脳髄にアイスピック このページをアンテナに追加 RSSフィード

2013-09-29

[]『ガッチャマン クラウズ』におけるヒーローとは何だったのか?

 前のエントリで、『「ヒーローとは何か」というテーマがスルーされてしまったのが残念』みたいなことを書いていたが、改めて最終回を見直すとそんなことはなかった。残念だったのは俺の見方であった。

 というわけで、改めて『ガッチャマン クラウズ』におけるヒーローとは何だったのかを考えていきたい。

 まず語られるべきは、初代ガッチャマンの要素を多く残している丈さん。いかにも典型的ヒーローとして描かれる彼は、世界を守ろうと意気込んだもののあっさりと戦いに敗れ、さらに自分より優れた奴なんて大量にいるという現実を突きつけられてヒーローであることをあっさりと放棄した。これによって、この世界ではただ優れた力を持っているだけではヒーローたりえないことが表される。

 次にクラウズ。ガッチャマンだけではどうしようもない状況で、ルイは特別な力を民衆に分け与えたことで、騒動を収束することに成功した。誰もがヒーローになれる。これは素晴らしい。しかも、旧来のヒーローと違って、個ではなく集団としての行動が可能である。まさに世界のアップデート

 しかし、彼らには力を与える際に、「ヤバかったらいつでもやめれば良い」という安全と離脱の保障も与えている。だとすれば、自らの命が脅威にさらされた時にクラウズはヒーローとして行動できるのか?

 そこではじめちゃんである。彼女は悪意の塊であるベルク・カッツェと共生の道を選んだ。このリスクを伴う選択はクラウズたちには不可能だろう。

 ここに最終回ではじめちゃんが歌っていた「ヒーローって何スかねえ?」問いかけの答えがある。

 誰もが特別な力を持つ世界でヒーローに求められるのは、他者が「できないこと」をするのではない。他者が「やりたがらないこと」を行うのが真のヒーローの条件となるのだ。

 そして、そんな割を食う役目など普通の人間にはできるはずがない。だからこそ、一之瀬はじめなのだ。

 彼女は最初から最後まで一貫して、異質の存在として描かれた。彼女の言動は学校の教室内ではもちろん、同じヒーローであるガッチャマンからも、敵役であるベルク・カッツェからも完全には理解されなかった。

 そうした周囲とは異なる価値観を持つ彼女だからこそ、「悪との共生」という常人離れした決断ができたのだ。

 こうして、一之瀬はじめという一人の少女の姿を通じて、『ガッチャマン クラウズ』は「ヒーローとは何か?」という古典的な問いに答えてみせた。

 色々ポップなキャラクターデザインだったり、SNSなど目新しい題材を取り込みながらも、それでも『ガッチャマン クラウズ』はタツノコプロの作品の系列に連なる正統派のヒーローアニメとして完結してみせたと言える。言えるのだが……

 しかし、物語は終盤で物凄い駆け足で進んでしまい、そうしたはじめちゃんの決断の部分がわかりづらくなってしまったのが凄く残念なのである。

 俺が勘違いしたのも仕方がないね!

 それでもこうやって考えると、やっぱ『ガッチャマン クラウズ』はヒーローものとして、凄く良いアニメだったと思うし、だからこそどうにかDVDが発売されるときは、最後の二話を修正して、ちゃんと補完してくれないかしらと思う次第なのである。

 おしまい。

2013-09-27

[]『ガッチャマン クラウズ』を観終わったっス!

 というわけで、二ヶ月前に推しに推していたガッチャマン クラウズ』が最終回を迎えたので感想を書くっス!

