2009-12-09
クリスマスの贈り物に!その4 一見音楽に関係なさそうですが・・・F.M.Alexanderの著作読んでみました
12月となりました!クリスマスの時期も近づいております。弊ブログで時折やっております
こういう機会にクラシックCD等々贈り物は如何でしょう?
の企画です。
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さて、今回は音楽鑑賞よりも、ご自分で演奏される方向けのおすすめになりますが、アレクサンダー・テクニックの創始者のF.Matthias Alexanderさんの著作を取り上げます。先日のhttp://d.hatena.ne.jp/Look4Wieck/20091124/1259057193の記事に関係しますので、弊ブログの推定読者の方々のご興味とは異なるやも知れません。しかしながら、誰がどの立場で読まれても、大変興味深い内容で、私自身も音楽と関係ない興味から読んだものの、音楽鑑賞の姿勢についてもいろいろ考えさせられました。和訳が無いので、英書ですが、恐れるに足らず。英書にはじめて挑戦した方にも実りある読書体験となるはずです。
巷に同テクニックの入門書等々は山ほどありますが、やはり本人の著作を読むと一番わかりやすかろう・・・そんなつもりで読んでみて、実際、その通りという印象を得ました。さまざまな実例をまぜて、くどくどくどくどとあっちの方向から、はたまたこっちの方向からと説明してくれるので、入門書や実際のレッスンで*1、「こんな考えでこういうことをしているのかなぁ?」などと疑問に思ったことも大概最初から書いてある・・・という印象。全部で四冊あるのですから、入門書一冊よりいろいろ書いてあるのは当たり前とも言えます。
勿論、巷の入門書や解説書が要らないと云うのではありません。巷の入門書や解説書は、それぞれの書き手として強調したいこともあるし、それぞれの経験を通して新たに付け加えていることもある。ただそんなこんなもアレクサンダーさん本人の原書を読んでみると、理解が助かることが多かろう・・・と、あくまでそんな意見です。
同氏に興味がある方には、大体なんについての話かは検討がついていることでしょう。ここで私が不用意なまとめを書いても混乱しますし、意見がやっぱり偏ってしまうでしょう。そもそも、そんなことを避けるために、本人の著書を読むのですから、以下の文章は、あくまで原書を読む為のちょっとした手引きとお考えください。*2
◎どんな著作があるのか
http://en.wikipedia.org/wiki/F._Matthias_Alexander#Works
にある通りの四冊です。今現在、日本のAmazonで買いやすいもので挙げてみますと。
- 作者: F. Matthias Alexander,John Dewey
- 出版社/メーカー: Standard Pubns Inc
- 発売日: 2007/09/30
- メディア: ペーパーバック
- 購入: 1人 クリック: 5回
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Constructive Conscious Control of the Individual
- 作者: F.Matthias Alexander,Walter Carrington,Jean M.O. Fischer,John Dewey
- 出版社/メーカー: Mouritz
- 発売日: 2004/08/03
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- 作者: F. M. Alexander
- 出版社/メーカー: Orion
- 発売日: 2002/03
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The Universal Constant in Living
- 作者: F.Matthias Alexander,Jean Fischer
- 出版社/メーカー: Mouritz
- 発売日: 2000/06/23
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これにプラスするなら、投稿記事&講演集の
- 作者: F.Matthias Alexander,Jean M.O. Fischer
- 出版社/メーカー: Mouritz
- 発売日: 1995/07
- メディア: ハードカバー
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わたしはまだこちらは手に入れておりません。
実際検索してみると、いろいろな版が出ていて迷う所です。私も全部ではないけれど幾つか手にしましたが、薄い黄土色表紙の英国のMouritz版が、校訂もしっかりしていて、字も大きくて読みやすいと思いました。「一時的に在庫切れ」とあるものなら、注文後、数週間で届きました。とは言え、どこの出版社かは、そんなに気にすることもなく価格や納期で選んで、よろしいかと思います。
ご注意すべきと思うのは、たとえばこちらにある『Mans Supreme Inheritance: Conscious Guidance and Control in Relation to Human Evolution in Civilization』のKessinger Pub Co版。絶版状態の本をデジタルデータ(要するにスキャン画像)の印刷で出す出版社だそうですが、わたしが手にとったものは、i) 時に若干ピンぼけで少々読みにくい ii)付箋やなにかのせいか部分的に読めない部分が多々 iii) データのご配列と思いますが乱丁1頁あり iv)折り込み頁をちゃんと開かなかったと思いますが、多分それによる落丁一頁あり です。どうしても他に手に入らないというのであれば、全体の理解に支障はないとは言えますが、他に複数版があるなら、これを選ぶ理由があるか疑問です。そもそも扉に「デジタルデータ仕様のため、乱丁・落丁は当社のコントロールするところにあらず」とありますので、そういう問題がありうる・・・と考えた上で、選ばれるべきです。*3
◎アレクサンダーさんの著作は難解か?
