3/12 DDT 宮地鉄工所でのイベント(工場プロレス) 徒然観戦記

この書き出しを使うのも久しぶりだな




ご安全に!



前ヨシッ!



右ヨシッ!



左ヨシッ!



そしてプロレス!

ちなみに「ご安全に!」は、工場での挨拶の基本です

というわけで本日は、昭和島にある宮地鉄工所にてプロレスを観戦。DDT主催による「工場プロレス」というヤツである。それにしても東京モノレール昭和島駅は、かなりJR鶴見線の香りを醸し出していて、いい駅だったなぁ…って、こんな話は東京近郊の人でも判る人は限られそうだな(苦笑)。


さてさて。今年二月に行われたDDTの興行にて、マイケル中澤CEOから「地味な王者」と揶揄されていたKUDO&ヤス・ウラノ組が持つKO−Dタッグ王座を奪ったのが、高木三四郎澤宗紀組。勝利した新王者組は「俺たちが王者となったからには、どこででも防衛戦を行なうっ!初防衛戦はリングのないところでやるっ!」と宣言したところ、この工場プロレスが実現したワケだ。う〜ん、他にも防衛戦をやれる場所はあるだろうに、よりによって鉄工所でプロレスとはねぇ(笑)。


それにしても、敷地内での災害には非常にうるさいはずの工場という場所。大手企業となると、中でちょっと転んで膝を擦り剥いたりしたり、プリンターの紙で手をちょっと切っただけでも、救急車を呼ばれて病院に運ばれるようなところもあるというのに(コレ本当)、何だって相手を傷つける事を前提とした「プロレス」なんて行為を許すんだろう?と思ったが…。

ま、プロレスラーは自社の社員というワケではないし、今は折からの不景気で製造業は大打撃を受けているから、この鉄工所も例年に比べて稼働率が下がっているのだろう。だったら、大きな事故さえなければプロレスもいいだろう!って事にでもなったのかな?何にせよ、肝要な宮地鉄工所のお陰で今日は、世にも珍しいプロレスが見れるワケだ。感謝感謝。


ちなみに入場料はタダ、なかなかに太っ腹だなぁ。観客は300人程度+宮地鉄工所の社員の皆さん。いや〜、僕を含めてバカ共が沢山いるワケだが、そのバカ共の中にどういうワケかタカハシさん、エージさん、PONさん、どらちゃさんといった知り合いもいたのはどうか?どうなのか?

第一試合 今日はこの一試合のみ!潔い!

KO−Dタッグ選手権試合 ノーDQ&エニウェアフォールマッチ タッグマッチ 時間無制限一本勝負
 高木三四郎(175cm/108.0kg/大社長)
澤宗紀(173cm/85.0kg/格闘探偵団バトラーツ)
vs
 GENTARO(176cm/90.0kg/FREEDOMS)
●中澤 "CEO" マイケル(180cm/90.0kg/CEO)
[28分38秒 お卍固め・オン・ザ・フォークリフト]

まずは大家健が、今日の観戦の「さしすせそ」を説明。ちょっとした事だけど、この手の「判りやすい標語」は、いかにも工場っぽくていい感じだなぁ。


さ・・・騒がない        (常識を外れた騒ぎ方をしない)
し・・・指示に従う       (行ってはダメな場所には行かない)
す・・・捨てない        (敷地内でゴミは捨てない)
せ・・・責任          (なにがあっても自己責任)
そ・・・写真はOK、動画はNG (本当の「そ」は、貴方の心の中にある)

とりあえずオチがついたところで、ラジカセ用のスピーカーから(しょぼ!)DDTのオープニングテーマが流れる。あまりの音の小ささに、観客からは「聞こえない!」の声も飛んでいた。ま、しゃ〜ないわな。




やがて資材置き場から選手が入場。高木三四郎といえば入場が一つの見せ場なのだが、今日は前述の理由で入場曲の音が小さかったため、自らアカペラで「3・2・1、ファイヤーッ!」を絶叫していた。



いよいよ試合開始、先発は澤とGENTARO。まずはオーソドックスな腕の取り合いで観客の目を惹き付ける。



ちなみにこの日は赤コーナーと青コーナーをフォークリフトが担当。



そして、ニュートラルコーナーはロッカーが担当していた。何故だっ!?



両者タッチで高木と中澤が登場、早速ヘルメットを被ってのヘッドバット合戦を展開。お互いに容赦なくフルスイングで放たれるヘッドバットはなかなかの迫力だが、「カポン!カポン!」という音がちょっと間抜けでいい味を出している。



やがて二人の戦場は、皆さんお待ちかねの場外へと突入。どこからが場内で、どこからが場外かは各自調査。とりあえず、鉄工所の廃材でチャンバラを演じる高木と中澤。本当に質量がある鉄同士がぶつかる音には、かなりの迫力がある。



次の戦場は工場内…なのだが、この時は人だかりが半端でなく、僕自身は観戦ができなかった…。とりあえずホウキで殴り合ったり、加熱した鉄を冷ますのに使用した石灰をぶつけ合ったりしていたようだ。
ちなみにこの石灰、鉄を冷ましたばかりだと200℃近い温度になるそうだ。さすがに「200℃もある石灰をぶつけ合った!」という事はないだろうが、この砂が舞い上がっていた時は周囲に蒸気らしいものが立ち込めた上、人だかりの向こうから「あぢいいいぃぃぃ〜っ!」という声が聞こえてきたことは記述しておく。



