mixi(ミクシィ)の定款変更と事業拡大に対する違和感

mixiは事業拡大を図るために定款変更をする予定らしいが、過去のプライバシーポリシー変更時のゴタゴタを思い返すと、いささか不安を感じる。

ミクシィは、同社の業務を定める定款を一部変更することについて、6月27日に開催される定時株主総会で付議する。定款の変更点としては、目的とする事業の条項に、新たに書籍やCD、DVDの販売や旅行業などの項目が追加されており、同社が事業拡大を図る姿勢が伺える。
具体的には「書籍・雑誌その他印刷物及び電子出版物の企画、制作及び販売」「通信販売業」「旅行業」「集金代行業」「CD、DVD、ミュージックテープ、ビデオ等の原盤の企画・制作・販売」「不動産の売買、賃貸借、仲介、運用及び鑑定業」「金融業」などの項目が追加されている。
これについてミクシィでは「今後の事業の拡大を鑑み、事業の内容を拡充するもの」とコメントしており、今後、SNSmixi」上で書籍やCD、DVDなどを販売したり、宿泊予約サービスを提供することも十分に考えられる。

INTERNET Watchが掲載したのは第2条8項から13項まで。
では定款一部変更に関するお知らせを眺めてみる。

変更案
(目的)
第2条 当会社は、次の事業を営むことを目的とする。
2. 販売活動、販売促進活動に関するコンティング


現行定款
第2条 当会社は、次の事業を営むことを目的とする。
(目的)
2. インターネットを活用し企業の販売を支援するサービス


mixiは過去のある時点まで本名での登録を推奨しており、自分が見た限りでは本名や居住地や趣味など良質のマーケティング情報を含む宝庫であった。
平成18年 9月28日、mixiのプライバシーポリシーが一方的に改訂され、変更のお知らせも極めて短時間表示されただけで消去された。
当時の感慨を記載したブログエントリより。

 正直な感覚として、13章は甘受したくないですね、これ。
 取得した情報をmixi内部のみで扱うのか否かがどうもよくわからない。
 「個人が識別できるような情報」が含まれるのか否かは別として、各種の情報が - mixi利用者の挙動なり嗜好性として、いずこかに販売・または提供されるのか否かが気になるんですね。
 言及が無いのは、プライバシーポリシーとしては十分な理解は得られないような(考えすぎでしょうか)。


 また14章、「行動ターゲッティング用クッキー」についてが、どうも。
 Cookiesによるトラッキング行為が許容できないと感じるエンドユーザーに、株式会社アイメディアドライブのオプトアウト(Cookie無効化操作ができるサイト)のリンクを掲載しこれで終わり、は多くのmixi利用者(ミクッ子)不安感を煽ったのではなかろうか。
 最初からサードパーティのトラッキング クッキーを導入しない方が、またアナウンスした直後にプライバシーポリシー関連改訂のお知らせを削除しない方が、エンドユーザーよりの風評を損ねなかったのではなかろうか。


更には、個人情報をトラッキングする糸と、mixi個人情報流出騒ぎへの感慨(2006年10月17日, Semplice)なる記事を掲載した。

総務省告示第695号を考える

電気通信事業における個人情報保護に関するガイドライン(平成16年8月31日総務省告示第695号)を眺めてみよう。
今回の定款変更は、露骨に第二章第5条に抵触しませんか?

第2章 個人情報の取扱いに関する共通原則
(利用目的の特定)
第 5条 電気通信事業者は、個人情報を取り扱うに当たっては、その利用の目的(以下「利用目的」という。)をできる限り特定するものとする。
2   電気通信事業者は、利用目的を変更する場合には、変更前の利用目的と相当の関連性を有すると合理的に認められる範囲を超えて行わないものとする。
3   前2項の規定により特定する利用目的は、電気通信サービスを提供するため必要な範囲を超えないものとする。


過去のmixiのプライバシーポリシー変更と今回の定款変更は、下記の記載を元に考えると、どうなんだろうか。
自分は同意した記憶など毛頭ございませんが

(利用目的による制限)
第 6条 電気通信事業者は、あらかじめ本人の同意を得ないで、前条の規定により特定された利用目的の達成に必要な範囲を超えて、個人情報を取り扱わないものとする。


過去のmixiプライバシーポリシー変更についてのガイドはさっさと表示できなくなったし、さっさと非表示にされたドタバタぶりを眺めたらば、やり口はスマートではない。
またメールで送信されるmixi コミュニティニュースを3月15日版より読み返したが、今回の定款変更についての連絡は一切含まれていないようだ。

(取得に際しての利用目的の通知等)
第 8条
3   電気通信事業者は、利用目的を変更した場合は、変更された利用目的について、本人に通知し、又は公表するものとする。
第 6条 電気通信事業者は、あらかじめ本人の同意を得ないで、前条の規定により特定された利用目的の達成に必要な範囲を超えて、個人情報を取り扱わないものとする。

mixi後だしジャンケンと個人情報とマーケティング情報 - どうにもこうにも

mixiが「開脚画像事件」以前には本名の登録を促していたのは事実だ。
また広告代理店への情報提供や今回の定款変更は、個人情報をさんざん集積した後での、納得できない展開だ。


もしも「第三者の運営パートナーに役立つような情報はどんどん利用させてね!」とか、「各種のオンライン上での商品提供に役立てちゃうぞ!」なんて記載していたならば、果たして一体どれだけの方がmixiを安心して利用できただろうかと。
「個人を具体的に特定できなければいいだろう」と唱える方も居るだろう。だが自分は甘受できない。

自分でも読みづらいブログエントリなので、追記

よくプライバシーポリシーにて「弊社事業にて利用するにはどうこう」と記載されておりますが、個人情報を登録した業者の事業拡大に伴い、利用者にとって登録情報の転用が許諾できないようなものとなったらばと。
そういう話。

2007年5月29日追記事項

非オプトインでの規約同意 … っていうか、同意しないんならmixiを出てけ!っていうんでしょ


itochanさんの見解に付記するとしたらば、我々は未だmixiより判断材料すら与えられていない現況が不安なんですよ。
集金代行業や金融業が具体的にどんなサービスを指すのかは不明ですが、サラ金に自分の情報や趣味その他諸々を握られるのは、かなり心理的な抵抗を感じます。