 当然ネタバレっス!(CV:矢島晶子

 …………いや、うん、まあさ、最終回の一話前のAパートが総集編の時点で嫌な予感がプンプンしてたっていうか、「あっ、これ多分まとまんねえな」って感じたわけですよ。それを考えると色んな要素をかっ飛ばしても、しっかり物語を〆たから偉いよね…………いや、けどさあ…………。

 大体、ゲーム要素一切無しの先週のタイトルが「Gamification」なのにゲーム要素一切なしで、今週になってゲームやったりしたら、「あっ、これ本当は先週やるはずだった展開だ」って気づいちゃうし、最終回放送前の関係者tweetで、監督の土下座姿がアップされるし、もう色々あかんじゃないですか…………。

f:id:Lobotomy:20130928073750p:image

 これがつまんない作品だったら、「まっ、所詮こんなもんだろう」で済むけど元が面白かった作品だけにね……。

 しかし、そんなミルクを盆に返したいみたいな話ばかりしてもしょうがない。予算も人員も時間も有限なんじゃよ…………しかたがないんじゃ。

 つーわけで、作品の話に入ろう。

 ベルク・カッツェが主人公のはじめちゃんに出したクイズの答え。

 『他人の不幸は蜜の味』。

 他人の不幸が大好きな人間たちが引き起こす混乱にどう対処すれば良いかというのが、最終回のテーマだったわけですが、その答えとして「他人の不幸が楽しいならば、もっと別の楽しいことを用意すれば良い」ってのは凄く納得いく結論だったと思うんですよ。

 他人の不幸もなかなかに楽しいわけですが、他にもっと楽しいことがあれば人間そっちの方向に流れるわけです。

 ネットでキャリア官僚blogで暴言を吐こうが、担当者から話を聞いたとかいう胡散臭い広告をでっちあげようが、そんなことよりソフマップで買ってきた『モーレツ☆にゃん×2 クリニック 〜女医とナースがマンモスギザエロE→〜』をやることの方が重要なわけですよ。千本桜が嵐の曲かどうかなんてどうでもいいわけですよ。他人の不幸よりも一発抜くことの方が優先されるわけです。だってこっちは一緒にエムズで新しいホールも買って来てるんですよ!

 小人閑居して不善を為す。つまり閑居させなければ不善は為されない。

 善意に期待するのではなく、皆で楽しめるゲームを提示することで、悪意を逸らす。

 現実でも無限にクッキーを焼き続けるなんてゲームに簡単にドハマりしちゃうぐらいだから、おにぎりをたくさん握った奴が勝ちなんてゲームを提示されたら、そらみんな夢中になりますよ。

 けど、普通に考えたらあの短時間であれだけのアプリをあんなにたくさん作れないよね…………アニメの作画もあんな風にお手軽にできたならばちゃんと終わったのにね…………いや、その話はもう終わったんだ…………俺が望んだクラウズ最終回はテレビでは見られなかったんだ…………。

 とにかく、あのやり方は作品の中で出した答えとしては充分納得がいく。

 そしてゲームやアニメや漫画、小説、音楽。エンターテインメントには、このように悪意を退ける力があるのだ。

 かの有名なアーティストはこのようなことを言っていた。

「オレは音楽に感謝している。ミュージシャンにならなければ猟奇的殺人者になっていたから……」

 さすがに、そこまで極端にいくことはないけど、劇的に人生を変えることはなくとも、一人で塞ぎこんでろくでもないことばかり考える憂鬱な時間を紛らわしてくれるかもしれない。

 そういうのって結構大切だと思うし、『ガッチャマン クラウズ』はそうした時間を与えてくれた上に、毎週次週の展開にワクワクさせてくれた時点で、充分素敵なアニメだった。

 Gメンバーがついに全員集合して、「すげえ、ついに全員そろったよ! こりゃあ次回は見逃せないな!」とテンション爆上げさせといて、次週で総集編始まったときは、流石に色んな物を諦めそうになったけど、それでも素敵なアニメだった。

