戯曲「セーラールナの誕生」

それは2003年も終わろうとしている12月のある日、スポンサーであるB社の会議室でのこと。集まったのはB社の企画部長である坂内氏、美少女戦士セーラームーンのプロデューサー白倉氏、脚本を担当する小林氏。会議室は重苦しい空気に包まれていた。
坂内「白倉さん、この前のお話し考えていただけましたか?もうオーディションも終わってますよ」
白倉「それは先日お断わりしたはずです」
小林「ここでちびうさを出したらストーリーが破綻します」
(バンと机を叩く坂内氏)
坂内「いいですか、だいたい小林さんの脚本が難しすぎるんですよ。誰が亜美を内気な眼鏡っ子にしてくれと言いました」
白倉「いや、あれは男性ファンには大人気で...」
小林「彼女たちの成長を描くのが実写版のテーマなんです。その路線はいまのところ成功していると思います」
坂内「大人にうけてもうちの製品の売り上げにつながらないでしょ。子供番組はおもちゃが売れてなんぼですよ」
白倉「最近の特撮番組はストーリーを大人向きに作って親子で見られるようにしてるんです」
坂内「視聴率ですよ、視聴率!小○館さんもスポンサーを降りるし、これで森○さんが降りたら制作費が出ませんよ」
小林「土曜日の7時半はビデオで撮って後から見る人のが多いはずです」
白倉「そうそう、だいたいTBSが地方局製作の子供番組に冷たすぎるんです。関東地方の知名度が低すぎる」
坂内「白倉さん、じゃあ井上さんに脚本を書いてもらいましょう。ちびうさを出して」
白倉「だめです。実写版は小林オリジナルになってますから、ここで担当を代えたらストーリーの整合性が」
小林「あの...小さい女の子の戦士をレギュラーにすればいいんですよね」
坂内「まあ、そうだけど。でも新しい戦士なんか作ったら武内先生が許さないよ」
小林「いえ、登場人物は増やしません。でも子供は出せます」
白倉「どういうこと?小林さん」
小林「ルナが銀水晶の力で人間の女の子になるのはどうでしょう」
白倉「それだ!」
坂内「(ピピピ)あ、武内先生ですか?B社の坂内です。実は」
白倉「(小声で)ついでにコメディーリリーフにしちゃえばストーリーには影響ないぞ」
小林「はい、武器もハリセンかなんかにして、思い切り弱くすれば脚本も変えなくてすみます」
坂内「武内先生もいいってさ。けっこう乗り気だよ。すぐにデザイン送るって」
白倉「そうだ、変身アイテムは携帯電話にしたらどうでしょう。テレティアを改造して」
坂内「いいねいいね。色と声だけ変えればすぐに発売できるよ。白倉さん、最高!」
白倉「じゃあ、脚本は小林のままでいいですね」
坂内「もちろん!小林さん、これからもよろしくね。そうだ、スティックもムーンと同じにしてパッケージだけ変えて発売しよう」
小林「でも、ちびうさ役で採用した女の子*1が怒りますよ。元はぬいぐるみですよ」
白倉「そうだな、来年の5月にやるライブで1曲歌わせてあげることにすれば機嫌が直るだろ」*2
坂内「そうそう、曲をあげれば番組が終わった後も営業に使えるじゃない」*3
こうして小林氏の機転によってセーラールナが誕生した。なお、ライブでの小さいお友達からセーラールナへの声援を見ると、B社の戦略もあながち間違いだったとは言いきれない。
(重ねて言いますが、これはフィクションです。実在の人物・団体とはいっさい関係ありません)*4

*1:小池里奈ちゃんがオーディションのときにちびうさ役と言われてたのは、ネット上のどこかで見ました

*2:あのライブを見て、この子の才能は並みではないと思った

*3:事実です

*4:でも、ほんとにこういう経緯でセーラールナを考えたなら小林靖子は天才だ。ストーリーにも戦闘のフォーメーションにもまったく影響を与えなかった