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2009-11-16
BI(ベーシック・インカム)について、財源の試算と導入シナリオ
よーし、パパ計算しちゃうよ。これ書くの一時間かかったぜ。ポパー以来の力作ww
平成21年度の国民負担率(租税負担+社会保障負担)、潜在的国民負担率(国民負担率+財政赤字)、ただし見込みの数字*1。つーか、この見込み、経済情勢的に崩壊してねぇか?
| 国税負担 | 一般会計税収 | 地方税負担 | 租税負担(国税+地方税) | 社会保障負担 | 国民負担率 | 財政赤字 | 潜在負担率 | 国民所得(NI) | |
| 負担率(%) | 13.0 | 12.5 | 10.0 | 23.0 | 15.9 | 38.9 | 8.8 | 47.7 | |
| 負担額(兆円) | 47.8 | 46.0 | 36.8 | 84.6 | 58.5 | 143.0(負担額) | 32.4 | 175.4(負担額) | 367.7 |
- 一般会計税収のうち、社会保障関係費として支出された約21兆円
- 社会保障負担により、約59兆円
- 資産収入(集めた社会保険料を国債で運用して得たお金。当然国債費は税金で支払われるので、結局は国民のお金)(あと、年金でマッサージチェアを買った分や誰も来ないハコモノ施設もストックとして資産計上したうえで減価償却処理をしてフローを浮かせているはずなので、ここはもっと追及したいところなのです)9兆円
- その他(年金の名簿を紛失するというウルトラCな不払いをして、せこせこ溜め込んだお金も含まれます)8兆円
の、合計100兆円弱が社会保障の財源となります。
項目 金額 備考 税収 45兆円 国債 50兆円 だいたいこんなくらい? 社会保障支出 110兆円 11年見込み 法人税 -14兆円 税収のうち法人税分 社会保障費は年金等保険料徴収分(個人/法人)と税金補填分とを分けるのが面倒なので、一度重複したまま合算して、上のような感じになるのかな?
志村ー、繰り込んどる、繰り込んどるww 一億人で割り算すると、100万円ですね。月に8万円といったとこでしょうか。
ちなみに、社会保障負担59兆円に、さらに税金の補填をした、総額としての社会保障「給付」は90兆円となっています。医療に30兆円、年金に50兆円、福祉に10兆円*2、といった内訳です。残りの10兆円は、特別法人の人件費(社会保険庁の人件費は税金です、社会保険から出そうかという議論が行われていたので、ひょっとすると違うかも...調べて、誰か。)、および、少子高齢による保険料減を将来に、まかなうための資金として毎年蓄えています*3。こうやって貯めた資金のうち、公的年金については、年金積立金管理運用独立行政法人が金融機関に委託して運用しています。運用先は、国内債権が70.7%、国内株式が11.4%(リーマンショック後の株を買い支えていた資金でもあります)、外国債券と株式17.1%です*4。勝間和代さんは投信がお得意なようですから、リフレなパフォーマンスも良いけど、ここいらで実力を示されてみてはいかがでしょうかねww 年金積立金管理運用独立行政法人の仕事は運用先を「選ぶ」だけです。おお、ぴったりじゃんwwww
社会保険の中身について触れていたら、話がだいぶずれました。今回のエントリはBI(ベーシック・インカム)を実現してみようという趣旨です。いくつかシナリオを用意してみましたよん。
シナリオA ラジカルな所得平準化
つまり、社会保障を全て廃止して、代わりに国民にお金を配るってわけです。年間100万円の、月額8万円となります。シンプルですな。
財源を考えます。社会保障費から全て給付することを想定しても良いのかもしれませんが、介護保険や厚生年金のような一部の人間だけが払うような社会保険が存続できるとは思いません。つまり、社会保障負担は全廃し、税金でもって全てまかなおうという、社民党的な考え方となります。
社会保障負担を全廃したことで、国民負担率は20%弱、国民潜在負担率は30%強に低下します。かわりに、社会保障財源も21兆円しかなくなるので、残りの80兆円を増税によってまかなうことになります。
現在、国税と地方税を合わせて、家計と法人が85兆円払っているわけですが、これが倍になるイメージですね。法人税40%アンド・地方税10%が2倍になったら、法人が支払う税金は利益の100%になってしまいますよww うははははwwwww テラ砂漠www PLから税引き後利益という言葉が、いや、PL自体が消滅します。会計士失業ww
お恥ずかしいことに、前々回エントリ(BI(ベーシック・インカム)についての私的メモ - riverrun past...)は計算ミスしていました。税金3倍でなく2倍です。地方税を考えてなかったのです。国民資産の40%、財政赤字を支払うとこまで考えたら50〜60%が持っていかれることになります。
