実写版『美少女戦士セーラームーン』ファンブログ


最新記事〕 〔過去記事〕 〔サイト説明〕 〔管理人

【第570回】北川景子『黒い樹海』の巻(8)



 AKB総選挙については、基本うちは投票もしないし、たんなる野次馬に過ぎないが、でも今年は高橋朱里が速報第10位に躍進ということで嬉しい。犬童一心と渡部亮平の深夜ドラマ『セーラーゾンビ』(2014年、テレビ東京系)のこの子はホント良かったなぁ。がんばれ〜!

1. かりゆしアマゾンズ



 『仮面ライダーアマゾンズ』第9話に沢井さんが出演されたというので、観てみた。アマゾンズなんていうから、もう沢井さんが腰布一枚でキャットファイトとか始めたらどうしようとかハラハラしていたが、普通に仮面ライダーであった。



 しかもゴーストとかより、黄川田将也の『仮面ライダー THE FIRST』とか『THE NEXT』とか、あっち系のテイストの作品である。スタッフロールには白倉伸一郎、小林靖子、田崎竜太と、当サイトとしては拝みたくなるような名前がそろい踏みだ。撮影は岩崎智之。



 でも何しろ、いきなり第9話なので話の設定とかよく分からない。とにかく沢井さんは、ライダー側ではなくて怪物側の一員である。だけど、まだ人間体のままだ。今は人間の姿なんだけど、いずれ時が来れば、本人の意志に関係なく怪物に変身して、そうなると人間を喰らい出す、という悲しい宿命が待っている。



 でも人間体のうちから、少しずつ人肉への餓えを満たしてやれば、怪物への覚醒を抑えることができるみたいなんだよね。そんな平和主義の怪物予備軍のために、オーナーシェフ(植木紀世彦)がそのへんで捕まえた人間をミンチにして少量ずつ喰わせるハンバーグ店が今回のエピソードの舞台。沢井さんが演じるのは、その店の常連らしい肉食系(正しくは人肉食系)女子のミカ。しかし嬉しいことに最後まで変身せず、沢井さんのままだった。



 いやそれにしても正月の『坊ちゃん』の時の清楚なカフェの女給とは打って変わって、いかにも人肉喰ってそうな頽廃的で淫靡なフェロモンを振りまいておられました。
 怪物の仲間のふりをして店に忍び込んだ仮面ライダー(藤田富)にも優しく語りかける。



ミ カ「初めてで不安でしょうけど、大丈夫ですよ」



ミ カ「これくらいなら、私たちのアレは目覚めない」



ミ カ「少しずつ食べていれば、その時が遅くなるんじゃないかって」



 悠 「目覚めないために……」



オーナー「まあ個人差はありますから絶対ではありませんが」



ミ カ「それでもね、今のままひっそりと生きていけるならって、そう思って集まっているんです」



ミ カ「オーナーのご厚意で」




 でもまあ、少量ずつとはいえ人肉を喰っていることに変わりはないので、このレストランは結局ライダーたち正義の軍団に包囲され、沢井さんたちは人間体のまま逃げまどうことになる。オーナーシェフはカニ怪人に変身して暴れるが、この時、人間たち怪物駆除チームの紅一点、高井望を演じている宮原華音の挌闘アクションがすごく格好良くて、個人的にはライダーよりこっちに釘付けだった。





 それと沢井さん、今回の衣装は、すごく胸のラインがくっきりときれいに見えるセーターで、私はこっちにさらに釘付けでした。



 なんだかもう、満足満足。



 もうひとつ、テレビ朝日の『橋下×羽鳥の新番組(仮)』というのがあって、まあ典型的な社会ネタのバラエティ番組なんだけど、なんと安座間美優が出ていたので観てみた(2016年5月30日、テレビ朝日系放送)。



