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11.12.20

アミール・ナデリ監督『CUT』

映画狂の映画狂による映画狂のための映画*1

今年は前半に『アンチ・クライスト』と『冷たい熱帯魚』という超傑作級の作品が2本も出て喜んでいたら、12月も半ばになってそれに匹敵するような作品がもう1つ出てきました*2。それが本作『CUT』。

ストーリーとしてはものすごく単純。兄がヤクザから借りていた1254万もの借金を代わりに返すため、映画狂の主人公がヤクザ相手に殴られ屋をするというだけのもの。しかし、その主人公の映画狂っぷりがとにかくヤバい。

満身創痍になりながらも立ち上がり「クソクズ映画!」「映画は売春じゃない!」と娯楽映画をなじりつつ自分を殴るよう強要する姿、そしてそんな傷だらけになった肉体をスクリーンにして芸術映画を上映し安らぐ光景は、作中で引用される作品の殆どを観ていないヘボい私をも軽く圧倒させる芸術映画への深い愛に満ちている。


最初から最後まで、映画に対する愛だけしか述べていないといっても過言ではないような作品だが、映画が好きな方であれば必ずや楽しめるであろう。やや離れ気味だった映画への情熱を再度思い出すことができたという意味でも、今年の締めくくりに相応しい一作であった。

来年はもっと映画が観たい!

*1:映画狂と書いて「シネフィル」と読む

*2:まぁ今年は全然映画観られなかったので、見逃しているのもあるのでしょうが

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