ほらほらコーヒーが冷めちゃってるよ 2

好きな人に伝えたいことはできる限り直接伝えます。都々逸作っています。浦和レッズと演劇と映画と音楽が大好き! 田島亮(・中嶋将人)、成河、亀田佳明、イキウメと浜田信也。演出家・藤田俊太郎を応援しています。小林賢太郎・片桐仁、ラーメンズは永遠に好き。B'z、BrandonBoyd&Incubus、JasonMraz、大橋トリオ、Eddie Redmayne

葛河思潮社『浮標(ぶい)』★★★★★ 

  世田谷パブリックにて。
幕が上がり長塚さんからのご挨拶。「驚かれたと思いますが前のほうの席が低くてすみません」と・・(笑)ええ、びっくりしました。私はA列(ほぼセンター)だったんですよ。正真正銘の砂かぶり席ですが、敷き詰められた砂はほとんど見えませんが(笑)すごく近いので登場人物たちが足を踏み込んだときのザッザッという砂の音、手のひらや本からこぼれ落ちる砂の音、立ち上る砂煙がとてもキレイでした。そんなA列、予想外に座り心地良いです。足を前に投げ出しリラックスしながらの4時間だったので疲れることもなく・・。初演でも感じたのですが、この舞台4時間あるように感じないから不思議。一幕目はあっという間、二幕が終ったときなんて「え?もう二幕終わり?」と思いますから。
キャストも初演のキャストとずいぶん違いますし、劇場の大きさが違うので奥行きがあり、再演の落ち着きが出来ていました。キャストでいちばんガラリと印象が変わったのは美緒の姉、恵子(江口のりこさん→大和田美帆さん)。あと伊佐子(安藤聖さん→荻野友里さん)と尾崎(山本剛史さん→赤堀雅秋さん)もかな・・。小母さんは佐藤直子さんのままでよかった〜。
初演(KAATと吉祥寺)、テレビ放送を入れて4回目の『浮標』だったので、今日は目の前に田中哲司さんが立たれただけで私の中にあった九我五郎が甦り、涙がぶわぁ〜っと出てしまいました(笑)記憶が一気に戻った感じ。←ずっと泣いていたわけではないですよ(^^;)
海岸で京子が見つけた遠くに浮かんだ赤い浮標。それが五郎の目に届かなかったとき「あの浮標を見つけられたらいいのに・・」と心から思いました。
私がいちばん心を揺さぶられ涙が溢れたのは、三幕で美緒を見舞いに来た託児所の子どもたちとの場面です。生きている証がほしい。やっぱり誰かに必要とされていることを実感したいと思うからかな。
 
万葉集を語り聞かせる五郎。 生きろ 生きろ というメッセージ。貪欲に生きろ。全ての台詞がストレートに心に沁みます。久しぶりに三好十郎の美しく力強い言葉たちを胸に刻み込みました。
愛と生の物語ですが、五郎の愛は死にゆく妻を飛び越えてもっともっと大きくて深いんだと感じました。そこには戦争があり死を覚悟している親友(日本人)、貧困・・同じく貧しい近所のひとたちと支え合い生きてゆく。貧困でも自分は売らない。「生きること」への執着を感じました。そしてそれがとても強くて美しいと。
 
「要するにな、俺の言ひたいのは、万葉人達の生活がこんなにすばらしかつたのは、生きる事を積極的に直接的に愛してゐたからだよ。自分の肉体が、うれしくつてうれしくつて仕方が無かつたのだ。」 
「眠るな! 眠つちやいかん! 馬鹿! 聞くんだ! 大伴家持やかもちだ。畜生つ!」
 
戯曲が読めます。http://kuzukawa-shichosha.jp/index.html http://kuzukawa-shichosha.jp/gikyoku/
 
 
 
個人的な好みで言っちゃうと・・・中村ゆりちゃんが観たかったな・・ゆりちゃんが歌う「帰れ、ソレントへ」(これは日本語バージョンの題名)が聞きたかった・・。
KAATのこけら落しだった。 http://d.hatena.ne.jp/Magnoliarida/20110121
初めての吉祥寺シアターだった。http://d.hatena.ne.jp/Magnoliarida/20110201
 
 今日の気になるフライヤー。『見渡すかぎりの卑怯者』箱庭円舞曲の古川貴義さん作・演出。りょんりょんパパさんも出演。