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鞭打苦行のThrasher

2010-07-31 「ダンジョン・ロード」が発売になります

「ダンジョン・ロード」が発売になります

| 21:16

 戦鎚傭兵団チームで翻訳を担当したボードゲームダンジョン・ロード」が発売になります。もう店頭に並んでいるところもあるようですね。公式サイトはこちらです。また、ゲーム内容の詳しい紹介については以下のブログ記事が参考になるかと思います。

http://www.tgiw.info/2010/06/dungeon_lords.html

http://blog.livedoor.jp/familygames/archives/51519474.html

http://www.hobbyjapan.co.jp/game/?p=1196

ダンジョン・ロード (日本語版)

ダンジョン・ロード (日本語版)

 要は、ダンジョン・ハックの冒険者パーティと持ち受けるモンスター団を立場を180度入れ替えたゲームです。各プレイヤーが、RPGでは登場すらさえてもらえないダンジョン設計者・運営者の役割を受け持ち、予算の制約があるなかで資源や人材の確保に同業他社としのぎを削り、少しでもよい地下迷宮を築き上げようとします。ようやくできたダンジョンには冒険者どもが意気揚々と乗り込んできて、高いギャラで雇い入れた精鋭モンスターをタコ殴りで抹殺し、精巧な罠をためらいもなくぶち壊し、鼻歌交じりで帰っていくのです。彼らにできることは、冒険者の背中をにらんで拳を振り上げ、ダンジョンの補修と拡充に精を出すことくらいです……。

 基本的には4人のプレイヤーが各々ダンジョンを受け持って、ダンジョンの拡張や冒険者の撃退によって得点を競うゲームですが、3人プレイ、2人プレイもそれぞれ可能です。

 これによく似た電源系ゲームに「勇者のくせになまいきだ」というのがありまして、開発スタッフインタビューがなかなか面白かったのでリンクしておきます。

 さて本作ですが、なかなか作り込まれたシステムでやりがいがあります。特に戦闘には詰め将棋のような先読みの面白さがありまして、トラップとモンスターのコンボ冒険者たちのヒット・ポイントを削り、ダンジョン・タイル制圧手順になる前に疲労でばたばた倒れていただくのが王道ではあるのですが、トラップはシーフに解除され、ダメージはプリーストに癒されてしまい、おまけにウィザードの発動する呪文によってせっかくのたくらみが台無しに……なんてこともよくあります。そのため、シーフの多いパーティにはトラップは使わないとか、プリーストの治癒手順が来る前に狙い定めた敵を一気に殺してしまうとか、いろいろと考えどころがあります。戦闘にはルール修得用の練習問題がいくつかあって、それらを頭をひねって解くだけでもなかなかに楽しいものです。

 戦闘の前にはダンジョン構築とモンスターの雇い入れの手順があるわけですが、「トンネル掘り」「インプの徴募」といった個々の行動について4人のプレイヤーが入札する仕組みになっておりまして、たいていは二番手や三番手が一番有利で、一番手は損な条件になるので、できるだけ筆頭者にはなりたくないところですが、とはいえ入札枠は3人分しかないために、狙いすぎて四番手になると結局何もできずに終わるというジレンマがあり、そのあたりの駆け引きもまた面白いところです。

 言語依存度は、まあ高いと思います。いったん慣れればマップやタイル上のアイコンを頼りに内容が判断できるのではありますが、トラップ・カードの効果はいちいち説明文を読まなければなりませんし、ゲームに慣れるまでは首っ引きでルールを読み込まねばなりません。

 で、ルールブックには鬼軍曹的なデーモンとおかまっぽいミニオンの掛け合いが随所に挟まれ、フレーバーとしてなかなか面白いものがあります。デーモンのセリフはいかりや長介風に、ミニオン怪物くんに出てくる(ざますざますの)ドラキュラ風にしてみたのですが、そのあたりは好みの分かれるところでしょうね。

 と、まあコミック風の体裁も手伝って一見取っつきやすそうなルールなのですが、実際の英文ルールは記述が非常にわかりづらく、解読に苦労しました。というのも、用語がなんとも未整理なんですね。いちおうほぼ統一はされている(けっこうブレもある)のですが、明確な用語定義がなされていないため、ルール文中の個々の表現が、実際のゲーム上の行動Aを指すのか、それとも行動Bを指すのかの判断に迷うケースが多々あり、読んでいて非常に強いストレスを感じました。

 翻訳ルールでは、できうる限りに用語を統一しようと思い、たとえば「ユニットを取り除く」ことを指す表現を、

冒険者の場合  :撃退

モンスターの場合:倒れる

(モンスターを表向きのままでねぐらに戻す場合には:撤退)

