アスペルガー医師ロンの日常

医師でもあり、アスペルガー症候群当事者でもあり、更には911GT3&ロードスター乗りでもあるワタクシのささやか(?)な日常

TO BEAST OR NOT TO BEAST

 ロンマニアの皆様、こんにちはm(_ _)m


「人間は全て、文明が進めば進むほど俳優になっていく。つまり、人間は他人に対する尊敬と好意、典雅と無私の風を装うが、それに誑かされる人はいない」

By イマヌエル・カント


 といった今日この頃、皆様はどうお過ごしでしょうか。


*パワーは刺激

 コーナリングは”味わい”だけど、加速は”刺激”である。チューニングについて、ワタクシはつくづくこう思ってる。ソレが”味わい”なのであれば同じ量でも決して飽きる事は無いだろうが、コレが”刺激”ならば話は別である。辛いモノ好きにとってのタバスコが良い例であるが、刺激ってシロモノは味わえば味わうほどに閾値が上がり、更にソレ以上の刺激を求めてしまうのである。だからワタクシは「パワーアップはECUチューンだけ、リミッター解除+α程度で十分」と主張しているのである。一度大幅なパワーアップを味わうと、必ずと言って良い程ソレ以上が欲しくなるようになるからである。特にハイパワーターボ4WD乗ってるようなヤツは、もうその時点で「思いっきりブッ飛ばしたい!」って願望を秘めてると言ってるようなモンだから、尚更危険なのである。


 その中でもR35は特にハイパワーで、その手の願望を秘めたヤツには堪らん1台なのである。特に最近はMY07、MY08の中古個体が多く&安く出回る様になってきたんで、狙う人も少なくないであろう。そんな中、こんなトラブル話が舞い込んできたのである。要約するとこんな感じである・・・

  • とあるMY08オーナーが「触媒+ECUで617馬力&トルク91kg」というメニューを某ショップで施行した
  • オーナーはサーキット走行は一切やらず、主に公道走行のみ。施行した時点での走行距離は6000km
  • その状態で走行距離が25000km時、通常運転の際にエンジンブローしてしまった
  • 連絡を受けたショップはクルマを引き取り診断。診断結果は「エンジンオイルの交換時期を守っていなかったから」
  • その返事に危険な匂いを感じたオーナーが、ショップに連絡せず積載車で引き取りに行った
  • 行った時にはクルマのエンジンは既に下された状態で、しかもヘッドが開けられていた。無論オーナーに無許可で
  • ムリヤリにクルマを引き取って別のトコで調べてみると、ECUを外された形跡が見つかった
  • ECUを調べてみたらチューニングデータは全て消されて、ノーマル状態に戻されていた

ショップが酷いという点については最早言うまでもないと思うので省略。にしても、VR38DETTエンジンが一基400諭吉なのを考えると、何とも気の毒な話である(-_-;)薄情と言われればその通りだが、ワタクシはこの件について可哀想だとは思うが同情はしない。1つ、チューニングはメーカーの使用用途外だから完全な自己責任であるという事。2つ、ノーマル480馬力・トルク60kgから617馬力・トルク91kgって時点で何故怪しいと考えられなかったかって事。3つ、公道オンリーでそんなパワーを何処で使うんだって話である。


 何ちゅーか「サーキットは一切行かないけど6000kmの時点で100馬力以上のパワーアップを所望」って時点で、察しの良いロンマニアの方ならピンと来るであろうと思うのである。つまりサーキットは行ってなくても、高負荷領域を頻繁に使用していた可能性が高いとワタクシは睨んでるのである。だから確実に安全な【R35スポーツリセッティング】にしないで、最高速をより楽に狙えるパワフルな社外ブーストアップを選んだのである。こう言っちゃアレ&あくまでワタクシの推測であるが、このオーナーは遅かれ早かれエンジンを壊す運命だったと思うのである。サーキットに行ってなくても高負荷を使ってた可能性大なのもそうだが、遅かれ早かれ更なる”刺激”を求めてモアパワーを求めてくるだろう可能性も高かったからである。