 話題はサミットとか東京都知事とか沖縄問題。沖縄つながりで安座間さんが呼ばれちゃったのかな。
 ご存知とは思うが、去る4月28日、沖縄県うるま市在住の、20歳の会社員女性が行方不明になって、5月19日に恩納村の雑木林で遺体が見つかった事件があった。沖縄県警はアメリカ海兵隊の元隊員で嘉手納基地で働く軍属のシンザト(新里)・ケネス・フランクリン容疑者32歳を遺体遺棄容疑で逮捕し、後に容疑者は被害者の殺害と強姦を認める供述を行なった。で、この点について安座間さんに意見を求めたわけである。



羽 鳥「今回の悲惨な事件にお話を戻すと、安座間さんは沖縄出身ですけども、どういうふうにお感じになるんですか」



安座間「はい。今回、女性が行方不明になったっていうニュースが出たときに、多くの沖縄の人が、米軍関係者が関わっているんじゃないかって思った方が多かったって聞いたんですよ」



安座間「私はそれを聞いて、う〜ん、分かんない、それはどうだろうって思ったんですけど、まぁ実際つかまって」



安座間「やっぱりそうやって何かあると、すぐ真っ先にそう考えてしまうように、沖縄の人はなってしまっているのが現実なので」



安座間「でもさっき橋下さんがおっしゃったように、一所懸命にされてる米兵の方もいらっしゃいますし、だからそれと、基地問題で撤退ってなるとまた、違うのかなぁって」



橋 下「こういう問題が起こると再発防止をね、強く求めるって必ず日本政府は言うんです。じゃあアメリカ、米軍が再発防止策をビシッと考えているかっていったらぜんぜん考えてないです。もうそういう、悪いことはするなと言っているから大丈夫だ、それしか言わないんです。そんなことで犯罪が収まるわけないじゃないですか。だから真剣に考えろってことです」


 以下略。安座間美優の意見をまとめておこう――米兵の中には真面目な人もいるだろうし、一部の犯罪者が起こした事件で基地の撤退うんぬんということまで議論するのは、いささか問題の取り違えのようにも思う。ただこういう事件が起これば沖縄県民はすぐ米兵の仕業だと思うし、実際、今回もそのとおりだった。それで結局、そもそも基地があるからこういう事件が多発するのだ、という認識になる。だからもっと米軍が自浄能力を上げて、地元住民の信頼を得ないかぎり、こういう議論は消えない。――だいたいそういう趣旨と理解していいかな。そしてそれに答えて橋下徹は、だから日本政府は再発防止を求めるが、結局アメリカ側に自浄能力を求めても期待できないよと返している。
 私も無理だと思う。今回の事件を起こしたのも元海兵隊員だもの。これが陸軍や空軍や海軍だと、撃ち殺す敵はスコープの向こうだし、大量殺戮のキューは爆弾投下のボタンだし、同じ「殺人」でもいくぶんか抽象化されている。しかし海兵隊は、敵地に上陸して最前線で戦う肉弾戦の専門家たちだ。銃がなければナイフで刺して返り血を浴び、ナイフがなければ噛みつき、目つぶし、金的蹴り、どんな手段を使っても素手で相手を殺す技術を学ぶ。新兵のころから、そんな殺しのテクニックを毎日たたき込まれていれば、街に出て抵抗力の少ない少女を強姦殺人してしまうような危険な人格は必ず一定の割合で生まれてくると思う。いくら自浄能力を上げようとしてもだ。
 ちょっと話がそれてすみません。本題に戻ります。
 ぜーんぜん関係ないけど、ちょっと前にネットで見た海外の人のジュピターコスプレはバッチリ決まっていたなぁ。


2. 容疑者を絞る




 巣鴨の盆栽品評会の取材でゲットした手みやげをもって、祥子(北川景子)の自宅マンションに押しかけてきた吉井(向井理)。



 どこからか現われて、そんな吉井に興味津々のマンションの大家さん(室井滋)。



 しかたなく吉井を招き入れる祥子。そんなところでしたな。
 で、遠慮なく祥子の家に上がり込んだ吉井は、まずさっそく斎藤常子の実家に電話して、彼女が確かに上京したかどうかを確かめる。