 けど、やっぱ最終回で話の焦点をクラウズ中心にしてしまったばかりに、はじめちゃんが最後の方で歌っていた「ヒーローとは何か」というテーマがスルーされてしまったこととか、ようやくカッツェを見つけたはじめちゃんが「カッツェさん、そこにいたッスかー」とニコニコ笑いながらハサミを突き立てる場面がなかったのは、やはり残念なのでDVDがバカ売れしてその利益で新規カットを追加した劇場版作ったりしてくれたら凄く嬉しいし、それが実写版の興行収入を超えたりしたら色々美しいのではないだろうか。

 あと、カッツェが最後に何も見えなくなるという演出は、実写版の名台詞「俺が見えるか悪党ども……」とリンクさせているのかなと思ったけど、多分違う。

 おしまい。

2013-07-31

[]『ガッチャマン クラウズ』を薦めたくなる三つの理由。

Crowds ガッチャ盤(期間限定)

Crowds ガッチャ盤(期間限定)

 『ガッチャマン クラウズ』が面白い。

 正直なところ始まる前はめっちゃ馬鹿にしてた。

 話を初めて聞いたときは「ちょwww今更ガッチャマンってwww四十年前のアニメじゃないっすかwww四十年前って言ったらドカベンがまだ柔道やってた頃じゃんwwwwww…………あれ? ということはドカベンって四十年前に連載が始まって、今でもチャンピオンで毎週連載やってんの…………? 水島新司マジパネえな…………」と恐れおののいてしまった。

 また監督が中村健治と聞いても、ノイタミナを見ていなかったのでどんな監督か知らなかったし、「実写映画のガッチャマンにあわせて新作放映とか、タツノコはんも上手いこと商売なさるもんどすなあ」とか京言葉交じりでたかをくくっている始末。当然視聴しないまま終わるだろうと思っていたのだが、TwitterのTLを眺めていたら「はじめちゃん、おっぱい!」「はじめちゃん、めちゃシコ!」なる呟きが一部から上がっており、「おっぱいでめちゃシコか…………ったくしょうがねえなあ、お前ら!」という具合になった。

そして、その流れでの視聴後第一声が「…………ええやないの」ですよ。

 ジョジョでも話題になった神風動画によるOPはスタイリッシュでクッソかっこいいし、CGをバリバリに使ったアクションシーンは、スーツのギミックも豊富で凄く楽しい。そして何よりヒロインのはじめちゃんが可愛い。一人称が僕、「〜〜っす」という言葉づかい、それに加えてハイテンションで電波な性格。

 手帳に頬擦りするし会話するし、変な鼻歌ばかり歌うし、3メートル近い瞬間移動するジジイを見ても平然と会話するし、いきなりガッチャマンをやれと言われてもあっさり引き受ける適応力。さらに敵生物を見た最初の感想が「可愛い」だったりと、色々ピーキー。

 あと、ガッチャマンのリーダーである宇宙人、パイマンも良いキャラをしている。

 外見はパンダ。性格は頑固なおっさん。声は平野綾という一見ミスマッチな設定が上手く調和しており、見ていて凄く楽しい。

f:id:Lobotomy:20130731080955j:image:w640

リーダー、パイマンの雄姿。その実態は昼からビールの缶を何本も開けるダメパンダ。

 他にも物語の中心に、オカマ、女装癖、性別不明の宇宙人など、トランスジェンダーなキャラが三人も配置されていたりと、色々おかしなことをやっている。こうしたキャラクターたちの存在だけでも充分魅力的なのだが、他にも楽しめる様々な要素が盛りだくさんなので、順番に挙げていこう。


その1 まったく新しい作品であること。

 

 冒頭にも書いたように初代ガッチャマンといえば元々は四十年前のアニメである。その続々編であるガッチャマンFですらテレビ放送されたのは三十年以上前。そこまで時代が離れてしまえば流石の矢口真里も「子供の頃から大ファンでした!」みたいなことは言えないだろう。それに彼女今それどころじゃないし……。