今度は鉄パイプの束の上での攻防。砂を被った両者の姿が煤けている上、高木はこの時も「まだ、あぢいいいぃぃぃよ!」と絶叫していた。かくも過酷な鉄工所プロレス、なぜに彼らはこんな場所で闘うのか?プロレスラーは過激にして過酷だ(by 山本小鉄)。



一方、澤はGENTAROの4の字固めに苦しんでいた。要所要所で、思い出したかのようにオーソドックスなプロレスの攻防が挟まってくるのが面白い。



高木と中澤が自動販売機の前で攻防を繰り広げる。散乱した缶の山が、両者の激闘を物語っているが…この後、なんと中澤は高木に向かって、まさかの毒霧噴射!イヤイヤ待て待て、その毒霧の成分ってまさか…。もし、僕の考えている通りだとしたら変態だ、変態すぎる…。



そんな中、GENTAROと澤の戦場はクレーンの上まで移動。両者ともに、クレーンからの落下を狙い合うという、まさに命を賭けた攻防を繰り広げる中で…。



澤の攻撃を受けたGENTAROのヘルメットが、まさかの6mダイブ!あまりにも危険すぎる場面に、観客からは「Holy Shit!」の声も出なかった(笑)。



一方、高木は中澤を捕らえると、木の足場を利用してのDDTを敢行。その場にある資材を、いかに見栄え良く利用するか?が工場プロレスの肝である。



高木と澤が自動販売機前の上に立ち、二人の幻の必殺技である「いくぞ!黄金シャワーッ!」を敢行しようとするも、これはGENTAROと中澤のゴミ箱攻撃で止められた。未だに誰も見た事がない「黄金シャワー」だが、いつも見れなくて逆にホッとするのは何故だろう(笑)。



今度はGENTAROがオン・ザ・自動販売機。そしてムーンサルト・アタックで宙を舞う!これには観客も「Holy Shit!Holy Shit!」でGENTAROの攻撃に応える。う〜む、しばらく観ていなかったけど、やっぱりGENTAROもいいレスラーだよなぁ。



いよいよ試合はクライマックスへ。ニュートラルロッカーを倒した高木は、GENTAROと共に青フォークリフト上での攻防を展開。どんどん競り上がっていく青フォークリフト、高木はこの上からロッカーに向かって三四郎スタナーを敢行!当然、観客は「Holy Shit!Holy Shit!」で高木を激励。本当にDDTの観客はノリが良くて面白いな。






すかさず澤が、シャイニング・ウィザード・オン・ザ・ロッカーでGENTAROを追撃し…。



GENTAROに対するトドメは、高木によるフォークリフト最上段からのフライング・ボディプレス・オン・ザ・テーブル!だが、高木はこの時、足を負傷。「澤ーっ!決めろーっ!」と叫ぶ高木、その視線の先には…。






フォークリフトの上で、得意のお卍固めを決める澤の姿が。どんどんフォークリフトが競り上がり、高さがついて威力も倍増(!?)。必死に耐える中澤だったが、危険と見た松井レフェリーが試合を止めた。



試合後、敗れたGENTAROと中澤が仲間割れによるカラーコーンのぶつけ合い、そしてまさかの放水を敢行するのを他所に…。見事に勝利を収めた王者組はフォークリフトの上から喜びを現す。「ヨッシャー!勝ったぞーっ!…高いっ!高いよっ!怖いよっ!!ちょっと下げてよっ!」。



王者組のプランでは、この後はどインディー団体を相手に防衛戦を続けるようだ。3/27は都立武蔵野公園でNKW所属のキム・ヨッチャン&軍団ひとりによる兄弟タッグを相手に、3/28には大阪の羽曳野でFU★CKのグレートカイザー&Xと闘うそうだ。う〜ん、良くわからないが、やたらと精力的だなぁ。
最後は高木のアカペラによる「ファイヤーッ!」で絞め。


雑感

いやいや、今日はなかなか貴重なものが観れたワケだが…。その中で、よくわからなかった事が一つ出てきた。

鉄を冷やすために使用する「石灰」の存在だ。鉄工所プロレスが行われたのは宮地鉄工所であり、宮地鉄工所は埋立地である昭和島の上にある。昭和島の周りには運河が流れており、つまり鉄を冷やすのであれば、石灰じゃなくて水を掛ければいいんじゃね?という事になる。なんで石灰なんだろ?

というワケで、ちょっと調べてみたのだが…。どうやら、どのような鋼を作成するかによって冷やし方が変わるようだ。硬い鋼を作るときは水を使って一気に冷やすのに対して、柔らかくて弾力のある鋼を作成する時は、石灰などを掛けてゆっくりと冷やすのだそうだ。へ〜っ、化学って面白いモンだなぁ。




え?プロレスの感想になってない?でも鉄工所の感想にはなっている上、ためになったでしょ?


以上、長文失礼。