- 作者: 日本近代文学会関西支部編
- 出版社/メーカー: 和泉書院
- 発売日: 2011/03/22
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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■掲載論文:「「羊男」の描写と「歴史」の現前について」(128-139p)
■村上春樹『羊をめぐる冒険』(1982)に登場する「羊男」を考察した。「羊男」の造型には複数の海外映画・小説等からの影響が見られ、また「戦争」の影が見え隠れするキャラクターでもある。村上春樹は「戦争・暴力」を描く際、海外サブカルチャーの素材や造型を多用する傾向にあるが、その一端を「羊男」を中心に考察した。
■下記は和泉書院の紹介ページ(http://bit.ly/iiHtCf)からの引用です。
■村上春樹から〈小説の現在〉の在処を探る。―いま、村上春樹ほど「小説」を書くことに意識的な作家はいない。
『1Q84』ブームに見られるような、社会現象化した春樹の仕事を、「記憶」「拠点」「レスポンシビリティ」の観点から顕わにする。デタッチメントからコミットメントへ、「記憶」と「歴史」が接合されるとき、春樹テクストはそこにどう向き合うのか? 境界を超えて活躍する春樹は、グローバリズムに対してどのようなポジションを取り、どこを「拠点」とするのか? 応答責任を負うべき春樹の読者とは、「誰」なのか? 「大きな物語」が衰退し「小さな物語」の乱立する現在、〈小説〉の可能性はあるのか?
シンポジウムでは読者の欲望と村上春樹の「正しさ」について、4人のパネリストが縦横に語る。13人の論考がそれらの議論に応答する。現在における村上春樹の位置と政治性を問い、「文学」の果たすべき役割を明らかにする。巻末に村上春樹出版年譜を付載。
第I部 シンポジウム「村上春樹と小説の現在―記憶・拠点・レスポンシビリティ」
・報告(1) ポストモダン・ローカリティ―村上春樹の「開かれた焦点」とその主題化
高木彬
・報告(2) 村上春樹は世界文学か日本文学か―近代化過程と文学の表現をめぐって
中川成美
・報告(3) 「正しさ」の村上春樹論的転回 石原千秋
・報告(4) ピンポンと弑逆。小説について考えるときに読者が考えること 千野帽子
・全体討議 (パネリスト)高木彬・中川成美・石原千秋・千野帽子
(司会)飯田祐子・黒田大河
第II部 村上春樹から〈小説の現在〉を考える
・村上春樹とポピュリズム、その不確かな壁 清水良典
・村上春樹と〈小説の現在〉―やがて〈過去〉に繰り込まれる〈現在〉を悼んで― 金子明雄
・村上春樹の「王殺し」 佐藤秀明
・記憶の物語/時間のレトリック―村上春樹の1Q80年代― 日高佳紀
・「羊男」の描写と「歴史」の現前について
―『羊をめぐる冒険』と海外小説・映画の関係から― 青木亮人
・変容するテクスト/変容する書き手―『回転木馬のデッド・ヒート』をめぐって― 安田孝
・村上春樹「沈黙」論―学校(システム)と個人をめぐる「小説の現在」― 木村功
・告白する彼女たち―『ノルウェイの森』の中で― 趙柱喜
・エロティックな通俗小説から格調の高いベストセラーへ
―中国大陸における「村上春樹」というブランドの生成過程― 孫軍悦
・『海辺のカフカ』と九・一一以後の想像力 深津謙一郎
・メタフィクションとしての『1Q84』―ねじれた「記憶」と「物語」― 黒田大河
・牛河という「子供」―『1Q84』のもう一つの物語― 飯田祐子
・『1Q84』論―村上春樹のゆくえ― 平野芳信
・村上春樹現象とは―読者は何を求めて読むのか(あとがきにかえて)
日本近代文学会関西支部長 明里千章
・村上春樹出版年譜 作成 明里千章