シュリーマン旅行記 清国・日本

シュリーマン旅行記　清国・日本 (講談社学術文庫 (1325))

トロイ遺跡発掘で有名なシュリーマン氏が清と日本を訪れた際の旅行記です。あのシュリーマン氏が日本にも来ていたなんってちょっとビックリで読んでみました。

時代は日本で言えば、まだ尊王攘夷の嵐が吹き荒れる江戸末期。そんな時期なのに、知ってか知らずなのか危険であることも意に介せず、シュリーマン氏は江戸の町中を精力的に散策していきます。

そして、最も素晴らしいことはそのシュリーマン氏の好奇心の盛大さとそれを支える観察力の鋭さと細かさです。彼の記した旅行記から、当時の江戸の様子がありありと浮かんで来るのです。特に風習風俗についての記述など、今とは全く異なっているのでとても面白いです。そういう意味では同じ日本人と云えども、当時の人々からすれば今の我々など異人同然です。シュリーマン氏の目から見える日本の姿の方が、我々にとっても新鮮で興味尽きぬ文化文明なのです。

この本を読んでいると、当時の日本があるひとつの文明としてひとつの頂点を迎えていたことがわかると思います。だからこそ、シュリーマン氏が遠い極東の地まで足を伸ばすほどの好奇心を駆り立てることが出来たんですね。僕もその頃の日本に行ってみたいものです。