名誉毀損とマスコミ

植草元教授が名誉を毀損されたとして講談社に損害賠償が命じられたらしい。
今日はこの名誉毀損について考えてみた。


名誉毀損というのは刑法上の名前で、民法で言うと不法行為(民709条、710条)にあたるものである。まぁ一まとめにして論じよう。
まず見て欲しいのが名誉を毀損した場合の制裁の程度である。


刑法:3年以下の懲役、禁錮又は50万円以下の罰金。
民法不法行為なので定まった額はないが、植草さんの場合では賠償額110万円。


確かに個人が他人の名誉を毀損した場合には効果があるかもしれない。
しかし、法人、要するにマスコミが名誉毀損行為をした場合、これはとても少額な気がする。
そしてなによりも現代においてもっとも人を脅かす名誉毀損は他ならぬマスコミのそれであろう。
こんな額でいいのだろうか。


今回の事件について言えば、講談社にとっては110万円なんて痛くもかゆくもない額だろう。
なぜなら、植草さんを誹謗、中傷することで得られる利益はそんなものではないから。
というかそこらへんの利益考量した結果、そんな行為をしたのだろうし。
雑誌に掲載することで売り上げが伸びれば100万円そこいらなんて問題ない。
そんなもの経費くらいにしか考えていないかもしれない。
これでは名誉毀損というものが全く抑制力として働いていないではないか。


表現の自由との関係で非常に難しいものではある。
また、名誉という抽象概念についての被害の算定も難しいだろう。
しかしこの壁は乗り越えるべき壁である。
今後の立法政策において、賠償金以外の制裁を模索する必要があると感じた。