その思想が読み手にとって新しいから難しいのであって、言葉や説明自体は懇切丁寧で簡明さを追求し、言葉自体平易なものを選んでいると感じました。「英語で読むのか・・・」と恐れるほど難しいとは思いませんので、ぜひトライください!よく序文をものしているジョン・デューイ John Deweyや時折、引用されるオルダス・ハックスレー Aldous Huxley の文章の方が、よほどややこしいと思われる程です。
とは言え、アレクサンダーさんの著作は難解だと云われるのは時折り目にします。思うに、それは処女作の『Man's Supreme Inheritance』の前半である第一部の印象が強いのではないでしょうか? この前半部分を、後半、ないしはその後の三冊と比べると、構文も幾分複雑で、センテンスが長く、いわゆるbig words(難解な言葉)も少し多め。私に取っては、この前半だけ、結構ややこしいものでした。
◎四冊の著書を読む順番は?
上の項で書いたことに関連しますが、処女作『Man's Supreme Inheritance』の第一部だけ難しいと考えれば、むしろ、この部分を後回しにしては如何でしょうか? 順番に読みたいという方は多くいらっしゃることでしょう。その方が、著者の考えの発展通り・・・と思うのも自然です。ですが、アレクサンダーさんは冗長もおそれず必要に応じてくどくど説明してくれますし、それぞれの著作の中で、一応は全体像が理解できる様にと心がけてもおられるので、難しい『Man's Supreme Inheritance』の前半は他を読んだ後で開く・・・その方が、割とすっきり読み進められ、「アレクサンダーさんの本は難しい・・・」と放ってしまうこともないかなと。ささいなテクニックですが・・・。
難しい『Man's Supreme Inheritance』の前半だけを後回しにすれば、何から読んでも構わないと思います。それでもどこから・・・と迷う場合、アレクサンダーさん自身が、どうやってそのような心身並行論(とまぁ言ってしまってよいと思います。)に至ったのか、その過程についての詳述は、三作目の『The Use of Self』の前半にのみ詳しく書いてあるので、この本の全体の長さも短いですし、安価ですから、まずはこれから入っては如何でしょうか?*4
◎四冊全部読まないといけないの?
くどくどくどくどと冗長も恐れず説明してくれますが、著作によって、章によって、その説明の仕方や切り口を変えてくれていますし、ちょっとした心身の運用法等々、あっちこっちにヒントが見つかるものですから、やはり全部読むに超したことはないと思います。
例えば、体の部分は一部としてとりだせるものでない、体全体と相互に影響し合っているのだ・・・という話とその具体的な探求法は、すべての著作に出てきますが、いきなりそれを探そうとしてもどうやっていいのか???と迷うことでしょう。頭首、背骨等々の関係をどう見つけるか、例えば、『Man's Supreme Inheritance』の第二部にある、椅子から立ち上がる・座るの事例による詳述を読んで実践してみたからこそ、糸口になったという方だってあるかと思います。そんな次第で、あっちこっちのちょろっとした記述の中で、「はっ!」と思う事はひとそれぞれのはず。御予算やお時間がゆるされる限り、やはり全部読まれることをおすすめしますし、わたしもすべて読んで良かったと感じております。
とは言え、いきなり四冊も読むのは億劫で、忙しくて時間もないという方も多いかと。どの道、長い付き合いになるでしょうから、無理のない範囲で、「これを読むぞ」という意思に従って・・・そんなつもりで宜しいのでしょう。
◎実際にレッスンを受ける前に読むべきか、読まないべきか?
