BLOGの炎上と文脈と


R30]氏が、「SBMってオーソライズ機能にならないのかな」という記事を書いておられます。これは、Parsley氏の「誰か記事のオーソライズよろしく」というエントリを受けてのものです。


最初、[R30]氏のエントリを読んだときに、問題意識と解決策がどう対応しているのか、正直よく分かりませんでした。で、よく読んで私なりに理解したところでは、どうも2つの問題があるらしいのです(この理解が間違っている可能性も十分あります)。


1つめの問題意識は、最近はみんな自分の好きな筆者のBLOGだけ読むようになってきて、自分が興味のない事柄や、意見が合わないBLOGは読まなくなってきている。しかし、あまりにそのような偏りが出るのはよくないのではないか。そこで、新聞や雑誌のように、多種類の記事をパッケージングして売り出す仕組みが、BLOG界にも求められているのではないか、ということだと思います。


2つめの問題意識は、ガ島通信や某緑のBLOGのように、一度ブランドイメージが決定的に傷ついてしまったBLOGについては、その後にかなりよい記事が出ても、閲覧者が回復しない。すなわち、エントリが流通しなくなってしまい、それはもったいないのではないか、ということだと思います。そして、そこで筆者以外のオーソライズ機能を持った者が登場して、やはり「すばらしい記事」をパッケージングする。前に炎上していようがいまいが、そういうパッケージングをする仕組みとして、やはり雑誌の編集のような仕組みが求められるのではないか、ということのようです。


R30]氏は、このパッケージングの仕組みとして、SBMソーシャルブックマーク)が使えるのではないか、と提案しておられます。ただ、現在では日本国内で有名なSBMはてなくらい。しかし、理想的にはもっとたくさんのSBMが存在して、その総合値としてはてなSBMがあるとよいのではないか、と述べておられます。


R30]氏は、このはてなの役割を「TOPIX」に例えておられますが、私としては、「オリコンチャート」と言った方が近いのではないかな、と思いました。世の中にはたくさんの独自の音楽チャートがあり、また個々人の中にもチャートがあるけれども、その中で(日本で)最も権威のあるものとしての、「オリコン」です。


しかし果たして、SBMで「文脈依存」は乗り越えられるのでしょうか?単にSBMをする人の文脈に依存する世界が始まるだけなのでは?という疑問を消すことができません。


また、現実のSBMはまだ発展途上であり、Parsley氏svnseeds氏が述べられているとおり、プライベートな性格のものなのか、パブリックな性格のものなのか、すら明らかではありません。


逆に、現状でも、他人のBLOG記事を集めてきて、エントリを成り立たせているBLOGというものは結構あるのではないでしょうか。私は、いくつかの2chのスレ紹介をしているBLOGをチェックしていますけれど、それもこのような「編集系BLOG」ということができます。つまり、今でもやろうと思えば、方面の違うエントリを集めて、定期的にBLOGをアップする、といった形の情報発信は可能ではあるはずです。


では、なぜそういうものがあまり脚光を浴びないのか。あるいは、質の高い「雑誌」があまり存在しないのか。私は雑誌業のことは全く知らないのですが、雑誌の編集者の仕事というのは、締め切りを設定して著者に催促することと、雑誌としてのテーマや取り上げるべき話題を設定してそれにふさわしい著者に原稿を「書いてもらう」ことなのではないでしょうか(あるいは、もっと違うことなのかもしれませんが)。


もしそうだとすれば、そもそも「勝手に書き散らかされているものを集めてくる」のと、「一定の方向性を決めて書いてもらう」というのでは、大きく違う仕事をすることになります。


はてなSBMというのは、一種の人気投票であって、したがってオリコンに似ていると思います。ランダムに出てくる、バラバラの方向の記事に格付けをするということが、果たしてオーソライズ(「みんな」がその記事を読むようになるという意味での)になるのか、この問題は(SBMなどの)ツールの問題なのかあるいは別の問題なのか、考えてみてもなかなかよく分かりません。