という風に統一したのですが、モレがあってカードに一件エラッタを出してしまいました。内容は公式サイトの左下部分をご覧ください。ゲームを買われた方がいきなり迷うことのないようにとどうにか発売前にエラッタを間に合わせたのですが、先行発売には間に合わず、お買い上げになった皆様にはどうも申し訳ありませんでした。

 システム自体はよくできた、いいゲームなので、ルールの書き方をもう少し工夫すればだいぶわかりやすくなると思います。用語をきちんと定義してサマリーを作るのもよいでしょうし、せっかく戦闘には練習問題があるのですから、それ以外の部分についても、途中まで読んだ段階で練習プレイをしてルール概念を身体で覚えられるようにしてくれると修得がスムーズになる気はします。

 昔のウォーゲームのルールにはそうやって段階的に修得できるようになっているものがよくありまして、たとえば「スコード・リーダー」という戦術級ゲームの場合、歩兵機関銃の基本的なルールを読んだだけで最初のシナリオがプレイでき、それに盤外砲撃のルールを重ねて次のシナリオを、戦車のルールを重ねて次のシナリオを、という仕組みになっていました。

 日本語版の製作にあたって、そのあたりをもっと工夫できればよかったですね。できるだけ正確に訳すことで手一杯で、そこまでの余裕はなかったのですが、次回からの教訓にしたいと思います。

 そこで、boardgamegeekに掲載されている有志訳の日本語ルールブックの紹介です。

 こちらのサイト(Dungeon Lordsのトップ)から下段の「Files」までスクロールすると、世界じゅうのゲーマーがアップロードしたファイルが並んでいます。その中に、原書と同じレイアウトPDF化された大変素晴らしい日本語ルールや、建設フェイズ/戦闘フェイズ*1/その他の簡潔なサマリーが用意されています。

 どちらも大変工夫の凝らされたもので、たとえばルールの方にはマジックアイテムの拡張ルールも別添されています。そしてサマリーは、上述のようにこのゲームの仕組みを理解することに大変役立つものです。

 最近はルール全文が公式サイトからダウンロードできる例もよくありますし、このようなユーザーサイドからの発信によって未訳ゲームがプレイできるようになり、既訳ゲームの不明点が正されるというのは歓迎すべき流れですね(まあ商売にまでしてしまうと著作権法などでややこしいことになりそうですが)。

*1HJ社訳ルールでは、それぞれ「建設パート」「戦闘パート」です。

2010-07-29 Game Link第4号に連載「戦鎚傭兵団の手柄話」が掲載されます

Game Link第4号に連載「戦鎚傭兵団の手柄話」が掲載されます

| 21:31


 またまた大変久しぶりの更新となってしまいました(滝汗)。

 さて表題ですが、ボードゲーム情報誌「ゲームリンク」第4号が7/31に発売となります。

 今回はなんと、あのライナー・クニツィア氏のミニ・ゲーム3点が付録になっているようですよ! 付録ゲームといえば、第1号が川崎晋作「Merchant Guild」、第2号が池田康隆作「Kingdom」、そして第3号が鈴木銀一郎作「ウルフレンド・サーガ」と、定評あるデザイナーによる意欲作が毎号掲載されております。次の第5号で創刊一周年となるわけですが、今後ますます業界専門誌として充実し、付録ゲームがデザイナーにとってのよい意味でも実験場として機能するようになるとよいですね。

Game Link Vol.4

Game Link Vol.4

 さて、我々待兼翻訳チームは同誌に「戦鎚傭兵団の手柄話」という記事を連載しております。今回の「Game Link」第4号では、鈴木康次郎さんによる“アナログゲームのオンライン化”についての本記事と、岡和田晃さんによるアナログゲーム関連本の書評という構成になりました。

 鈴木康次郎さんの本記事については、詳細はご本人のブログ記事をご覧ください。ボードゲームTRPG、ウォー・シミュレーション・ゲームそれぞれのオンライン対戦支援ツールを紹介したわけですが、この記事を読んで考えさせられたのは、オンライン支援ツールの発達が対面プレイのあり方自体を変えていく可能性ですね。たとえば、「人狼」タイプのゲームで“表”の発言とは別に携帯情報端末で“裏投票”を行うなんてのも面白いかもしれません。「みんな口ではAさんとBさんが怪しいと言ってるけど、投票結果によると、圧倒的な一番人気はCさんだよ」とかです。まあもっとも、ゲームは結局シンプルイズベストなわけで、電子ツールを導入してゲームをややこしくするという方向性は最初は受けても長続きはしない気がします。TRPGの戦闘での各種修正値を自動計算して各人の端末に配信したり(ダイスロール自体はやっぱり手でやりたいですよね)といった補助に徹した形に最終的には落ち着くのではないかな、と個人的には思います。興味のある方は、よろしければ鈴木さんの記事をお読みください。