アレクサンダーさん自身は、実際のレッスン前に著作を全部読んでおいてと言っていたそうです*5。実践をともなわずに字を読んだだけでは判らないのは、心身並行論なので当たり前。自分で自分の体を観察し、新たな運用を探して、実践して行く中で、ところどころ、時には最初から読み返すということになるはずです。よって、なにがなんでも先に読んでおくべきでもないでしょうが、一度目を通しておけば、レッスンの中で出てきた疑問や「こうではないか」という自分の考えを著作に確認しやすいですし、読んで理解していたつもりがどうも違うぞ・・・と思ったりすることも多々あるでしょう。全部といわずとも、一冊二冊前もって読まれる事をすすめたいです。
私自身は、巷の入門書・解説書等々だけを読んでから、レッスンを受けましたが、さきに本人の著作も読んでおけば良かった・・・と感じました。
とは言え、長い付き合いですから、どっちが先になっても、長い目で見れば、どうにでもなることでしょう。私の拙い実践でいうのは、おこがましいのですし、いろいろ思い違いもあるはずですが、実際にやってみて、あーそうかと自分也に合点もいったり、理解不足や間違いにも気付かされるもので、一回読んで終わり!という付き合い方でなければ、問題はないとも思います。
◎その他
アレクサンダー氏は、1869生まれ、1955没の大英帝国臣民です。the savegeとthe civilizedといった、今でいうなら侮蔑的な表現がそこここにあります。未開の日本があっと云う間に西洋流を身につけたのは人間の適用力を示してあまりある、といった記述も見つけられます。この当時の人の指向の癖・言い回すの癖があるなと思って、肝要な主張はなんなのか・・・と、読み進めて行けばいいもの。これは、ここまでお読みの方なら、うまくできるものと思います。
アレクサンダーさん自身、そういった癖をみずから直した面白い事例を挙げますと・・・。 処女作『Man's Supreme Inheritance』の1918年増補・改訂版で、第一次世界大戦を背景に、ドイツと英国を比較して、大枠、軍国主義批判でありながらも、傍目には無茶なドイツ批判を述べています。しかし、最後の著作『The Universal Constant in Living』の中では、第二次世界大戦の経緯を見て、世間では、チェンバレンの宥和政策、独伊への戦争指導者への批判が強いけれど、我々自身の対応はどうだったのか、、、独伊がどういう道に進むかは半ば判っていたのに、戦争直前まで彼らに軍需物資を売り続けていたのはわれわれ自身ではないか、だからこそ彼らは戦争を始める事ができたのではないか?と疑問を呈しています。歴史的事実をどうとらえるかは難しい問題ですし、人それぞれさまざま意見があることでしょう。ただこれを、アレクサンダー氏を19世紀的な hard-liner と考えるには当たらない、一つの事例としても良いと思っております。*6
*****
かくなる次第で、楽器演奏でもしていないと関係ない著作に見えますが、自分の無意識的な癖に気付いて、よりよい新たな方法を取り入れ続けるための日常の技術という言い方をしても良い内容です。私自身そうなのですが、日頃ついつい「あれが絶対!これが絶対!」「もう自分の好みはこれで固定してます」なんて思ってしまったり、誰か権威者の意見についつい依存したり安心したりしてしまうなんてことがあるなら、アレクサンダー氏の著作を読んでいろいろ改善のヒントがつかめると思います。
毎度おはずかしい駄文ではございますが、
- 作者: F. Matthias Alexander,John Dewey
- 出版社/メーカー: Standard Pubns Inc
- 発売日: 2007/09/30
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Constructive Conscious Control of the Individual
- 作者: F.Matthias Alexander,Walter Carrington,Jean M.O. Fischer,John Dewey
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- 作者: F. M. Alexander
- 出版社/メーカー: Orion
- 発売日: 2002/03
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The Universal Constant in Living
- 作者: F.Matthias Alexander,Jean Fischer
- 出版社/メーカー: Mouritz
- 発売日: 2000/06/23
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これらの著作にご興味を持たれる一助になれば幸いです。では!