 だから今の若者のガッチャマン知識といえば、「ジョーって人がめっちゃミサイルをぶちこみたがるんでしょ!」や「『第三世界の長井』の博士にそっくりなキャラが出てくるんだよね!」や「昔、SMAPがCMでやってたよね!」ぐらいのもんであろう。多分、「科学忍者隊」というフレーズを耳にしても、サラリマンをネギトロにするザイバツのサイバーなニンジャの集団を想像してしまうに違いない。

 そんな状態でガッチャマンの新作をやると言われても、「…………自分初代を見ていないので新作とか結構っす」みたいな気持ちになってしまうよね。ってか俺はなった。

「だいたいさー、いくら実写映画でやるからって今更ガッチャマンとか持ち出されてもさあ…………そういえば今年の夏にはフルCGのキャプテン・ハーロックも公開されるらしいね、最近あれだね、コンテンツ不足に乗じて、偉くなったオッサンが自分が子供の頃に好きだったものを、金かけてリメイクしたがる傾向ってあるよね…………結局これもパッと見、新しめに見せかけてどうせ旧作の内容をなぞったものが出てくるんだろうな」って思ったらめっちゃ今風っすよ!

 舞台は立川だし、時代は2015年だし、SNSめっちゃ流行ってますし、変身する人達、誰一人マントを羽織っていないっすよ! ってかヒーローどころかパワーローダーみたいになってる奴まで混じってるっすよ! ガッチャマンの名前を借りてやりたい放題っすよ、先輩!

f:id:Lobotomy:20130731081128j:image:w640

 変身後マシンに乗り込んだとかではなく、変身して直接これになる。つよそう

 大体一話のサブタイトルからして、「Avant-garde」ですからね。初めて見たときは「…………エイベントガーデ(震え声)」とか思ってたけど、アバンギャルドって読むんですってね、これ…………そう、アバンギャルド。つまりこのアニメでは既存作品の焼き直しなんかを作る気はさらさら無く、現代、この瞬間の最前線のアニメを作ってやろうという気に満ち満ちているのだ。

 そして、その現代の象徴となるのが本作の中心に位置するSNS「GALAX」だ。


その2 ヒーローとの対立軸にSNSを置いていること。

 

 現代のインターネットを語る上で、欠かせることのできないのがソーシャル・ネットワーキング・サービス、SNSである。もう今この現代、老若男女、猫も杓子もSNSですよ。

 日常的にPCを扱う多くの人間がtwitterやmixi、Facebookなどのアカウントを持っている。ちなみに、このネットの最果て、限界集落はてな村にも「はてなOne」と言われるSNSが存在し…………えっ、サービスもう終わったの!? マジで!? だって去年の2月にできたばっかり…………ああ、そうなの、ふーん…………まあ僕は誰からも誘われなかったから別にどうでもいいけどね…………あとwikipediaで、ソーシャル・ネットワーキング・サービスの一覧とか見てたら、「紳士と淑女のためのクンニサークル」というのが見つかったので、SNSってすげえなって思った。

 閑話休題。

 とにかく最近はSNSが流行りで、ちょくちょく色んな形で漫画やアニメやドラマにもSNSが登場したりするのだが、本作ではそのSNSが話の中心に据えられているのだ。

 その名も「GALAX」。

 作中での描かれ方はアメーバピグやLINEとtwitterなど既存のSNSを上手く組み合わせた感じ。


f:id:Lobotomy:20130731081309j:image:w640

 こんな感じ。はてなOneにもこれぐらいのキャッチーさがあれば……。

 

 そして、これらに加えてGALAX内にはユーザーの質問に答える超高性能AIが常駐されている。

 何か困ったことがあったときに、相談すると上手い解決策を提案してくれるのだ、それも丹下桜ボイスで!