 続いて岡和田晃さんの書評についてです。

2010-06-07 GameLink誌第3号に『帝都最後の恋』の書評を書きました

GameLink誌第3号に『帝都最後の恋』の書評を書きました

| 21:31

 どうも、なかなか更新できなくてすいません(汗)。

 5月20日にボードゲーム情報誌「GameLink」の第3号が発売され、我々の連載「戦鎚傭兵団の手柄話」の第2回が掲載されました。

Game Link Vol.3

Game Link Vol.3

 連載メイン記事は岡和田晃さんによる、マルチゲームにからめた世界の腹黒政治家の紹介です。『フンタ』や『クレムリン』といったゲームでのあくどいプレイなどまた可愛いと思えてくるほどの強烈な怪人たちがエピソード満載で紹介されています。

 そして自分は、「おれらの戦利品」というゲームにからめた書評コーナーで、『帝都最後の恋』を紹介しました。

 ナポレオン戦争の時代を舞台に、敵味方に分かれた2つのセルビア人家族をめぐる愛と復讐の物語――と、一言で要約すればそうなるのですが、この小説が面白いのは章立ての通りに頭から順番に読むこともできれば、章ごとにランダムジャンプして読むこともできることです。

 どういうことかというと、全二十二章がタロット・カードの大アルカナ22枚と1対1で対応していて、タロット占いの出札順に読むこともできるのです。本の巻末には切り離し式のタロットカードが付属し、三種類の占い方が案内されているという親切さです。

「真のエンディング」を目指してジャンプしながら読み進めるというのはまさしくゲームブックの手法ですね。

 ただしこの作品には明確に真のエンディングと呼べるものはありません。最終章には一応幕切れのようなエピソードはあるのですが、それが結局何を意味するのかは一読したくらいではとうていわかりません。かくて読者は謎解きのために再読することになりますが、一度や二度読み返したくらいではやっぱりわかりません。いや、何度読み返しても完全に謎が解けることはなでしょう。

 というのも、一章一章に対応するタロットカードの寓意が込められていて、登場人物も近代的自我をそなえた個人というよりは運命の糸に操られた人形といった趣で、口にするせりふもことわざのような遠回しなものばかりだからです。

 そこでおすすめの読み方は、一回目は章順通りに通読して、二回目以降はタロットを引いてランダムジャンプで読み進めることです。登場人物と同じく、読者も運命の糸に操られ、翻弄される感覚が味わえることと思います。

 ゲームブックが携帯アプリNintendo DSなどに移植されていますが、iPhoneiPadなんかで読めるランダムジャンプの小説が出てくると面白いでしょうね。

 ゲームブックの醍醐味はパラグラフジャンプなわけですが、それを紙の本でやることになんか紐付きの紙飛行機で飛んでいるようなもどかしさがあったのですが、電子媒体ならばどこからどこへ飛ぶのかが物理的に見えないので、暗闇のトンネルに突っ込むような感覚が味わえるかな、と思ったことでした。もっとも、指セーヴという強力な「技」が使えなくなりますが……(でもきっと、しおり機能とか使えますよね)。

 最後に余談ですが、『帝都最後の恋』の作者ミロラド・パヴィッチは昨秋に惜しくも亡くなりました。書評を書こうと検索していてNew York Timesの訃報記事がヒットして驚きました。

 これは英語ですので、日本語のWikipediaにもリンクしておきます。

『ハザール辞典』などの実験作で知られ、セルビア筒井康隆ともいうべき方でしたのに、残念です。

2010-05-07 『ケイオス・イン・ジ・オールドワールド』の最新FAQを抄訳しました

『ケイオス・イン・ジ・オールドワールド』の最新FAQを抄訳しました。

| 00:28

 2010/02/05付けの版元FAQについてお知らせしたばかりなのですが、05/05付けでまた『ケイオス・イン・ジ・オールドワールド』(CitOW)FAQが更新されていましたので、さっそく抄訳をHJ社にお送りしました。遠からず公式サイトにアップされることと思いますが、その内容をざっとお伝えします。

 今回は既存の質問2件についての補足のみです。

  • コーンは『血溜まりの再戦』によって同一地域でダイヤル進行条件を2回満たせるのか?
  • ナーグルがグレート・アンクリーン・ワンを強化した場合、(召喚と同時に汚染トークン2個配置できる能力を生かして)同一地域に2回連続で召喚することで、ダイヤル進行条件を2回満たせるのか?