*1:わたしも受けた事があります。
*2:ちなみに私の英語力は、何年も前にTOEIC935点出しましたが、その後は何年も自分の興味で英語に接する程度です。TOEICなら760点程取った方や、年に数冊程度でも、ときどき英書を手にする習慣のある方ならそんなに苦労はないと思います。
*3:貴重な本がこのようにして手に入る機会が増えるは、有り難いのことですが、上述のような問題がある場合、出版文化全体から見て危うい問題ではないか・・・と感じました。ただ、同社の出版物全体としてどの程度問題が生じているのか、小生も具体的に知りませんので、あまり否定的にばかり捉えるのも性急と思っております。
*4:細かいことを言いますと、二冊目の『Constructive Conscious Control of the Individual』もややセンテンス長くて・・・と感じる方もあるかも。それなら、三冊目、四冊目を先に読んでしまった方が良いやもであります。
*5:こちらの本『ひとりでできるアレクサンダー・テクニーク―心身の不必要な緊張をやめるために』に、そういった記述あり。とは言え、実際、本を読んだかどうかレッスンの中で問いただしたりはしなかったそうです。
*6:晩年の著作になるほどに、いわゆる進歩主義者典型の口調が減って、簡明ながらも、もっとmildで、deliberateになっていると感じました。
2009-12-07
クリスマスの贈り物に!その3 音楽から脱線するようですが・・・小松 英雄著『徒然草抜書』
12月となりました!クリスマスの時期も近づいております。弊ブログで時折やっております
こういう機会にクラシックCD等々贈り物は如何でしょう?
の企画です。
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今回音楽の話と脱線するようなのですが、きっと興味を持たれる方も多かろうと、こちらの書籍をご紹介です。
- 作者: 小松英雄
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1990/11/05
- メディア: 文庫
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さてこの本の中身、著者が意図するところを、著者自らの言葉をお借りして表してみますと・・・
『徒然草』から、従来の解釈では理解しにくい五つの短い章段を選んで文献学的方法に基づく解釈の手段を踏みながら表現の解析を試み、導かれた帰結を従来の解釈と比較することによって、古典文学作品の文章を解釈する方法について、基本から考えなおしてみようというのが小冊の主たる目的です。
〜p.19〜
この小冊では、解釈における文献学的方法の必要性と、その有効性とを一貫して強調し、また実践を試みてきました。その趣旨をくだいて言いなおすなら、既成の解釈に依存せずに、伝本を重んじながら最初から自分で読んで、作品と対話してみよう、ということにほかなりません。
自分の判断で読めと言われても、専門家以上の読みかたができるわけがないと信じこんでいる読者がいたとしたら、この小冊を執筆したわたくしの目 的は残念ながら達成されていないということになります。この小冊のどの部分をとってみても、そこに述べられているのは常識的な考えかたばかりだということを再認識してみてください。むしろ、われわれにとって肝要なのは、いかにして常識の軌道を踏みはずさないかということです。もちろん、その常識とは世間常 識ではなく、考え方の筋道についての常識ということです。それを難しく言いなおして方法とよぶだけのことです。
〜p.401〜
それこそ「あやしうこそものぐるほしけれ」のあの冒頭の文章から俎上に挙げて、あれこれ考えて、世間の解釈はこうですが、わたしはこう思います、かれこれの資料でもこう推論できますから如何でしょうか?と示します。この冒頭の一段だけで、全体400頁のこの書籍の1/3以上にあたる150頁が割かれますが、退屈することなどなくて、なにかのミステリーの謎を解き明かしているような面白さ。