 そんなサービスがあったら即登録するじゃないですか。だって丹下桜がこちらの質問に何でも答えてくれるんですよ。

 「『紳士と淑女のためのクンニサークル』ってどういったSNSなの?」って訊ねたら、「クンニが好きな人同士で情報交換と親交を深めるサークル活動を行っています」って言ってくれるんですよ! 丹下桜が!! 最高だな、GALAX!

 他にも、事故が起こったときに呼びかけたりすると、近辺にいるGALAXユーザーに連絡して、救急車よりも早く救助体勢を整えてくれたりするなど、凄く便利。

 そんなGALAXのそのキャッチフレーズは

世界をアップデートさせるのはヒーローじゃない。僕らだ。

 その言葉を裏付けるかのように第三話では、未殺菌の牛乳が流通するという事態に対し、GALAXユーザーたちの連携によって被害を減少してみせた。ガッチャマンの出番一切無し!

 これを見て「そんな都合よくいくわけねえだろ」と思う人もいるかも知れないが、その数日後、高校生達がLINEによって避難情報を共有し、被害を減じるというニュースが報じられ、この作品で描かれているのが単なる絵空事ではないことを証明してみせた。

 そして面白いのが、本作ではこうしたSNSを単純に肯定的に描いているわけではないのである。今回の描写に関しても、GALAXのユーザーたちは、自販機のコンセントを抜くなどして被害の軽減に努めたが、そこではGALAXから与えられた情報を疑う様子などいっさいない。そうしたGALAXを過信する彼らの様子がどこか薄気味悪いのだ。

 こうした演出はこちらの深読みというばかりじゃなく、意図的にやっていると思われる。

 SNSは人々に旧来のメディアでは考えられないほどの速報性をもたらしたが、それとひきかえにデマや風説の流布などもたやすく可能にもした。最近でも、東京都内でパーナさんなる人々が大変なことになっているという噂が流れ、一部に混乱と不安と爆笑をもたらした。

f:id:Lobotomy:20130731081311j:image

 混乱と不安と爆笑の一例。


 現状、作中のGALAXでは、丹下桜AIによる高度な情報統制が行われており、健全な状態が保たれているように見える。だが、そこに何らかの悪意が介在すればどうなるか?

 今後は、おそらくそういった面もクローズアップされていくと思われるのだが…………さて、それではガッチャマンはそこにどう絡むのか?



その3 先の予想がまったくつかないこと。

 ガッチャマンはヒーローものである。だからやはり変身して悪い奴と戦うんだろうというのが予想される展開であるが、本作品の場合、そうした予想が通用しない。

 だって戦う相手がいないんだもの…………。

 第一話の時点では、MESSと呼ばれる謎の生命体と戦っていたわけだが、第二話で早くもコミュニケーションらしきものが成立し、和解を果たしてしまった。

 一応人間に擬態して悪さを働く、ベルク・カッツェという謎の宇宙オカマも存在するが、やってることといえば、カップルを階段から突き落として「メシウマーーーーー!」と叫んだりするぐらいだ。

f:id:Lobotomy:20130731081312j:image:w640

 男と熱いキスを交わすカッツェさん(右)。

 この後、左のおっさんに擬態し、カップルを階段から蹴落としてメシウマ状態。

 そういうわけで、第三話にして変身シーンなしというヒーローものとしては異例の展開を見せており、活躍するのはGALAXばかり。

 そんなGALAXのユーザーたちは、作中で「ギャラクター」と呼ばれている。このギャラクター、聞いてもピンと来ない人も多いだろうが、実はこれ、初代ガッチャマンの敵組織の名前なのである。しかもGALAXを管理している丹下桜AIの名前が、初代のギャラクターのボスであった「総裁X」。

 なるほど、じゃあ、やはりGALAXが敵になるかとも思うのだが、そう単純に話は進まない。ガッチャマンのメンバーの大半がGALAXのユーザーである。すなわちガッチャマン=ギャラクター。シリーズ内の固有名詞を上手く流用しながら、ますます先の読めない展開を作ることに成功している。

 そもそも現代社会において、こいつを倒せば全てが解決する巨悪など存在しない。だったらコツコツ人助けや犯罪の取締りでもすれば良いのかもしれないが、作中ではそのような役割をギャラクターが勤めてしまっている。まさに「世界をアップデートさせるのはヒーローじゃない」のだ。そのような世界でヒーローはいったいどのような役割を果たすのか?

