魂の記憶

死んだらね、きみの体は小さな分子になって山や川や海や風になるんだ。
水になって流れ、風になって空を飛ぶ。
空を飛びたいっていってたでしょ。
世界中にいけるよ。
だから怖くない。こわくないよ。

生きたことは、いつか忘れてしまうかもしれない。
どこで、だれと、どんなふうに、わたしはどんな人で、なにをしていたか。
生きていたことは、きっと忘れてしまうだろう。

けれども、魂は記憶する。
かつて受け容れられたこと。
かつて勇気づけられたこと。
かつて愛されたこと。
そして、それが魂が存在しうるエネルギーの糧であることを。

だから、存在することを永遠にやめない。
自分がだれかが忘れてしまっても。
すべてを忘れてしまっても。
魂は、ずっと存在しつづける。