2012-05-20
選択の科学
書評 |
人生というのは、選択の連続であるわけで、言い換えてみれば我々は選択の結果により成り立っていると言っても過言ではないのでしょう。よく、この選択が正しいかどうかを問われることはあるのですが、そもそも、その選択以外の人生は送れることはないので、結果がどうあろうともそのことで思い悩むことはナンセンスだと思うのです。
で、本書はその選択というものについて科学的に(主には心理学)いろんな角度から研究した結果を章ごとに提示したものです。そもそも自発的に選択を行えるか否か、選択に対して外部から意識的に/無意識的に影響を受けているか、選択を行い、その結果に満足するかそれとも不満に思うか、そのようなことに対して解き明かしてくれます。
とても興味深く、人間の選択という行為に対して、楽しみながら読めます。ただだからと言って、本書を読んだからと言って自分の日々の選択行為に影響を及ぼすということはないでしょう。本書の最後のところでも、カミュのシジフォスの神話を引き合いに出してこう結んでいます。「科学の力を借りて巧みに選択を行うこともできるが、それでも選択が本質的に芸術であることに変わりはない。選択の力を最大限に活用するには、その不確実性と矛盾を受け入れなくてはならないのだ。」そしてそれこそが、我々が人生を愛せる根本的理由だと考えるのです。
2012-05-19
十字軍物語2
書評 |
- 作者: 塩野七生
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2011/03/24
- メディア: 単行本
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さて、1に続いて2です。第一次十字軍にて聖都イエスラエルを占領して、国家まで樹立した十字軍ですが、その後は苦難の歴史を歩みます。原因の一つは騎士の減少です。元々ヨーロッパから連れてきただけあって、戦いで死ねば数は減るのです。そして補充が効かない。食糧などと違って、現地調達するわけにもいかず、ただただ削り取られるように減少していくのです。
原因の二つ目は優れた統率者が次第にいなくなった点です。元々十字軍国家は4つに別れていたのですが、それが1つずつ崩されていきます。それは各国の統率者がいなくなるにつれてジワジワと進んでいくのです。第一次の時のリーダ達は征服という経験を積むにつれて優れた統率者へと育っていく訳ですが、それを受け継いだもの達はそんな経験値がないわけですから、どうしても小粒になってきてしまいます。そんな中でもライ病を患った若きボードワン王の話には心を動かされました。自分の長くない命を知りながら、その責務のために全力を尽くして戦っていく姿に。
最後の3つめの理由は敵であるイスラム世界において優れたリーダーが輩出しはじめたということです。僕でも名前を知っていた、サラーフアッディーン。シリアからエジプトまで統合されたアラブ世界では、もはや勝負ありと言っても過言ではないでしょう。
かくして、100年近く続いた十字軍国家は終わりを告げるのです。そしてそれが次の第三次十字軍を生み出す原動力へと繋がっていくのですね。さてこのシリーズ第何巻まで続くのでしょうか。
2012-05-13
十字軍物語1
書評 |
- 作者: 塩野七生
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2010/09
- メディア: 単行本
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ヨーロッパにおける中世といえば、騎士とキリスト教の時代、その結論としての十字軍が思い起こさせます。とはいえ、十字軍については小説や映画などで様々なエピソードは語られてるのを耳にしてきてるのですが、本体がそもそもどういう話であったのかはキチンと抑えていなかったです。そこでこの塩野先生の本の登場です。
元々はといえば、イスラムに押され気味のビザンティン帝国からの要請があったのですね。それにイエスサレム解放という、彼らにとっては心震わせる目標が法王から出される訳です。「神はそれを望んでおられる」と。この法王、素晴らしい問題提起と煽動力です。これに乗っかるのが、ヨーロッパの諸侯です。王ではないんですね。そして、これが目覚ましい結果を残すことになるわけです。聖地奪還を。
今まで知りませんでしたが十字軍自体は10回以上開催されてるのですね。第一巻である本書は第一次十字軍の輝かしい栄光を記録しています。さてこのシリーズ、第何巻まで続くのでしょうか。
2012-04-30
王者の食ノート
書評 |
- 作者: 島沢優子
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2011/12/07
- メディア: 単行本
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駅伝で近年強さを見せている東洋大と、ラグビーの強豪校に連なるようになった帝京大学。この2校に共通する点があって、それは何かと言えば、同じ栄養士が担当しているというのです。たぶん1校だけではその有効性を信じることは出来なくても、担当する2校が両方とも強豪であれば、その理由を知りたくなってしまいます。
しかも栄養学というのは、既にある程度研究されている分野であるという認識だったので、食事程度でそれほど変わるものなのか、実際は半信半疑でした。もちろん、これら強豪校が単純に食の力だけで強くなったわけではないでしょうけども、この本を読む限りはその影響力はかなり大きいものだったであろうと伺えます。
実はまだ、栄養学でもスポーツ分野に関するスポーツ栄養学というのは、それほど普及した考え方ではないのですね。確かに帝京大学の選手達の、一回り大きいからだとタフネスは、他の大学生とは異なってるように感じていました。血液検査や体組成測定で、どの数値がどう影響してくるかわかれば、それを補うように食を変えていけるのです。とても科学的で興味深いです。
今はまだ大学スポーツなど限られたところでしか、普及していないようですが、これから成長していく子供達に、この力を活用することで、もっと素晴らしい効果が見込めるのではないかと感じました。
2012-04-08
残念な人の仕事の中身
書評 |
残念な人の仕事の中身 ?世界中の調査からわかった「組織で評価されない人」の共通点
- 作者: ロバート・W・ゴールドファーブ,川村透
- 出版社/メーカー: 大和書房
- 発売日: 2011/08/20
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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「組織で評価されない人」を数多くのリサーチから分類して共通点をまとめた一冊です。これは組織で働いている人間であれば、ぜひ読むべき本ですね。自分も読んでて何回も「気を付けなければ。。。」と思い直したことか。周辺、特に上司の評価というものが単に仕事の不出来だけで決まるものではないということは肝に念じておく必要があります。むしろそれ以外の評価が大きい場合もあるのですから。
評価されない人が生まれる第一の理由としては自分の役割というもの、自分に期待することについて、正確にわかっていないという点です。特に上司からの。これが大きなギャップとなって自分の評価へのマイナス要素となってくるわけです。本書では当人の考えと、上司などからの評価をそれぞれ比べて記載してあるのですが、それぞれもう180度以上考え方がかけ離れていて、見るも無惨という趣きです。第二は会社や部署の文化を知らないということ、考えないということ。それらを考慮しない行動や言動が周りに不快感を及ぼすのです。第三が周辺の人への態度、気遣いのない言葉。結局それらがその人の評価という雰囲気に繋がっていってしますのですね。
この本はアメリカの事例なのですが、普通に日本でも通用するようなことばかりです。むしろ、アメリカの事例と日本の事例が意外なくらいぴったり当てはまるのにビックリしました。結局ヒトはヒトなんです。
本当にこの本は自分というものを見直すのにもってこいと感じました。やっぱり仕事の出来不出来も重要ですが、それ以外の方が自分というものの評価に繋がってくるのだと改めて感じた次第です。たまに読み直して自分の行いを見直していく必要があると感じました。