 他にも色々と登場人物や設定にも謎が多く、先の展開が読めないわけだが、この読めないというのは決していい意味ばかりではない。

 様々なテーマを盛り込んだこの内容がちゃんと12話内に収められるのかとか、変身できる五人のメンバーの内、現時点で二人しか変身していないが他のメンバーの活躍シーンが足りるのかとか、第三話にして、絵コンテ四人、作画監督六人という総動員体制に入っているが、スケジュールは大丈夫なのか? とか、思わず心配になってしまう部分も数多い。

 そういった部分も含めていろいろな意味で予想がつかず、テンションの高い主人公に引っ張られ物語も進んでいき、まるでジェットコースター気分。というわけで、リアルタイムで今後の展開を是非とも見守っていきたいのが、残念な部分が一つだけ。

 本作品は日本テレビでしか放映されていないのだ。Webでの配信も、放送日翌週の木金を除けば基本有料。もうすぐ公開される映画版の宣伝にもなるのだし、もうちょっと手軽に観れる環境を整えてくれるとありがたいのだが。

 何はともあれガッチャマンという懐かしのヒーローを使っていながら、物凄く新しいことに挑戦しているアニメなので、観れる環境にある人はチェックしてみると良いっす!

 他の方による『ガッチャマン クラウズ』の紹介エントリ

アップデートされるヒーローと世界「ガッチャマンクラウズ」 - 藤四郎のひつまぶし

ガッチャマンクラウズが予想以上に面白いアニメだった、という話 - リテラシーラボラトリ

2010-01-10

[]最近気づいた

 アニメを見る際に、伏線をきちんと回収してるか否かばかりに注目するあまり、伏線の回収の巧拙をあまり問題視していないことに気づいた。

 「エヴァと違って伏線を回収している」という主張はありだけど、それがとってつけたような形だったら、よろしくないよね。あんまりスッキリしないよね。嘘だと思うならデビッド・フィンチャーの『ゲーム』って映画を観てごらんよ。

 「視聴者の読解力が無いだけで、ちゃんと伏線は消化してる」っていう物言いは一理あるかも知れないが、それ言っちゃうと、「この作品の素晴らしさが分からないのは、お前が悪い」とかいう宗教論争に平気で繋がっちゃうので難しいよね。

 あと、上の話とは一切関係ないけど、『DARKER THAN BLACK』は面白かったね。蘇芳が可愛かったね。

2009-07-17

[]うんざりした方々に送る「エンドレスエイト」をもっと楽しむ方法

 皆さん、ハルヒ2期見てますか?

 なになに、ハルヒは好きだし、消失は楽しみだけど、「エンドレスエイト」はもううんざりだって?

 そんなこと言っちゃいけませんよ。あれは京アニの斬新な演出手法にして、ここで現状のSOS団の日常、ひいては『涼宮ハルヒの憂鬱』という作品に倦怠感を抱くことによって、後に続くであろう「涼宮ハルヒの消失」がより面白く感じられるんですから。ここ最近では、ループ設定を使った作品は多く作られています。そうした際に、登場人物が「繰り返される世界に飽き飽きする」といった内容の発言をする場合がありますが、その反面、その作品を享受する側が、ループ展開にうんざりするということはあまりありませんでした。多くの作品は消費者のことを考えて、延々とループが続く展開でも、微妙な状況の変化、視点人物の変更、ループすることでしか気づけない細やかな演出を挟み込むことで同じ繰り返しであっても退屈させないように作りこまれてきました。

 ところが、この「エンドレスエイト」ときたら!

