九十九十九 舞城王太郎

九十九十九 (講談社ノベルス)

九十九十九 (講談社ノベルス)


きっかけ
清涼院流水のJDCシリーズのS級探偵の九十九十九を題材に書かれた小説なので、元ネタを読んでいるので興味が湧いた。それにしても、九十九十九って名前すごいなぁ。


ネタバレ・あらすじ
九十九十九の生まれた時からの話。生まれたときにその美しさで医者も看護師も母親も気絶させてしまう。その美しさには誰も逆らえず九十九十九をみんなさらおうとするが、途中で失神して病院から連れ出すこともできない。最初の看護師が顔を見えないようにしてなんとか盗み出した。盗み出した看護師は鈴木君といい、その強い愛情の裏返しとして目をくりぬき、鼻や耳をそぎ落としたりしてしまう。それにより鈴木君は警察につかまる。鈴木君の彼氏の加藤君が九十九をひきとり、加藤君の実家の福井に連れて行き、地下室にとじこめてしまう。加藤君の家族の双子の兄弟セリスとセリカに性的ないじめをうけたりしながら、九十九十九は地下室で、唯一九十九を見ても失神しないツトムと過ごす。そして、鈴木君が刑務所を脱走したと知り、地下室から逃げ出し、鈴木君につかまらないようにすることを決める。その前に、自分の村で起きた事件を解決する。セリスとセリカが生まれ変わって逃げ出すための儀式として村人を殺していったのだった。


上記のような内容の小説が九十九十九に送り付けられたりする。全くの創作というわけではないが、現実とは違う部分がある。章が変わるごとにいろんな恋人と付き合ったり結婚したりしていて、寛大、誠実、正直という3つ子がいる。ツトムは名探偵になり、大爆笑カレーと名乗っていたりする。そうして、幻影城や十字架型のクロスハウス、調布の大火事など、聖書やヨハネの黙示録を見立てた事件を解決していく。


最後のほうでわかるのは、九十九十九が3人もいたりするのは、タイムスリップをしていて、この世界で自分が目をくりぬかれて死ななかったり、首を切り落とされても死なないのは、自分が首を3つ持つ奇形児だからだ。そして、生きている人間のおなかから小説の続きがでてきたりするのは、この世界が九十九十九の妄想だからだ。九十九十九が本当に3つの首を持つ奇形で愛されなくて、でも愛されたかったからこの妄想の世界をつくった。それに気づき世界は終わりを迎える。


感想・レビュー
事件の解き方などはめちゃくちゃだったりするのは、どの小説でもあること、特に清涼院流水ではそれが多かったと思う。言葉遊びの多さも引き継いでいる。それにしても、すごい結末にしたものだと思う。あと擬音や人の泣き方などの音が汚い、いや特徴的というべきか。いや、めちゃくちゃな部分が多すぎて他の小説のほうが好きなんだけどさ。それでもJDCシリーズはそれなりに楽しめると思う。舞城王太郎に関しては、他の小説も1冊くらいは読んでみないとまだなんとも言えないと思った。