面白いドラマをありがとうアワード2011
今年は面白いドラマが目白押しだった、ってんで id:einfall さんの「面白いドラマをありがとうアワード2011」に参加させていただきつつ振り返ってみたいと思います。
【1】2011年にTVでオンエアされたドラマで面白かったものを3つあげてください。できればその理由も教えてください
・『それでも、生きてゆく』(フジテレビ)
確変中の坂元裕二の緻密でエグる脚本、絶妙なキャスティング、それに応えて熱演の役者陣、巧妙で繊細な演出。すべてが噛みあった文句なしで年間ベストと言えるドラマでした。
シリアスで重たいテーマを扱っているにも関わらず、特に瑛太と満島ひかりの掛け合いなどに見られる軽さがドラマ的なバランスを見事に調整していて素晴らしかったです。
・『ウレロ☆未確認少女』(テレビ東京)
これを「ドラマ」とするのは反則かもしれませんが、僕は断固「ドラマ」としても挙げたい作品です。(ドラマとしてだけでなく、お笑い番組としてもベスト級でした。)
毎回毎回、物語の構造の基本に忠実な脚本に、それをアドリブも含め壊しながら活かす役者陣。その回ごとのカタルシスが常にありながら、全体を通しての伏線の貼り方、その回収も見事でした。
こういう作品は定期的にもっともっと作って欲しいです。
・『11人もいる!』(テレビ朝日)
おもいっきり笑えて、そして自然と泣ける、という宮藤官九郎の数多くある方向性のうち一つの最高峰ともいえる作品だったと思います。遊びと裏切りが散りばめられ、クドカン作品特有の軽さの中にさらりと重いテーマもぶちこむ辺りのさじ加減の巧さは相変わらず。『それでも、生きてゆく』もそうですが、本人が意識したかどうかは別にして、震災後のドラマのあり方のひとつを示した作品だったと思います。毎回楽しかったし、爆笑して号泣しました。
【次点】
今年の場合、このベスト3以外にも素晴らしい作品はたくさんありました。
『鈴木先生』や『カーネーション』などは普通の年なら年間ベスト級の作品なのにベスト3にも入れられないというレベルの高さ!
『妖怪人間ベム』『勇者ヨシヒコと魔王の城』『TAROの塔』『海賊戦隊ゴーカイジャー』『深夜食堂2』『タイムスクープハンター(シーズン2)』などもホントは入れたい作品です。
他にも話題となった『家政婦のミタ』『マルモのおきて』。さらに『デカワンコ』『ヘブンズ・フラワー』『リバウンド』『ドン★キホーテ』『DOCTORS』『ここが噂のエル・パラシオ』『下流の宴』など特徴的な作品も目立ちました。
【2】2011年にTVでオンエアされたドラマを書いた脚本家で、1人挙げるならばどなたでしょうか? できればその理由も添えて挙げてください。
・渡辺あや(カーネーション)
坂元裕二(それでも、生きてゆく)、宮藤官九郎(11人もいる!)、西田征史(妖怪人間ベム)、鈴木先生(古沢良太)なども選びたいところですが「今年の」という意味で渡辺あやを。
これまで単発ドラマで丁寧で繊細なドラマを発表してきて、ドラマ好きの中では信頼を得ていた渡辺あや。しかし、連ドラ執筆経験は無いはず。にも関わらずいきなり朝ドラに抜擢した英断も含めて。で、それに応えて毎朝見事な緩急のある物語を紡いでくれています。たった1日なのに待つのが待ち遠しくなるという出色の朝ドラ。来年の後半もますます楽しみです。
【3】2011年にTVでオンエアされたドラマに出演した役者さんで、素晴らしかったと思う人を挙げてください。ここは人数問いません!
・満島ひかり(『それでも、生きてゆく』『おひさま』)
まずはやっぱり満島ひかり。彼女が出てくると画面に食い入るように見ざるをえない、という魅力。一瞬の表情の変化も見逃せないような、そんな危うささと繊細さを持った役者だと思います。
・長谷川博己(『鈴木先生』『家政婦のミタ』)
『鈴木先生』ではもはや鈴木先生でしかありえないような佇まいを見せておきながら、すぐさま『家政婦はミタ』のダメ親父に変貌。どちらも女にだらしなくて、それがハマる感じが、これまでのこの系列の役者としては異色だと思います。
・小林薫(『カーネーション』『深夜食堂2』)
『カーネーション』『深夜食堂』と抜群の存在感と茶目っ気でドラマの質を高めていました。正直、これまで個人的には苦手なほうだったのですが、この2作品で一気に克服することができました。
・杏(『妖怪人間ベム』『タイムスクープハンター』『名前をなくした女神』)
亀梨のベムも、鈴木福くんのベロももちろん良かったですが、杏のベラの圧倒的なクオリティとハマり具合は凄かったです。ドラマの原動力にもなっていたといっても過言ではないかと思います。他にも『タイムスクープハンター』のミナミ役もハマっていたし、いい仕事の選び方をしているなぁ、という印象です。
・風間俊介(『それでも、生きてゆく』『中学生日記』『妖怪人間ベム』※ゲスト)
いよいよテレビドラマの世界に返り咲いたと思ったら、サイコキラー役。しかもそれを完璧に演じるっていう。彼をドラマで見るときのゾクゾク感はいつもハンパない。『妖怪人間ベム』でも別ベクトルな犯罪者役。これもまた見事に演じ爪痕を残しまくりました。
・早見あかり(『ウレロ☆未確認少女』)
いわゆる「新人賞」的なものを挙げるなら彼女でしょう。客前一発本番で百戦錬磨のコント職人たちを相手に一歩も引かず演じきりました。コメディエンヌとしての才はもちろんのこと、今後シリアスな作品にもひっぱりだこになる予感を感じさせる好演でした。
・山田孝之(『勇者ヨシヒコと魔王の城』『荒川アンダーザブリッジ』)
『勇者ヨシヒコ』はもちろん『荒川アンダーザブリッジ』でもバカ役。いったいどうしたんだ?というバカっぷり。個人的にはこっちの山田のほうが好きです。
他にも、相武紗季、大竹しのぶ、光浦靖子、尾野真千子、多部未華子、沢村一樹、麻生祐未、松田翔太、瑛太、美波、土屋太鳳、松尾スズキなどなども印象的だったので次点として挙げておきます。まだまだ考え始めるとどんどん出てきそうなのでこのへんで。あ、あと『南極大陸』のわんこたち。あのアレなクオリティのドラマであっても犬のシーンだけは見て泣いてしまうっていう……。
とにかく、今年は本当にドラマが充実しすぎて見るのが大変という嬉しすぎる悲鳴を叫び続けた1年(特に下半期)でした。