 ここまでミニマリズムに徹し、同じ話をたいした工夫もなく同じ展開のまま、繰り返し続けるという蛮勇っぷり。普通のファンだったら投げ出しますし、熱心なファンでも嫌気がさすころです。ですが、しかし。ここまでして描かないとループする世界がもたらす絶望感を視聴者に体感してもらうのは難しいんですよ。

 このループする世界がもたらす倦厭をこのような形で表現しようとしたことだけでも、僕は「エンドレスエイト」を評価したいと思います。

 しかし、頭では理解していても、テレビの前で30分座り続けながら、先週見た話と同じ話を見続けるというのはなかなか苦痛なものです。

 そこで、不肖この私めが代わり映えのしない「エンドレスエイト」を楽しんで視聴するためにいくつか実践的なアイディアを考えてみました。


1.賭ける

 生き物の中で賭け事をするのは人間だけであり、そういった意味でギャンブルというのは大変文化的な営みでありますが、ハルヒをその対象にしてしまえばいいのです。

 やりかたは至って単純。アニメ好きの知人とはたして来週で「エンドレスエイト」が終わるかどうかを賭ければいいのです。

 賭けるものが、缶ジュース一本やオナホール一本ぐらいだと微笑ましいですが、エスカレートして、諭吉一枚、DVD-BOX一セット、実印と通帳辺りになってくると、もう「エンドレスエイト」が終わるかどうかの話ではありません。ここまでくると、もはや「エンドレスエイト」が続こうが終わろうがどうでもよく、最終的には賭けに勝つことしか考えられなくなる事でしょう。その時、貴方はこれまでの人生でかつて無かったほどの熱意をアニメに向け、さらにはアニメの登場人物に対して、本気で祈る事になるのです。そして、その結果勝負に勝った時の充実感は、これまでのアニメの視聴体験では味わえなかった至福を貴方に与え、この終わらない夏を一生の思い出にしてくれる事間違いないでしょう。

 負けることを考えてはいけません。やる前から負けることを考えてる奴は絶対に勝てないって何かの漫画で読みました。また、勝負に勝ったあとの友人との関係についても考えてはいけません。博打とは勝っても負けても地獄なのですから。


2.もっと見る

 一回しか見ないからいけないのです。たった一回しか見ないから、一週後には記憶が薄れてしまい、大まかな話の内容しか覚えておらず、新しい「エンドレスエイト」が微妙に台詞の内容やカット割りを変更していることに気づけずにいるのです。

 だから、もっともっと繰り返し見れば、そのような違いもはっきりわかり、新しい「エンドレスエイト」を改めて楽しめる事でしょう。

 朝起きてニュースの代わりに、「エンドレスエイト」を一回見て、出かけて、電車の中で「エンドレスエイト」を見て、昼休みに昼食を食べながら「エンドレスエイト」を見て、帰宅中電車の中で「エンドレスエイト」見た後、夕食前に「エンドレスエイト」を一回見て、夕食を食べながら「エンドレスエイト」を一回見た後風呂に入り、風呂の中で「エンドレスエイト」を一回見て、風呂から出たら「エンドレスエイト」を一回見て、さらに就寝前に「エンドレスエイト」を一回見るという生活を一週間繰り返してみてください。

 その時のあなたの目には新しく放送される「エンドレスエイト」が大変新鮮で面白い作品に変わっていることでしょう。その時初めて貴方は、「エンドレスエイト」がどれだけ面白い作品なのかを知る事ができるのです。

 ちなみにその週で終わらなかった場合は上記の生活を再度繰り返してください。全ては繰り返されるのです。


3.2chを見る

 真面目にアニメなんか見てないで、テレビを流し見しつつ、2chの実況板でキモオタどもの阿鼻叫喚の図を半笑いで見てれば、どうにかなります。昔学校の先生が、本当に辛い時に有効なのは、誰かの慰めの言葉じゃなくて、自分より辛い奴の姿を見ることだって言ってました。