吉 井「そうですか。わかりました。失礼します」



吉 井「……実家のお父さんによると、常子さんは今日の夕方、東京に行くと言って確かに出かけたらしい」



祥 子「……そうですか……」



吉 井「まあ言っちゃ悪いけど、彼女ちょっといいかげんそうなところがある感じではあったけどね」


 吉井がこんな夜に祥子のもとを訪れた理由はもうひとつある。実は本日の調査結果を報告しに来たのであった。



吉 井「それより聞き込みしてきてね。お姉さんの仕事相手だった文化人たちの事故当日のアリバイ」



祥 子「え?」
吉 井「巣鴨の取材なんてすぐ終わったし」



吉 井「まずは、ああ、経済評論家の妹尾」



吉 井「事務所の話によると彼はその日、仕事で熱海に行ったことになっている」



祥 子「熱海?」
吉 井「あ、でも一人で行動していたらしいから今のところ第三者の証言は取れていない」



吉 井「『婚約者と旅行に行ってたんじゃないですか』っていう事務所のスタッフもいた」



吉 井「次に生花師匠の佐敷泊雲」



吉 井「御弟子さんの話によると、当日の連絡先は前日から都内のオーバールックホテルの237号室ということになっていたらしい」



吉 井「でも、彼もその証明はできてない」



吉 井「このホテルを定宿にしているらしくてね、男の恋人と」



吉 井「画家の鶴巻。笑っちゃったよ」



吉 井「その日は飲み店の女の子の身体を触った触ってないで交番に連行。6時間くらい絞られていたらしい」



吉 井「いい加減、本人も懲りていたらしい」



祥 子「どこが」



吉 井「ん?」



祥 子「なんでもない」



吉 井「デザイナーの倉野むら子」



吉 井「その日はファッションショーのリハーサルで幕張の方に一昼夜」



吉 井「100人からのスタッフとずっと一緒だったから、まあアリバイはありかな」



吉 井「で、小児科医の西脇。その日は名古屋で行われていた学会に出席していたことになっている」




祥 子「名古屋?」



吉 井「確かにその日、名古屋の国際コンベンションホールで小児科医の学会は行われていた」



吉 井「でも西脇氏がこれに出席していたかどうかの客観的な証明はできてない」




吉 井「吉井さんの推理だと、そのうちの誰かがあの日、姉と同じバスに乗っていたんじゃないかって」
吉 井「まあ、あくまで推理だけどね」



祥 子「姉は一人旅ではなかったって言うんですか?私に隠れて誰か男の人と一緒に?……そんなこと……」



吉 井「君がそう思いたくないだけだろう。君だってさ、うすうすそう感じているんじゃないの」

 
 祥子は、吉井の取材能力の高さに感心するが、一方で彼に対する不信と疑惑もさらに膨らむのであった。

2. 疑惑


 もちろん祥子も、姉が誰か男と旅行したらしいくらいの見当はついてはいる。分かっちゃいるのだが、でも他人の吉井が遠慮もなくそういう前提で話してくると、ちょっとむっとする。だいたいこの人はなぜ、この一件にここまで関心を寄せるのだろうか。
 実は祥子は今日の仕事中、信頼できる上司の大島(桜井聖)から、そんな不安を感じずにはおれない話を聞かされていたのである。



大 島「ちょっといいですか?」



祥 子「はい?」



大 島「吉井君のことなんだけど……君には何か漏してませんか?」
祥 子「え?」
大 島「競合他社の雑誌社から誘いを受けているとか」



祥 子「いいえ……別に」
大 島「そうですか……」



大 島「いや、彼ねえ、ああ見えて前に日本報道大賞を獲った、業界では有名人だからさ」



祥 子「有名人……」


 吉井は自分の姉の巻き込まれた事故に、敏腕ジャーナリストとして何かしらの興味を抱いている。しかしそれは何故なのだろう。ひょっとして協力者のふりをして、有名文化人と姉の不倫スキャンダルをスクープするつもりなのではないだろうか。祥子は思い切って吉井に問いただす。



