交通事故死の解剖率の低さがあなたの将来を奪うかも

老人ホームに勤務する准看護師が同僚に睡眠導入剤を飲ませて殺害しようとした事件に関連して、知人が書いた記事がYahooニュースに掲載されていました。
警察庁の2016年の統計によれば、警察が扱った死因不明の死体のうち、解剖に回されたのは12.64%しかありません。イギリスの解剖率は40%、スウェーデンでは95%(いずれも2014年)で、日本の解剖率は先進国では最低レベルだと指摘されているそうです。 上記事件も、以前に起こった交通事故で解剖していれば、次の被害は防げたハズだと指摘しています。
さらに恐ろしいのは、交通事故の解剖率が都道府県によってばらつきが大きいこと。昨年、各警察の交通課が取り扱った死体のうち、大分県司法解剖件数は0体(死体取扱数・51)、石川県1体(同56)、山梨県1体(同42)でした。解剖されなかった死者の死因が本当は病気だったのに、ドライバーの一方的な過失が事故の原因と認定されてしまうと、加害者側の遺族には被害者への謝罪や賠償義務がのしかかり、その後の人生は過酷なものになってしまうのです。実際、昨年2月、大阪・梅田で起こった乗用車の暴走事故では、大勢の目撃者の前で歩行者が2名犠牲となり、乗用車を運転していた男性(51)も死亡したのですが、 司法解剖の結果、男性は「大動脈解離」の発作に襲われ、事故の前にはすでに意識を失っていた、つまり、事故は男性の不法行為ではなく、突然の病が原因であることが証明できたのです。
逆に、交通事故を装った殺人も見逃すことになります。
専門家は「一見、交通事故であっても殺人や病気の可能性がある、だからこそ他国では解剖した上にさらに薬物検査も実施するのです。ところが、日本の警察にはなぜか『交通事故は殺人事件ではない』という特殊な先入観があるようです。」と語っています。
昨年行われた調査法解剖は2605件でしたが、このうち交通部で行われた解剖は0件。その理由は、この解剖の予算が刑事部だけに充てられ、交通課にはまったく予算化されていないからだそうです。
交通事故の多さを考えると、個人的にはテロ等防止法ができてそれに回す予算よりも、こちらに回して欲しいと思ったりします。
知人の記事「睡眠導入剤混入事件で浮かび上がる日本の『解剖率』の低さ  法医学者も警鐘」は下記で読むことができます。
https://news.yahoo.co.jp/byline/yanagiharamika/20170720-00073518/