実際、その冒頭のものぐるほしを「気違いじみて」なんて現代語訳したものにびっくりした方、「天才、孤独、狂気」といったある種月並みな図式を当てて解釈したエッセイなどを読んで、煙にまかれた方には、ぜひぜひとオススメしたい一冊。
主眼が、解釈するに当たっての方法を示すところにあるのが良書と思う所以です。*1その方法は、こんな風に一般化してまとめられましょう。
- 自分で虚心に原文を読んで、「これこれはこういう意味だろう」と思う感覚を大事にしよう
- (解釈本でも辞書でも)世間に流通する解釈を無批判に受け入れない
- 原文も、異本がいろいろあるので、さまざま検討すべし
- とある言葉について、その書籍の中、その著者の他の書籍、同時代の文章などに用例を探して、それらと共に意味を考えることが重要
その他、漢字の当てられ方、濁音の処理等々で、細かい事はいろいろありますが、上の四つが根本的な方法と思われます。
・・・さて、この段に至ると、皆様もそれぞれご専門の分野を考慮して、「これはなんについても一緒のことでは・・・」とお感じになったのではないでしょうか? ここで無理矢理音楽に話をつなげると、私自身が音楽的無教養にもかかわらず背伸びして読んでみた下の本など、今更ながら身近に感じられました。*2
- 作者: ニコラウスアーノンクール,樋口隆一,許光俊
- 出版社/メーカー: 音楽之友社
- 発売日: 1997/06/01
- メディア: 単行本
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- 作者: パウル・バドゥーラ=スコダ,今井顕,松村洋一郎,堀朋平
- 出版社/メーカー: 全音楽譜出版社
- 発売日: 2008/03/15
- メディア: 単行本
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上の徒然草とおよそ同じ方法を音楽でやっているのか・・・とそんなことを思っての親近感です。もちろん、抽象的な方法論が一緒なんてことは当たり前と言えば、当たり前。とある特殊な環境では具体的にどうやるのかが現実問題の難しさです。とは言え、私のような音楽的に無教養な物好きが、それでもあれが良い、これが良いと感じる際に、あたら蓼食う虫も好きずきといった相対論で済ませたりせず、「熱意がある」といった誰にもわかりやすいドラマ化の価値評価や「そこには人生の本質がある」なんて大仰な評価にだけ陥らないためには、上に挙げた本で、一体どんなことをやっているのかと想像して、そしてその専門的なことはやっぱりよく判らない・・・と思っておけば、なんと申しますか、一歩控えて、少しでもopenな心持ちでものに接っせられるのではないか、そして、やみくもに世間の評価や批評家だれそれさんの言葉に流されたりも少なくなるのではないか?とそんなことを思いました。
なんだかごちゃごちゃ致しましたが、楽器をやったり何をしたりとしない、主に聴くだけの音楽ファンに、本書推薦したい理由です。
*1:先日のhttp://d.hatena.ne.jp/Look4Wieck/20091124/1259057193の記事にも関連しますが、パッケージ商品を誰かから買って、楽しみを得るという方法も実は新しいもので、各人が各人で楽しみを作る方法・その質を上げる方法を教える・・・これがちょっと昔までは、主流であったし、本来、そうやって自分自身の日常の運用を改善しなければなんにもならないのではないか、、、そんなことを思います。
*2:実は先日、この文章とまったく同じ事を某所で話してみた所、とある演奏者の方が「音楽もおなじことが言えますね」と仰って、面白いなと感じました。ブログに書いてもいいかなと思った由であります。
2009-12-05
クリスマスの贈り物に!その2 ベルリオーズ:幻想交響曲 ミンコフスキ指揮/マーラー室内管弦楽団&Les Musiciens du Louvre
12月となりました!クリスマスの時期も近づいております。弊ブログで時折やっております
こういう機会にクラシックCDの贈り物は如何でしょう?