一律に税率を上げるわけにはいかないみたいだ。財源には消費税がよさそうですね。5%の消費税で10兆円くらいの税収ですから、あと80兆円まかなうには、40%プラスの消費税45%です。
物価が1.5倍、社会保障の負担はなくなる代わりに、月8万円、そして病気も怪我もこの8万円の範囲内でなんとかするわけです。
シナリオB 医療保険のBI繰り込み
シナリオAとBに共通するのは病気や怪我による出費を、公的な保険に頼らずまかなおうという考え方です。これらのシナリオはインセンティブ教の教条から見た場合、非効率に映ります。理由は(必要なのはベーシック・インカムではなくベーシック・インシュランスでは? - riverrun past...)で書きましたが、将来のリスクを外部化することで享受できていた経済的メリットをみすみす手放すことになるから。
社会保障給付では、医療に30兆円を支出しています。これは一人当たりになおすと、社会保険と税の負担を合わせて年間30万円の、月額2.5万円ということになります。この分がベーシックインカムとして支給されるわけですね。ただし、病気や怪我はこの30万円のなかでやりくりするわけです。
足りないだろうな、ということはすぐに分かります。がん保険を見てみると、悪性腫瘍が見つかると100万円支給、入院は日額1万円です。だいたい、200万円くらい貯め込んでおけば人は安心するのだと考えておきます。。
すると、医療保険があったころは、国民は一人当たり30万円を支払い、かわりに病気や怪我の心配を国家に預けてきたわけでが、これを自分で抱えるために、30万円は戻ってくるものの、それを蓄えておいた上に、追加で170万円を貯蓄しておかないと、不安で夜も眠れなくなるのです。一億人では、年間200兆円のお金が眠ることになるわけです。そんなに蓄えることができない人は、病気も怪我も自己責任ですね。
実際には、民間の保険会社が発達して、国民はみな、どこかの保険会社に入ることになることでしょう。政府がやらずとも市場が非効率を補うことができます。これを推し進める市場原理主義者な人もいて、確かにメリットもあります。例えば、保険会社が儲かることで巨大化して、うはうはなボーナスが出るだとか。ただし、彼らは利潤を追求するので、お年寄りや障がい者の方の保険料が高くなったり、保険会社が高度な治療に対する支払いをしぶったりするわけです。マイケル・ムーアの「シッコ」の世界です。
つまり、医療保険のBI繰り込みとは、アメリカ型の、政府は医療を一切負担せず、各自が自己責任で民間保険に加入するモデルにきわめて近い。アメリカで、AIGなどの金融機関が繁栄を謳歌したのは、この自己責任モデルから派生した、保険を用いた金融取引が背景にあります。
シナリオC 年金保険のBI繰り込み
シナリオAやBと違って、医療費には手をつけないシナリオです。
年金で、65歳から死亡するまでの期間に受け取った額が、20歳から払い始めてから65歳になるまでに支払った額を上回る確率は、男性ならば8割ほどと、前に計算したことがあります(命のレース - riverrun past...)。当然だが女性はもっと高いです。年金は、ほぼ全員が受け取るので、平等に分配してもあまり問題が起きなさそうですね。
id:sionsuzukazeの言葉を借りるなら、「年金ぶっ壊せばいいんじゃんw」ですね。では、ぶっ壊してみようwww
シナリオAと同様に、厚生年金のような一部の人間だけが払うような社会保険が存続できるとは思いません。つまり、年金保険だけ廃止し、医療や福祉のお金をキープしながらも、他は税金によってまかなおうというシナリオとなります。
これによって、国民は50兆円(うち、社会保険料が33兆円、税金が17兆円)の負担から開放されます。そして、税金で同額の50兆円をまかない、一人あたりでは年間50万円、月に4万円支給されることになるわけです。
え?一人暮らしのお年寄りが、月に4万円で暮らしていけるの?不足分を増税で補うことになります。もう50兆円を消費税からとるなら25%アップですね。かわりに年間100万円、月8万円になりました。
また、リスク内部化の罠が発生します。医療の時は水平に起きたリスク内部化の罠が、今度は時系列の垂直に起こるわけです。
悲惨な老後のBI生活をみた国民は、恐怖におののき、貯蓄をはじめることでしょう(もう、悲惨な年金生活を見て、はじまっているという説もあるwww)。男性ならば、年200万円×8年(平均寿命72歳 - 定年延長込み65歳)の1600万円を、65歳までに貯めなければ安心できません。女性ならば、年200万円×19年(平均寿命84歳 - 定年延長込み65歳)の3800万円です。あはははは、フxxx ユー。