祥 子「あの……」



吉 井「ん?」
祥 子「姉のこと、一所懸命調べてくださるのは、ありがたいとは思っています。でも、なんで吉井さん、本来の文化部の仕事までおろそかにして、走り回ってくださるんですか?」



吉 井「なんでって、そりゃまあ……うん、町田知枝さんが死んで何だか奇妙な展開になっているし、事件の匂いもするじゃない」
祥 子「だとしたらそれ、社会部がやる仕事ですよね」



吉 井「ん?んん、まあ」
祥 子「大島部長さんから聞きました」
吉 井「何?」



祥 子「吉井さんて、前に報道大賞も取ったことがある、業界では有名人なんですってね」



吉 井「それが何?」



祥 子「最近、吉井さんが、うちの新聞社と競合している週刊誌の編集部に出入りしているって噂が流れているそうです」



祥 子「今回のこと、うちの東都新聞社に関するゴシップ記事にして、売り込もうとしているんじゃないですか?」
吉 井「ゴシップ記事?」



祥 子「東都新聞文化部の女性記者が、仕事相手の有名文化人と男女の関係になっている、みたいな」


 始めはやや不審感を抱きながら次第に信頼関係に、という流れのほうが松本清張っぽいと言えば言えるんだが、いきなり駆け引きぬきで疑惑をストレートに吉井にぶつけてしまうあたりは、北川さん向けというか現代的というか。それを受ける向井理の芝居はほぼ顔芸。



吉 井「……(笑)……ああよかった」
祥 子「?」



吉 井「君も思ったよりガキではなかった」



祥 子「どういう意味ですか」



吉 井「お姉さんは道ならぬ恋に堕ちていた。そう考えるのが自然だろ、いい加減認めろよ」



吉 井「……確かに僕は『週刊フロンティア』の編集部に出入りはしている。でもそれは、そんな君が言うような、くっだらない記事を売り込むためじゃない」



祥 子「じゃあ……」
吉 井「東都では社会部を外されてね。干されたんだよ。ある事件の取材の過程で警察のお偉いさんを怒らせてね」



吉 井「ま、君には関係のない話だ。取りあえずお姉さんのことは、頭を冷やしていろいろと考え直すことを勧める」



祥 子「もう、いいですから」



祥 子「姉のこと、調べていただかなくてけっこうですから」


吉 井「あそう、じゃあ」



 というわけで、どうしても吉井の真意が読めない祥子は、有益な情報を集めてくれたことに感心し感謝しながらも、いまいち信用しきれず、変な感じで別れてしまう。しつこいようだが、向井理だから仕方ないと私も思います。



 そして翌朝。斎藤常子が上京して泊まりに来るつもりでたくさん作ってあったカレーで、がっつりめの朝食を用意していた祥子は、常子から一晩じゅう何の連絡もなかった理由を、意外なかたちで知る。




テレビ「今朝、神奈川県の多摩川の河川敷で、女性が首を絞められて死んでいるのが見つかりました」



テレビ「女性は35歳の無職、斎藤常子さんと分かりました。警察は捜査本部を設置して捜査を進めています」



テレビ「こちらの捜査本部によりますと、今朝6時ごろ、ジョギングをしていた男性が河川敷で女性の遺体を見つけて警察に通報してきたということです」



テレビ「所持品などから、山梨県に住む斎藤常子さんと判明しました。警察は、斎藤さんの首に絞められたような痕があることから、殺人事件と断定し……」



祥 子(これは、犯人からの警告なのだろうか)



祥 子(姉の事故にこだわると、殺す)



祥 子「誰よ。誰よ」



祥 子(犯人は、斎藤常子が上京してくることを知っていた)



祥 子(彼女は上京してくるタイミングを狙われた)



祥 子(斎藤常子が上京してくることを知っていたのは、彼女の実家の父親以外では……)





 そう、この男しかいないではないか。やっぱり向井理は悪い奴だったのか!



 てところで以下、次回。またね。