の企画です。ちょっと間が空きましたが、本日第二回は、タイトルにある通り、
Berlioz: Symphonie fantastique - Herminie
- アーティスト: Hector Berlioz,Marc Minkowski,Mahler Chamber Orchestra,Les Musiciens du Louvre,Aurelia Legay
- 出版社/メーカー: Brilliant Classics
- 発売日: 2009/10/13
- メディア: CD
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このCD。元々は、グラモフォンから下のCDとして発売されて居りましたが、
Berlioz: Symphonie fantastique - Herminie
- アーティスト: Hector Berlioz,Marc Minkowski,Mahler Chamber Orchestra,Les Musiciens du Louvre,Aurelia Legay
- 出版社/メーカー: Deutsche Grammophon
- 発売日: 2004/02/10
- メディア: CD
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良い録音と思うのに、しばらく絶版状態であれれ・・・と思っていましたが、Brilliantから再発売。ご覧の通り、マーケットプレイスなら格安ですし、*1 この演奏なら「今更、幻想なんて、、、大体最近はベルリオーズも聞かないし・・・」なんて方にも興味を持っていただけるかと思います。
中身はまったく一緒で、
- 曲目:幻想交響曲全曲 & カンタータ《エルミニー(Herminie)》*2
- 指揮:マルク・ミンコフスキ Marc Minkowski
- 演奏: Les Musiciens du LouvreとMahler Chamber Orchestraの合奏(古楽団体とモダーンの楽団の合奏です)
- その他:エルミニーでは、ソプラノにAurlia Legay
・・・と、実はここまで書いて、どう宣伝しようか迷って数日過ぎてしまったのですが、自分に書ける事などたかが知れているし、といって演奏者やこの曲の蘊蓄をちょこっと調べて書くのもなんです。
背伸びせずに、正直かつ簡単に誉めてみると、この演奏の良さは、こういう響きがあったのか!?こんな曲だったんだ!と思わせられる部分が多々、「今更、幻想・・・」と思う程に随分と録音・実演を聞いていても、この曲が新鮮にはじめて聞いた曲の様に感じられることではないでしょうか。
ミンコフスキも、「今更、幻想・・・」という問題を前に、だからといって“自分の個性”なんてものにいきなりとっつかないで、楽譜を正面にきちっとどういう曲なのか、よくよく考え直したのではないか・・・楽譜を読めない私が言ってもなんですが、そういう気が致します。
リンク先ご覧の通り、だまされてもという価格と思いますので、よろしければお試しのほどを!
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序でながら、昨年ベルリオーズ関連の著作をいくつか紹介しましたが(旧ブログの記事です http://sergejo.seesaa.net/article/111124660.html)、旧字体のえらい古本でしか手に入らないとは言え、『作曲家の手記』はやはりおすすめしたい一冊。
一読後、ベートーヴェン、シューマン、ドビュッシー、バルトークなどなど、「あのような曲を書く人なら、まさにこういう文章だ」と感じさせる作曲家に、ベルリオーズを加えるのに反対する方はいないのでは。
上の旧ブログの記事に少し引用を載せましたが、音楽家の自叙伝なのに、ピカレスクの冒険譚といった味わいで、この人かわった人なんだなぁと苦笑しながら、時に高笑いしながら読める楽しい書籍です。
Amazonに古書はありませんが、日本の古本屋のサイト(http://www.kosho.or.jp/top.do)で調べても、3,000〜4,000円程度の常識的価格で、数冊は手に入るので、こちらも併せてぜひどうぞ。
2009-12-01
クリスマスの贈り物に!その1 ウルズラ・デュッチュラー演奏 ウィリアム・バード:フィッツウィリアム・ヴァージナル曲集から
12月となりました!クリスマスの時期も近づいております。弊ブログで時折やっております
こういう機会にクラシックCDの贈り物は如何でしょう?
の企画で、本日より不定期に数回に分けて、幾つか思うままにおすすめのご紹介を致します。弊ブログですから、よくご存知の方にはなんの参考にもならず、すごく気軽に聞かれる方にはいまいち購買意欲がわかない・・・という立ち位置でありますが、そこは開き直ります!
