『図書館戦争』と図書館ホームレス問題に共通して思うこと。

 理念は正しいのだろうけど、それって本来の図書館の役目じゃないよな。
 


 『図書館戦争』は原作を昔に一回読んだだけなので、うろ覚えなんだけど、あれって別に図書館員に武装させなくても、警官なり自衛官なり配備すれば済む問題だよね。
 例えば、銀行強盗が増えてきたからって、銀行員を武装させようって話にならないじゃん。いつ強盗に入られても良いように、指の力だけでその場にあったコインを強盗の眉間に叩き込んだり、鋭く振るったピン札で、強盗の頚動脈を掻っ切るような特殊訓練を施すよりは、ガードマンを増やした方がよっぽど効率的じゃない。
 世界にゃ図書館員しかいないってわけじゃないんだからさ、もっと行政同士で助けあって運営していけばいいじゃない。


 それで、ホームレス図書館問題に関して、俺は図書館をよく利用するけど、3年後にゃホームレスやっててもおかしくないような人間なので、どっちの味方につけばいいのか良くわからないんだけどさ、ホームレスの人権は当然あるだろうけど、だからといって、どうしてホームレスの生存権の確保を図書館「だけ」が一手に引き受けなけりゃならないのか?
 そもそも何で、ホームレスが図書館に集まるかっていうと、行政がホームレスがそれまでに居た場所、公園とか河川敷からガンガン排除した結果、もうホームレスがいられるところが、図書館ぐらいしか残らなかったってだけじゃない。
 そして、今、図書館が実際に困ってるってわけでしょ。
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080830-00000909-san-soci
 この女性専用席っていうアイディアははてブでも結構叩かれてるし、俺もあまりよろしくないと思うけどさ、じゃあ、「日々図書館に本を読む目的ではないホームレスが大勢押しかけ、一般の利用者が減少していってます。人権のことを考えればホームレスを強制的に排除することはできませんが、かといって、ホームレス対策に特別な予算は下りそうにありませんし、行政が実際に動き始めるには時間が掛かります。しかし、このまま手を拱いていては、利用者は減っていく一方です。では、現場の図書館員は一体どのような対策を採れば良いでしょうか?」って言われたらさ、苦肉の策ではあるだろうけど、女性専用席ってのはそれほど悪いアイディアじゃないと思うよ。コストもほとんど掛からないし。
 「女性専用席なんて設けて、女性のホームレスが来たら無意味じゃないか」って言われてもさ、その時は座らせれば良いだけの話で。
 男女差別だって言うけどさ、ホームレスなんて男性の方が相対的に多いわけだし、女性は近づきづらいと思う。「別にホームレスだから危険だったり犯罪を犯すってわけじゃない、そのような忌避感情は差別だ」っていう意見もあると思うけどさ、実際女性からしたらやっぱ怖いと思うよ。俺だって、歌舞伎町のモンモン背負ってるおっさんしかいないようなサウナに入れって言われたらさ、その筋の方が皆カタギの人間にすぐ手を出すってわけじゃないだろうけど、やっぱ怖いもの。
 http://d.hatena.ne.jp/aoahcw/20080831/p2
 ここの人の意見なんかは、一般の女性から見た視点や図書館員からの視点を書いていて参考になった。
 この女性専用席ってのは色々あると思うけど、現に利用できる女性が増えてるんだしさ。そりゃ、ある程度不満の声は上がるだろうけど、図書館で実際に働いている現場の人間がこれ以上の手を打つのは難しいんじゃないだろうか。だって、ホームレスが大量にやってくるっていうのは、図書館の問題じゃなくて、もっと上の福祉や行政の問題であって、今回はその皺寄せが図書館に来ているだけなんだから。

 