 いずれもダイヤル進行条件についてでして、答えはどちらもノーなのですが、1)同一フェーズ、同一地域でダイヤル進行条件を満たせるのは1回のみ。2)同一フェーズに別の地域でまたダイヤル進行条件を満たすことは可能。という2点が明確化されました。そのあたりの質問が多く寄せられたのでしょうか。

 詳しくは、HJ社公式サイトをご覧下さい。

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 また、FAQとは別なのですが、ユーザーの方からのご指摘で、オールドワールド・カードの誤訳一件が判明しました。

◇「選帝侯団による和睦提案」カード、上段の第二段落

 誤)その上で、ブレトニア、および任意の1地域に小作農トークンを1個ずつ配置する。

 正)その上で、エンパイア、および任意の1地域にイベント・トークンを1個ずつ配置する。

 うう、すいません。幾つもミスを出してしまい、今さらですが、重ねてお詫び申し上げます。うう、ゲーム世界内ならとうに公正を司るヴェレナ教の調査官に召し捕られていることでしょう……。

 いや、笑い事じゃなく、カードの誤訳は重大です。ルール本文であれば、英語版ルールが無料ダウンロード可能ですので、原文に照らして確認することができますが、カードの場合はそのすべがありませんので。

 原因は、焦って訳して充分に見直しをできていないことに尽きると思いますので、それは肝に銘じます。特に、カードだけはゆめ誤訳せぬようにできうる限りに努力いたします。

 この誤訳につきましても、HJ社に報告済みですので、こちらも近いうちに公式サイトにアップされるものと思います。

 誤訳については本当にお詫びの言葉もないのですが、これ以外にも怪しいものがありましたら、どうかお知らせ下さいませ。早速原文と突き合わせて確認いたしますので。翻訳したぼんくらよりも、ゲームを何度もやり込んだ方のほうが勘が働いておかしい点に気づくことがあると思いますので、ぜひぜひお待ちしております。

 machikane1192◆gmail.com までお知らせください(◆→@に変換)。

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 ちなみにCitOWのFAQについては、HJ社公式サイトとは別に、革脚絆さんが要点を手際よくまとめておられますので、ご本人の許可を得た上でリンクいたします。

 いずれもmixi日記ですのでアカウントのない方はご覧になれませんが、その点はご了承下さい。

革脚絆さんのFAQまとめ

 ついでに、版元関係のリンクです。

◇FFG社公式サイト(FAQの見出しの下の「Chaos in the Old World FAQ」をクリック)

HJ公式サイト

2010-04-23 『ケイオス・イン・ジ・オールドワールド』のエラッタ/FAQが更新さ

『ケイオス・イン・ジ・オールドワールド』のエラッタ/FAQが更新されました

| 22:42

 ウォーハンマー・ファンタジーの背景世界オールド・ワールドを舞台にしたボードゲーム『ケイオス・イン・ジ・オールドワールド』(CitOW)について、版元のFitasy Flight Games社公式サイトで本年2/5にFAQが更新されており、その抄訳が本日、HJ社公式サイトにアップされました。

◇FFG社公式サイト(FAQの見出しの下の「Chaos in the Old World FAQ」をクリック)

HJ社公式サイト

 つきましては、ユーザーの皆様にお詫びしなければならないことがございます。

 FAQの翻訳作業中に、重大な誤訳を一件見つけてしまいました。

 HJ社公式サイトに、[強化カード]リーパー のエラッタとして記載されているものです。以下の赤字部分が変更となります。

ただし、リーパーのフィギュア1体をコスト0で配置できるのは、1ラウンドに1回に限られる。

 従来の訳では、コスト0で配置できるのは1ラウンドにリーパー1体のみという解釈でしたが、正しくは、(全部で6体ある)リーパーの各フィギュアについて、1ラウンドに1回はコスト0で配置できるというものでした。

 これは対象が1体のみから最大6体に変わるという意味で重大ですし、しかもカード記載文のエラッタはユーザーの立場で考えればルール文よりずっと嫌なものですので、重ねて申し訳ありませんでした。

 この誤訳に気づいたのは、FAQの追加修正分を訳すついでに従来のものも見直していて、ふとリーパーの強化カードについてのFAQ訳がおかしいと思ったからでした。強化カードそのものの原文および訳文と照らし合わせて再吟味した結果、カード和訳時の誤訳に引きずられてFAQの訳も間違っていたことに気づきました。ですので、この強化カードのFAQは日本語サイトでは変更になっていますが、原文に修正はございません。

 以上の件につきまして、ナーグルのプレイバランスにも影響しかねないミスであり、お詫びの言葉もございません。まことに申し訳ありませんでした。