特に新譜にこだわらず、また、CD、DVD、書籍等々も織り交ぜて思いつくままに挙げて参ります。ご紹介したものそのものでなくとも、なにかお探しのきっかけになればと考えております。
勿論、クリスマスでなくとも、お若い方にはお年玉の機会にどうぞ。
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さて、今回ご紹介するものはCDは、ウルズラ・デュッチュラー演奏 ウィリアム・バード:フィッツウィリアム・ヴァージナル曲集から。以前、聞いた事があって面白い!!と思ったのですが、自分でCDを持っていないので、注文したところ在庫なし・・・のままもう一年近く経ったでしょうか。これが先日、突然入荷の上に到着。やっぱりすばらしい内容でした。今現在、Amazonに一点在庫あり。マーケットプレイスでは少し高くなりますが、新品が買えるようなのでぜひどうぞ。
そもそも、このCDを知ったきっかけは、とあるチェンバロも弾かれるプロの演奏者に質問してみたことでした。
「チェンバロも楽器そのものに演奏スタイルも随分変わっているでしょう?いまだに○○や△△などの先駆者だけが名人ってことはないと思うんですが、誰かおすすめな人居ます?」
「こういうジャンルって、いい演奏者も世間的にはそんな有名でもないからねー。ウルズラ・デュッチュラー Ursula Dütschler やヴワディスワフ・クウォシエヴィチ Wladyslaw Klosiewicz なんか良いと思うなぁ。」
クウォシエヴィチ氏の方は、新品が手に入りにくく少し高いのでまだ聞いていないのですが、『Melancholy Pieces for Harpsich』・『Scarlatti:Harpsichord Sonatas』、それに比べればデュッチュラーの方が手に入りやすいです。
デュッチュラー女史の録音は、チェンバロに限らず、フォルテピアノもいくつも聞いてみましたが、一枚もので誰が聞いても楽しめそうなものならば、この
Pieces from the Fitzwilliam VI
- アーティスト: William Byrd,Ursula Duetschler
- 出版社/メーカー: Claves
- メディア: CD
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など、おすすめしやすいなと。収録曲は、Fantasia C / The Carman's Whistle / Pavan and Galliard F / The Woods so Wild / Fantasia G / The Queen's Alman / Pavan and Galliard G / The Bells / Walsingham / All in a Garden Green / Lavolta / Pavan and Galliard g / Ut re mi fa sol la の全13曲。
バードというとイギリスの16〜17世紀の作曲家で、ヴァージナルはチェンバロと思っておけばまぁ宜し・・・と専門的なところは、ちょっと調べれば様々なサイトがあるのでおまかせするとして、この曲集は楽しげな舞曲、清澄なパヴァーヌ等々さまざまな曲があって聞きやすいもの。デュッチュラー女史の演奏の力でしょう、それぞれの曲の正確もくっきりして、「古風で素朴さ・静謐さ」などといったこの時代に関してもたれがちなイメージに反する豊かさを感じさせます。「それほど有名でない演奏家だと、ちょっと手が出ない・・・」と思われている方にこそ、ぜひお手にとって頂きたいとも思います。
バードの曲を一般に有名にしたものと言えば、やはりグレン・グールドの
でしょうか。合わせて聞いてみるのもお薦めです。収録曲やピアノとハープシコードの違いを超えて、随分演奏者によってアプローチが違うものだなぁと今更ながら。
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デュッチュラーに興味を持たれた方には、下のリンク先からどうぞ。Look4Wieck.comの検索機能でAmazonを探した結果が開きます。
綴りが二通りあるので、双方で検索した結果となっております。では。
2009-11-24
鍵盤楽器を弾く / 体全般の感覚・気付き / 自分でやる
すっかり間が空きましたが、不定期連載でほぼ週、ほぼ月も辞さないいい加減さで、駄文をつらねております。
先日書いたことが(http://d.hatena.ne.jp/Look4Wieck/20091104/1257311404)、ひらたく言ってしまうと、「すごい専門家の妙技をただ単に享受するでいいのか?」なんてことも含まれていたのですが、なにを隠そう私も大人の再挑戦で(電子)ピアノの蓋を開けてはまごついています。
わけあって詳述できませんが、立ってやるいわば踊りのような稽古ごとをやっておりまして、これと座ってやるピアノを比較していると、道具による専門的な違いはあれども、なんだか体の運用法としては随分似た所があるなぁとつくづく思う日々です。
弊ブログでは何度かご紹介している御仁なので、ご覧の方もいらっしゃると思いますが、そんな中で読んだ大井浩明さんの
汎用・クラヴィア奏法試論 [2009.11.07]
http://ooipiano.exblog.jp/12662198/
が、大変面白いものでした。
試論作成にあたってのテスト生としてセッションに参加したり、その前からアレクサンダーテクニークについて教えていただいたり、どんなものになるのか気になっていたので、こうやって形に纏められたのは誠に慶賀すべき以下略。*****
ピアノの奏法というと、指で弾くな、体全体なんてことは、ほうぼうで聞きますが、ではその記述を見ると結局指の話、せいぜい肘辺りか、いっても肩までとなっています。折角、「指でひくのではない」といいながら、映像が示されていても、なんだかんだと手首辺りまでしか収めていない・・・一体全体体全体はどう使うのか?そんな疑問を持った方も多いのではないでしょうか?