 で、話を戻すけどさ、今の流れを見てるとさ、ホームレスの排除はいけないって感じになっていて、それは正しいんだろうけど、どうして、図書館だけがその責務を負わなければならないのかって思うんだよね。
 冗談も建前も交えない正直なところを話すとさ、ホームレスが純粋に本を読んだり、社会復帰の為の学習や調べ物をする為に図書館を利用してるなら何の文句も言えないと思うよ。そりゃ、そんな奴がすぐ傍にいれば良い気分じゃないだろうけど、それでも、そのホームレスは自分と同じ利用者なのだから、多少臭いがきつかったとしても非難は出来ないんじゃないかって思う。
 ただ、ここで問題になってるホームレスってのはそのような殊勝なホームレスじゃなくて、むしろ、熱波や雨風を避ける為に、一種の避難所として図書館を利用している連中だと思うんですよ。
 けど、本や情報へのアクセスの為ではなくて、快適な空間が目的ならばさ、図書館に限らず、区役所のロビーなんかでも良いわけだしさ、役所の地下にある食堂なんか机と椅子があって、なかなか住み良さそうじゃん。どうせ、昼時以外は大して混んでいるわけでもないんだし。
 あるいはこちらで言われてるように(半分は暴論だと思うが読んでいて楽しかった)、国立大学のキャンパスを開放してやるとか。特に夏休みなんてほとんど誰も来ないんだし。あるいは、いっそのこと市民プールなんかを開放してやればいいんじゃないかしら。シャワーも消毒層もあって実に衛生的だ。ワハハハハ。願ったり叶ったりじゃないか。あと、本当にホームレスにとって厳しいのは、夏よりも命の危険がある冬なので、毎日とは言わないが、せめて、年越しの際には暖かいところで過ごさせてやりたいので、毎年年末年始は大人数を収容できるNHKホールを開放してやろうじゃないか。
 無論、これらはその施設の本来の目的とは異なるのだろうけど、ホームレスの場合、実際に生命がかかってるんだから、日本国憲法で保障されている生存権を維持する為に、役人の飯や、学生の明るいキャンパスライフや、プールで泳ぐ餓鬼、テレビの前で一家団欒で紅白を観たがる幸せ家族には我慢してもらうべきではないか。ワッハッハ。
 


 

 …………って話に何でならないのか、俺には本当理解できない。
 今回の件で、俺が何でこんなことを言ってるかっていうと、俺が図書館が好きっていうのもあるけど、それ以上にさ、全てを図書館に押し付けてる感が凄く強いんだよね。他のところが散々排除した結果、最後まで開放し続けた図書館にお鉢が回ってきて、その結果、一般の利用者が減ってきてしまい、しょうがないので、対策を打とうとしたら、人権なんていう切り札を盾にして一方的に非難される。ババを掴まされたというか、たまたま最後まで教室に残っていたら、勝手に掃除当番を押し付けられて、何で俺だけがって言ったらクラス全員に一方的に非難される感じ。わかりづらいな。
 最後に自分の意見をまとめると、図書館を本来の理由で利用するホームレスに対しては、正直な話、俺はあまり近寄りたくないとは思うが、非難はできないと思う。ただし、単に天候が悪い時などの避難所のように利用するためだけに来てるようであれば、出て行ってもらうべきだと思う。別にこれはホームレスに限った話ではなく。
 そして、もし、本を読んでいないからといって、ホームレスを一方的に追い出すのは、人権の蹂躙だと言う人間がいるならば、その際には図書館に限らず、税金で運営されている公共の施設を全て平等に開放するべきではないだろうかと主張したい。
 おしまい。


 おしまいって書いておきながら追記。
 コメントやブクマで指摘されていた、図書館戦争のくだりはうろ覚えで書くなという指摘もごもっともですし、別に無くても話が成立するっていう点では本当お粗末でしたね。
 一応読んだには読んだんですが、夜に勉強する際に、チョコレートを食ってニキビを作ってた場面や「上戸入れる」っていう表現を初めて見かけて感心したことや、堂上が郁に向かって「じじいのファックの方がまだ気合いが入ってる! 」と説教するシーンぐらいしか覚えてませんでした。
 で、まぁ、今日少し読み返したんですが、俺の自衛官や警官を配備しろって意見は本当に的外れでしたね。
 ただ、やっぱあの設定は図書館に負担がかかりすぎているな、とは感じましたし、大意としては、ブクマのコメントにありました

2008年09月02日 sshi 「図書館戦争」では舞台を成立させるために意図的に作られてる歪みと同じような「歪み」が現実の図書館に押しつけられてるってことでしょ。「図書館戦争」内でどういう設定で歪みが作られてるかとか関係ないんじゃ

というものだと考えて頂ければと思います。