【書評】2ちゃんねるはなぜ潰れないのか?

ビジネス感覚と法知識とプログラムを読む能力と空気を読む力としたたかさといい加減さの奇妙なバランス

2ちゃんねるやwinyにかんしては「ビジネスモデル」ではなく、公共的インフラというかニートライフラインになっているのではないかとも感じる、今日この頃だが


2002年7月1日付けのASCII24 にこんなのが載っていた。 400万円の支払いを命じられたのを受けての記事。

【IT事件簿】“2ちゃんねる”が衰退していく?
http://ascii24.com/news/reading/causebooks/2002/07/01/636911-000.html

同様の訴訟が続けば、2ちゃんねる存続の危機も
(以下略)

この記者の予想に反して、いまだ潰れそうにもない2ちゃんねるの不思議さについて書かれた(語りおろし?)新書を読んだ。

2ちゃんねるはなぜ潰れないのか? (扶桑社新書)

2ちゃんねるはなぜ潰れないのか? (扶桑社新書)

なぜ潰れないかについては、実にあっさり結論を出している。
裁判に負けたって、賠償金の支払いを求められても「賠償金に関しては支払わなくても刑事罰が発生することはない(p133)」ので、放置していても当面は大丈夫ということのようだ。
そういえば交通違反のもみ消し方が、彼のネットデビュー(?)だった。w



西村博之氏の発言は、それなりに追っかけていたりするので、それほど目新しいということもなく、いつもの調子だなぁという雰囲気。
ただ、この本では「プログラムを読める」という彼の一面を改めて感じたりする。


web2.0と騒がれている事業については「おもしろいか」「技術的に凄いか」「需要があるか」「利益が出るか」という、それぞれの側面から冷ややかに見ているようだ。
ここら辺の感覚とバランスが、一種独特ではある。 


まだ読んでいないけれど

SNSの研究 あなたはまだ「マイミク」のことが好き?

SNSの研究 あなたはまだ「マイミク」のことが好き?

と読み比べると興味深いのかもしれない。


yomoyomoの読書記録  より

PART1の佐々木俊尚さんのまとめ記事はいつもながら手堅い内容だったが、ナナロク世代によるネットベンチャー企業を指して、

 これらの企業の目立つ特徴としては、高い技術力を背景にして、よく練られたビジネスモデルを持っていることである。(19ページ)

というのに椅子からころげ落ちそうになった。「よく練られたビジネスモデル」ねぇ……

「高い技術力」に関しても、西村氏からはひと言有りそうな予感…



個人的には佐々木俊尚氏との対談が興味深かった。
見出しは「〜西村さんの言っていることは、実も蓋もなさすぎてついていけない〜」と有るけれど、この部分は梅田望夫氏との対比で出て来た言葉。 本文ではこうなっている。

西村さんの言っていることは、身も蓋もなさすぎてついていけないですけど、梅田さんの論もあまりに牧歌的すぎるんじゃないかなと思う。 言っていることはすばらしいし、誰にも否定はできないんだけれど、本当にそんなふうに動くのかと感じてしまうよね。

佐々木氏は「現実的な西村、理想論の梅田」という立ち位置から、ネットを考えているようにも見える。
だた、この対談ではあまりにベタな現実論を述べる西村氏に押され、理想論の側から何かひと言いいたそうな雰囲気になってしまっていることが、ちょっと面白い。 以前に市民ジャーナリズムの説明したとき「そんなもの無理ですよ」とあっさり言われてへこんでしまった、なんて愚痴を言ったりしている。 
*1


そういえば「見も蓋もない」という点では、過去に佐々木氏はホリエモンにも似たような評価をしていたな。


小飼弾氏との対談は、読者置いてけぼりだった ww

*1:佐々木氏はOh my News の中の人でも有る(有った?)