「ミック・エイヴォリーのアンダーパンツ」は面白いので皆読めば良い。

 あんまり個人でやってるサイトにはトラックバックを送りたくないというか、下手に送ってしまうと、こちらが好意を込めて送っているつもりでも、てめー、何ガンつけてやがんだ、こら。無断リンク代2兆円払えとかいうことにはならないとは思うのだけど、人によっては、ネットの大海の片隅でひっそり更新していきたいとか、静かに暮らしてたまに女性を殺して手首を集めたりして生きていきたい、などといったトラックバックなどを嫌がりそうな人もいるので余程のことが無ければ我慢したい。自分の場合は2chに晒されても嬉くて、やっほーいとか喜ぶけど。
 しかし、そうは言っても、こちらの好意を伝える為に毎回ブクマをしてしまうと、それが当たり前になって、平常化してしまった結果、今度は逆に、ブクマされないと、あれ、今回のはダメだったのかなと、却って不安にさせてしまうようなことがあるので、そこら辺が文章でしか互いの感情を読み取ることができない、ネットの難しいところであり、そもそも毎回ブクマしたくなるような面白い文章を書ける人がそうはいないのだけど、ミック・エイヴォリーのアンダーパンツは毎日面白いので、この人は何で、こんな文章を毎日更新できるのだろうかと、本当に不思議でしょうがないので、それこそ、毎回ブクマしたくなるのだけど、上に書いた通り、それはそれでキリが無い行為なので、自分は彼が更新するたびに、ニコニコしながら読みに行くのが普段の行動パターンで、ちょっと毛色の違ったパターン、「お父さん、『よつばと!』読みました。」なんかを読んでしまうと、珍しく思って、ここぞとばかりにブクマしてしまうのだけど、それは氏の望むところではないらしく、難しいものだなあと頭を抱えてしまう。ちなみに氏は、この『よつばと!』評に関して、自分の思っていることではないと語っているのだけど、この文章は氏の思惑とは裏腹に、文章単体を抜き出せば、批評として充分説得力を持っているので、一考の余地はあると思いました、まる。
 そういったわけで、どうやって、こちらのリスペクトを伝えたものかね、これは。と思っていたのですが、どうやら今日は氏の誕生日らしく、お祝いトラックバックもノープロブレムらしいので、多少の無礼を働いて、リンクを張ってみたので、こんなもの読んでる暇があれば、皆急いで読みに行けば良いし、僕はコメント欄が凄く苦手なので、書けないけど、皆コメント欄に誕生日おめでとうとか書けば良いと思う。
 本当にレトリックの一つ一つが特殊で読んでいて感心するし、登場人物の説明も凄く上手で話にひきずりこまれ、ただ面白いだけかと思ったら、最近の「アフリカの人」でもラスト四行でドキっとするようなことが書かれているので、やはり皆読むべきだと思うし、自分ごときがいつまでもウダウダ言うのもあれなので、ここはもう、誕生日おめでとうございますとだけ言って締めさせていただきたい。

耳をふさいで夜を走る 石持浅海

 本の感想を書くっていうと、まずは読んでない人の為にあらすじから書くべきなので、粗筋から書くけど、そもそもミステリーってどこら辺までが粗筋に含まれるのかが、よくわからないっていうか、「三階建て屋敷殺人事件」みたいに、殺人事件ってのがついていれば、少なくとも最低一人は殺されるので、最初の一人が死ぬぐらいまでは紹介してもいいのだろうけど、三階建て屋敷の当主が殺されて、その妻も殺されて、さらには探偵が犯人だと推測していた女秘書も死んでなどと、話の半分ぐらいまで紹介してしまうと、読む前からある程度当たりがついて、あまり良い気分がしないのだが、全く紹介をせずに、三階建ての屋敷で人が殺されるとだけ書いても、あまり読もうという気になれないので、困ってしまう。結局、そこら辺の線引きは感覚的なものに頼らざるを得ないのだけど、この小説は堂々と誰が犯人かを言う事が出来る。何故ならこいつは、主人公が殺人者、即ち倒叙ミステリーであり、今、一発変換できなかったので、不安になって、倒叙って辞書で調べてみたけど、

とう‐じょ〔タウ‐〕【倒叙


現在から過去へ、時間を逆にさかのぼって叙述すること。「―法で書く推理小説

ってな記述があって、倒叙ミステリーって本来の倒叙の意味で使われてないね、厳密にこの定義を適用すると最近の小説では、ミステリじゃないけど、桜庭一樹『私の男』倒叙小説になるんだね、ふーん。
 閑話休題
 それで、粗筋に戻るけど、主人公である、並木直俊という男が、人を、女性を三人ほど殺してやろうと思い立つ話で、そういえば、石持浅海って殺人者視点からの小説が結構多いよね、何故その三人を殺そうと思い至るかって言うのは話が進むに連れて徐々に明かされていくので、読む前からあまり知りたくないって人はここら辺でさようなら。

耳をふさいで夜を走る

耳をふさいで夜を走る

 並木君が女、それも知り合いの女三人を殺そうと思ったのは、どうやら三人が何かに覚醒するという思い込みが関わっているらしく、邪気眼だね。本のデザインも岩郷重力だし、リアル・フィクションだね、こいつは。と思った。
 そんなわけで、どうやって三人を殺そうかと思っているときに恋人というよりはセックス・フレンドのあかねさんがやってきて、そういや、今回の小説は普段より性に関わる描写が多いのね、あかねさんがセックスしようと見せかけて、並木君を殺そうとするのだけど、並木君がどうにか返り討ちにして、あかねが何故俺を殺そうとするかというと、あかねが俺が三人が覚醒する前に殺さなければならないと思っているのに気づき、何故今日殺そうとしたかというと、それは三人のうち誰かが覚醒したからなので、早いうちに三人を殺さなければならない、それもあかねの死体が発見される夜明けまでに。という考えに至ったので、並木君が耳をふさいで夜を走るっていうお話。
 僕は、邪気眼とかは結構好きな方なのだけど、この小説に出てくる覚醒にはどうも納得いかないというか、並木君の考えが受け付けられないというか、完璧なファンタジー的な世界設定でこれをやるのなら、特に問題は無いのだけど、現実世界を舞台に、覚醒だの何だのとかって言うのは釈然としないし、京極堂だったら、正常と異常に境目など無いのだよって言いそうだし、そういう境界が明確にあるという設定なのだよと言われれば、その設定の見せ方にいまいち説得力が無かったと言いたいのだが、そんなことはどうでもよくて、僕がとにかく驚いたのはラストの数ページで、その驚きは話の内容とはあまり関係ないと言えば、関係なくて、ここからは本格的にネタバレになるので反転するけど、ラストで死体の処理の方法に、死体をバラして、トイレに流すのってがあって、戦慄した。先日あった事件とほぼ一緒で、タイムリーすぎて驚いたのだけど、これはたまたま被っただけ? それとも大急ぎで加筆した? 一応連載形式で、作品事態は今年の一月で完結しているのだけど、その時から終章の死体の処理はあったのかどうかが気になります。知っている人がいたら教えてください。
 そのようなわけで、僕は今一つ釈然としないものがあるのだけど、ラストの展開で物凄く驚けたので、人には薦めないけど感想を書いてしまいたくなるぐらいには面白かったです。