一億人が、これだけの貯蓄をしたとして(できないと思うけれど)、2700兆円が死蔵されることになります。ま、65歳以降は支出を始めるのでこっちはわりと社会に還元されるのですが(この一文、id:anon42のブコメでの指摘で追加)。参考までに現在の日本の個人金融資産は1400兆円です。民間の保険会社がこのお金を奪い合い、経済的弱者は安価に暮らせるタイや広州に逃げ出すか、生活苦からばりばり犯罪を起こすことでしょう。テラ地獄絵図www
シナリオAは、シナリオBとCの悪いところ取りですから、2900兆(なんだか、2700兆のせいで200兆円が大した額ではないように思えてしまいますww)を将来不安から死蔵し、それを保険会社がリスクをとりつつ、支払い額を金融工学を駆使して減らし、それを顧客にアピールしながら競争する社会になるのです。
はい、まとめます。BI(ベーシックインカム)を実現しても、将来不安から、人はお金を預けると思います。預ける先が、国家か、民間保険会社かの違いです。
「小さな政府」を信奉する新自由主義*5の人たちは、この将来不安から貯めておくであろうお金を民間に注ぎ込み、経済の活性化を狙っているのです。弱者に十分な配分をする余裕はないかもしれません。
「大きな政府」を唱える社会主義的な人は、この将来不安から貯めておくであろうお金を分配してくれるのですが、その代わり、社会保険料の投資先は、国債や国内の株の下支えとなります。人口が減少し続ける日本ではジリ貧の、持続不可能かもしれないモデルです。
と、どっちもどっちな結論に逃げましたが、どっちもどっちなのだからしょうがない。もう、民意で決めるしかありません。弱肉強食のかわりに活性化した社会か、弱者に配慮した管理型の社会か。
そのために8月に投票したじゃありませんか。そういうことだと思いますよん。BI(ベーシック・インカム)は弱者のための政策ではなく、新自由主義的な社会をつくる。そういう社会がお望みならば、あるいは稼ぐ意欲がないならば、ぜひぜひBIを支持するべきです。それ以外の人にメリットってあんのかなー?
BI導入すると、何らかの支障があって(これは心身とも)働けない人や、どう考えても収入が低いだろう若手芸術家・研究者・舞台関係者などなど、主に文化活動家にも等しく支援できるところがいいよな
ここらへんとのトレードオフで。
- 638 http://www.hatena.ne.jp/
- 422 http://b.hatena.ne.jp/hotentry
- 382 http://reader.livedoor.com/reader/
- 264 http://b.hatena.ne.jp/entry/d.hatena.ne.jp/Marnier/20091116/p1
- 262 http://b.hatena.ne.jp/
- 251 http://d.hatena.ne.jp/
- 222 http://search.yahoo.co.jp/search?p=ベーシックインカム 導入&rs=2&tid=top_ga1&ei=UTF-8&fr=top_ga1
- 207 http://www.google.co.jp/reader/view/
- 200 http://b.hatena.ne.jp/hotentry/economics
- 196 http://b.hatena.ne.jp/hotentry?mode=general

![シッコ [DVD]](http://ecx.images-amazon.com/images/I/51n4mi2NuiL._SL160_.jpg)



私は東京の一人暮らしでの生活保護水準であった月14万円で試算したのですが、年213兆円必要という(だって平成22年の概算要求額が95兆円なのにその倍以上必要なんですよ)、ショッキングな数字になってしまいました。消費税を上げると107%。物価が倍になってしまいます。
あと、計算して思ったのが、消費税を上げると物価に上乗せされてインフレしてまた倍の予算が必要になるので、やり方としてはマズそうです。
http://d.hatena.ne.jp/a-kubota/20091126/1259248139
所得税12%→60%、法人税30%→45%、社会福祉保障費全部回すことで、個人は月々8万円に加えて4.5万円以上のおこづかい(従来給与だったもの)が手に入るという寸法です。これならやってできないことはないかも。
やってできないことないわけですね。
では、次の課題。わたしは財源よりむしろこちらのほうを気にしていますw 社会保険料カットする代わりにBIを導入した場合、薬の値段も医療費も全額自己負担の発展途上国のような社会が出現します。また、給与上昇のインセンティブがないわけですから、国民の知的水準は低下し、経済的には真っ当な付加価値を創出できなくなります。先に死ぬのは弱者です。こんな社会は嫌だー。