星丹二『ピンピンコロリの法則〜お出かけ好きは長寿の秘訣』

 健康長寿の秘訣を書いた本だが、まちづくりにも関係する話題があったので紹介しよう。
 
 前提として健康長寿に医療が貢献する割合は1割程度というのが著者の主張だ。
 収入も大切だが、世界的には一人当たり40万円以上になると大した差はなくなり、日本では100万以上あれば差は少なくなるそうだ。

 では、何が大切になるかというと、明るく楽しく過ごすこと。
 まちづくりに関係する話題では、外に出ること、買い物をすること、そして人とつき合うこと。病院にいくより美容院にゆき、伴侶が亡くなったらペットを飼い、仕事を持っている人は手放さないこと。
 ようは社会に関わっていく気持ちを失わないことだし、関わって行きやすい環境を持つことだ。
 というわけで、歩いて暮らせる街は健康長寿に良さそうだ。


 とはいえ慣れた環境から無理にお街に出るのが良いかどうかは分からない。転居が気持ちにどう影響するかは『撤退の農村計画』に関しても議論になっていたが、関係する記述はこの本には見いだせなかった。ただ主観的健康観、前向きの気持ちが大きな要素なので、転居してふさぎ込むようなことがあってはダメだろう。

 ちなみに日本の医療は効率が良いと言われているが、問題は薬の多用と入院の長期化なのだそうだ。薬に頼りすぎず、メタボになっても気にせず、加齢にともない増えてくる病気とは共存して、病気があっても「なんとか幸せにやっています」という気持ちを持てることが大事なのだそうだ。

 なんだか日本の国の状況にも当てはまりそうな話だった。

(おわり)


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撤退の農村計画―過疎地域からはじまる戦略的再編