一冊の本 ナイト・イン・コーベ@日東館書林


今から40年も前の昭和45年(1970年)、元町にあった日東館書林が一冊の本を出版した。
神戸の味と神戸の夜を案内する画期的な本だった。題してナイト・イン・コーベ。
 

これは古本屋で入手したものではなく、直接買い求めたものである。


 


執筆人がすごい。
田辺聖子(作家)、竹田洋太郎(神戸新聞論説委員)、赤尾兜子俳人)、重森守(朝日新聞神戸支局長)、宮崎辰夫(神戸市長)、田口寛治(神戸大学助教授)、藤本義一(作家)などなど。肩書きは出版当時のもの。


 
いま改めて読んでみて、忘れていたのがレポーターの春木一夫である。春木は「兵庫史の謎」や「山陽特殊製鋼再建の軌跡」など多くの作品で知られる。


 

 
美人の女将さんがやっている酒屋の立ち呑みが市内にあります。その女将さんこそ春木一夫の娘さんである。これで店に行って話す話題がまた一つ増えた。

 
あとがきにはこうある。

何しろ、このような綜合的な試みは、どこもやらなかった最初のものだけに、不満な点もあるかと思う。西欧の場合は、料理店、クラブ、キャバレーの格付けに相当な権威を持った案内書があると聞く。この本も版を重ねるにしたがって、けずるべきものをけずり、追加すべきものは追加して、より優れたものにしたい。・・・

残念なことに版を重ねることもなく日東館書林も無くなってしまった。しかし掲載された店の中でしぶとく生き残って営業しているところも少なくない。