(1989)は社会契約説による説明をおこなっている。Heart-Gardenでは、4枚カード問題の追試を行っており、心理学科の大学生を対象にして、カードの場合の正答率が18.1%、定期券の場合に置き換えた正答率が62.8%となったとしている。これだけの有意差があることを考えると、先の仮説がほぼ裏付けられたと見て良いだろう。論理パズル1つをとってみても、深く見ていくとなかなか興味深いものだ。

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