大井さんの汎用・クラヴィア奏法試論の面白さは、『指先成分を可能な限り排除した鍵盤奏法』を目指して、じゃー手首なのか、肘なのか、腕なのか・・・といった指じゃないなら、体の他の部分にまかせましょうという手軽な解決法をこばみ、体全体*1の気付き方・運用法に切り込んでいること。
モダン楽器、昔の各種楽器の特性の違いなども随所に出てきて、聞いているだけだと判らない話も楽しいです。
そこで伸べられているこまごまとしたことは、体の観察法、発見法、自分勝手に動かさない動かし方等々、自分もピアノ以外の習い事向けに
ボディ・ラーニング―わかりやすいアレクサンダー・テクニック入門
- 作者: マイケルゲルブ,Michael Gelb,片桐ユズル,小山千栄
- 出版社/メーカー: 誠信書房
- 発売日: 1999/12
- メディア: 単行本
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アレクサンダー・テクニーク入門―能力を出しきるからだの使い方 (実践講座)
- 作者: サラバーカー,片桐ユズル,Sarah Barker,北山耕平
- 出版社/メーカー: ビイングネットプレス
- 発売日: 2006/09
- メディア: 単行本
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ひとりでできるアレクサンダー・テクニーク―心身の不必要な緊張をやめるために
- 作者: ジェレミーチャンス,Jeremy Chance,片桐ユズル
- 出版社/メーカー: 誠信書房
- 発売日: 2006/06
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- 作者: Richard L. Drake,Adam W.M. Mitchell,Wayne Vogl,塩田浩平,瀬口春道,大谷浩,杉本哲夫
- 出版社/メーカー: エルゼビアジャパン
- 発売日: 2007/09
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などを片手に、あーでもないとこーでもないと頭を悩ましていた所で、いろいろと参考になっております。*2
*****
試論は、
自分の体のことは、自分で調律するしか無い、と再度申し上げて、取り敢えずの結語とさせて頂きます。
という言葉で結ばれています。世間の教授法というものは、先生がお手本を見せて、ダメだしはするけれど、実際生徒がどうすべきかは五里霧中というものが多くはないでしょうか?「自分でどうやるか?」の内発的な発見法といいますか、運用法といいますか、そこの解明しようとしている点も一見些細な事ながら風変わりな試みと思います。
そして、その改善が、小手先の間に合わせを避け、体全体の協調性を探すなら、多分ゆっくりとしか進まないであろう事に注意がなされていることは、決して見逃すべきでない点と感じました。
ピアノに限らず、ほんとの教育は自習の仕方なんじゃないかな・・・と、そんなものは生徒が自らが発見すべきではあるのでしょうが、教育が生むものが、先生に頼らざるを得ない信奉者 or 先生に反発する自己確立者に二分されているとしたら、それはそれでなんだかおかしい気が致します。
ピアノ・チェンバロ教室も開設されたそうで、ご興味あれば。 *3
では。



