植物タンニンなめし革 勉強会
昨日はイタリア文化会館で開催された、「トスカーナ産植物タンニンなめし革」の講習と展示に行ってきました。
毎年イタリアからトスカーナ産タンニンなめし革協会“Consorzio Vera Pelle Italiana Conciata al Vegetale”の方々が来日して行うイベントで、革に関わる人にとってはとても盛りだくさんの勉強会です。
私が参加したのは今回で2回目なのですが、新たに知ることもたくさんあって、本当に充実した時間でした。
大学の講義のようにノートをとりながら、スライドを追って集中・・・
「植物タンニンなめし革」は、簡単に言うと革をなめす工程で化学物質を使わず、植物由来のタンニンのみを使用してなめされた革、ということです。
それとは反対に科学的な物質を使用してなめされた「クロムなめし」革と違い、革そのものの風合いが生きていて、使えば使うほどに味が出てきます。
私はこの経年変化こそが、タンニンなめし革製品の醍醐味だと思います。
タンニンなめしの革の特徴は、手触り、質感、ナチュラルさ、温かみと色合い、香り、経年変化・・・などなど。
私はとにかくタンニンなめし革の香りがほんとうに大好きです!
イタリアの工房も革の香りで溢れていたので、とても懐かしい気持ちになります。
いつも革の香りを嗅いで「良いにおい〜」とうっとりして師匠に笑われる(半ば呆れられる)ほど。
その“タンニン”、ですが一言でタンニンと言っても種類がたくさん。
昨日の展示で特に面白かったのがこちら。
ワイングラスの中は、それぞれ種類の異なる粉末状の植物タンニンのサンプル。
色も香りもまったく違う!
革好きはテンション上がりますねー。
風邪からの病み上がりだったのですが、それでもその違いはしっかり感知することができました。
あのミモザのタンニンも使われるとは…
そのタンニンですが、抗酸化作用や殺菌作用、収斂作用、抗寄生虫作用、などなど、非常に多くの効能があって、なめしの他にも、よく知られているワイン醸造のほか、動物飼料や水処理や木材処理、金属の表面処理などにも使われているそうです!
タンニン、凄い。
そういったタンニンの凄さや、天然由来ならではのなめし職人の苦労や彼らの情熱について協会の方々が熱く語ってくださり、本当に勉強になりました。
このまま書いているといくらでも長くなりそうです。
私も何度かタンナーを見学に行ったことがありますが、タンナー地帯の匂いはとても強く、手はタンニンに染まり、すべての工程が力仕事。
「皮」を「革」へと変える、なめしという作業は本当に過酷で厳しい仕事だと思います。
なめし職人の苦労があるから、私たちは良質な革を使って仕事ができる、
革が手元に届くまでに関わるすべての職人さんに感謝だなあと、あらためて思いました。
タンニンなめしの革が大好き!という方は、ぜひ来年のこのイベントに、足を運んでみてくださいね。