*料理と敬意

 クルマを料理に例えるなら、チューニングは言わば調味料だと言うのがワタクシの考えである。故にワタクシは必要以上のチューニングを好きになれないのである。無論、好みに合わせて料理に備え付けのソースを使ったり、軽く塩やコショウを振る程度なら全然おkである。でもちゃんとしたレストランや料亭で出された料理に対し「自分はこの味が好きだから」って言って調味料を使うのはどうよって話である。ワタクシが特に高級車のチューニングカーを嫌うのは、こうした考えからである。何ちゅーか「俺は辛いモンが大好物だから」と言って、フランス料理にタバスコ塗して食うような下品さ。ソレをワタクシはその手の高級チューンドに感じてしまうのである。


 安く満腹になってナンボの大衆食堂のメシみたく、数売る事だけを主体においたクルマだったら話は分からんでもない。が、高級車ってのは、いわばメーカーにとっての「作品」である。ちゃんとしたレストランや料亭の料理と同様に、その素材の良さを最大限引き出す事を念頭に置いて、味も量もシッカリとバランスとって作ってあるのである。だからちゃんとした料理を食べる、優れたメーカーの高級車に乗るって事は、ある意味「その職人のセンスや哲学を味わう」って事なのである。つまり「作品」を通して、顧客はその職人の人生観を知るのである。お互いに「最高だ」「ダメだ」って思ってる事の違いを知って認め、ソコから自分にとって有益なモンを吸収する。その醍醐味を味わえるのが「作品」なのである。


 ココまで書けば、ワタクシの言わんとしてる事が分かると思うのである。つまり他人の”作品”を「俺はこの方が好きだ」って言って勝手に改変するって事は、ソレを作った職人の価値観の否定だからである。ソイツが何を最高だと思ってコレを作ったのかは知らないし、知ったこっちゃない。俺はこういうのが好きだから、俺の好きなように作り替える。そんな傲慢さと無知を、ワタクシは過剰なチューニングに感じてしまうのである。そんな他人の価値観に敬意を払わないヤツと、果たして良い友達になれるであろうか?答えは当然「ノー」である。だからレースとかやっててコンマ1/1000秒を削りに行ってるのなら兎も角、クルマはノーマル+α程度が一番美しいと思うのである。クルマ的にも、そしてオーナー的にも。


スーパースポーツバイクの魅力

 話は戻るが、単純にスピードが欲しいだけだったら、R35を上手く弄ってくれるショップを探すよりも遥かに良い方法がある。ソレは「ZZR1400やGSX1300Rハヤブサみたいなスーパースポーツバイクに乗る」である。冗談のようで、マジな話である。0→100km加速が2.5秒。最高速度が330km以上。ヘタなスーパーカーよりも断然速いのである。でもって価格だって”たったの”160諭吉前後である。6輪(クルマ4+バイク2)生活してる某ロンマニアの方曰く「私は速いだけのクルマに興味が無い。何故ならバイクの方が速いから」と言っていたが、正にその通りだと思うのである。故にワタクシはアクセルを踏むだけの最高速とかやらには興味ないのである。


 ワタクシの知る限り「俺には俺のやり方がある!」って言って頑なになるヤツってのは相場が決まってるのである。他人の良さを見抜く目と、その良さを自分に取り込むだけの能力が無いヤツである。でもって言うまでもないと思うが、そう言うヤツが大人物だった試しは無い。他の方々はどう考えてるかは知らんが、ワタクシは大人物になりたいのである(笑)だから他人の良さを見抜く目&ソレを取り込む能力が欲しいし、そのためにはノーマルの良さ、その「作品」が持つ本質を理解できなきゃならんのである。よく「お前はそんな求道者的な生き方して疲れないの?」と聞かれるのであるが「生まれつきこれがデフォだから疲れるもへったくれもない」としか言えない今日この頃であった。