4.記憶を失う

 「エンドレスエイト」が変わらないなら私たちが変わればいいのです。

 何度も見たからうんざりするのであって、内容を忘れてしまえば、例え「エンドレスエイト」の内容が同じであっても、新鮮な気持ちで見られることでしょう。

 しかし記憶を失うと軽々しく書きましたが、記憶を失うためには何をすれば良いか? セレソンじゃない私たちにとってはなかなかの難題です。

 そもそも、人間の記憶には二種類ありまして、一時的に海馬に蓄えられる短期記憶と、大脳皮質に蓄えられる長期記憶があります。さっきググったので間違いありません。

 人間の記憶とは、一度海馬に蓄えられた短期記憶が、大脳皮質にまで送られると、バックアップが取られてしまい長期記憶として残ってしまいますが、この短期記憶が海馬に留まり、大脳皮質に送られないと、人は結構簡単に忘れてしまいます。

 このメカニズムを利用すれば話は簡単です。

 「エンドレスエイト」を見終わって、今週も終わってない事が確認されたら、その直後に壁か柱に頭を全力たたきつければいいのです。記憶がなくなるまで何度も。

 額から血を流しながら、それでも頭を叩き続ければ、脳震盪が起こり、貴方はもう立っていられなくなるでしょう。それぐらいやれば、海馬の方もさっき見たアニメの内容なんか忘れてるはずです。これで一週間後貴方は病院のベッドの上で、新鮮な気持ちで次回の「エンドレスエイト」を観る事ができます。

 ちなみにこの記憶を消す方法は私が適当に考えて、ググってないので、間違ってるかもしれませんが、トラブルに関しまして、当方では一切責任を負いかねますので、実行の際には個々人の自己責任でお願いします。ご了承ください。

 まぁ、痛いのが嫌な人は、奥森先生にでも頼んでください。


5.我慢する

 ちょっとやそっとつまんない展開が続いたからって何だってんだ!?

 お前らのハルヒに対する愛情はそんなもんなのか! 違うだろ!? これがお前らが散々待ち続けて、ようやく再び観る事ができたアニメ版ハルヒなんだ! こんな他人の与太話を読んでまで楽しもうとしないで、無理矢理にでも自分で面白いところを見つけてみせろ!! それでもつまんないと思うなら、お前の愛情はその程度だ! DVDを全部まんだらけに売って、ハルヒなんか忘れて真面目に生きろ! 

 けど、それが出来ないから、いい年していつまでもアニメなんか見てるんだろ!? だったらつまらなかろうが、退屈だろうが、歯を食いしばって「エンドレスエイト」を見続けるしかないんだ!! その先に待ってる「涼宮ハルヒの消失」はきっとここまで待たせた分面白くなってるに違いない。ここまできたら、それを信じて見続けるしかないんだよ!! 

 もし、それで今後の展開がつまらなかったらしかたねえ。黙ってDVDの予約を取り消して、売上げが伸び悩む事態に慌てふためく角川や京アニの姿を眺めてれば良い。それでも納得いかないんだったら、2chやblogで毒を吐けばいい。けどな、まだアニメはこれからどんな展開を見せてくるかわからねんだ! だったら、ちょっとやそっとおかしな展開が続いてるからってオタついてるんじゃねえ!!

 




 あー、ちなみに俺っちは、今期のハルヒ全く見てないっす。

 あたりめーじゃねえっすか。まともに見てたら人事みたいにこんな適当な事書いてられねーっすよ。怒り狂って今頃京アニに電話してたかもしれないっすよ。ほら、俺はアニメの続きなんかよりも原作の続きであるところの『驚愕』が発売されることを今か今かと待ち続けてるんですから。まぁ、あれだ『驚愕』が発売されたらアニメもまとめて見ることにするっすわ。ほいじゃねー。バイバイキーン。