2007-01-10 なまくら
最近、一昨年に購入したES8196の剃り味が鈍くなってきました。自分では毎朝きちんと剃っている心算なのですが、午後になると指の爪で抓めるくらいに伸びてしまいます。しかし、目視確認する限り、外刃も内刃も特に刃こぼれしている様子はありません。
そこで、昨日の仕事帰りに、新宿西口ヨドの理美容機器売り場で色々と聞いてみました。
- 五月原清隆
- すみません、最近ラムダッシュの剃り味が鈍くなってきたんですけど、どの辺に原因があるんでしょうかね?(;´Д`)
- ヨド店員
- お客様、そのラムダッシュをお買い上げになったのはいつですか?(^Д^ )
- 五月原清隆
- 2005年の11月です(;´Д`)
- ヨド店員
- じゃあ、刃こぼれが原因ですね(^Д^ )
- 五月原清隆
- でも、外刃を見ても特に刃こぼれしていないんですけど(;´Д`)
- ヨド店員
- シェーバーの刃こぼれはミクロの世界ですから、肉眼では確認できませんよ(^Д^ )
- 五月原清隆
- じゃあ、外刃が割れたりしているのは……(;´Д`)
- ヨド店員
- 肉眼で分かる場合は完全に手遅れです(^Д^ )
結局、その場で替え刃を購入して、ES8196に取り付けてみました。すると、若干ながら今朝の剃り味は鋭くなった気がしますが、それでも購入当初の感動はありません。やはり、使用者が鈍らだとシェーバーも鈍らになるという事なんでしょうね⊂⌒~⊃。Д。)⊃
■[航空ニュース]日本航空MD-11乱高下事故で高本孝一機長に二審も無罪判決 
という事で、昨日の大きなニュースです。
○機長、二審も無罪 日航機の乱高下事故
http://www.asahi.com/national/update/0109/NGY200701090002.html
http://symy.jp/?BFa(ウェブ魚拓+ウェブ精米)
○日航機長に二審も無罪 乱高下事故で「操縦ミス認められず」
http://www.chunichi.co.jp/00/sya/20070109/eve_____sya_____007.shtml
http://symy.jp/?aaD(ウェブ魚拓+ウェブ精米)
ご遺族の方の心境は察するに余りありますが、妥当な判決というべきでしょう。MD-11に限らず、一般に航空機は非常に複雑なシステムであり、そこで事故が発生するまでの間には、様々な事象の連鎖*1が発生しています。その航空事故において、原因を高本孝一機長の過失のみに求めようとするのは剰りにもナンセンスであり、航空事故の真相を見失う事に繋がりかねません。特に、MD-11のように特殊な運動特性を持つ機材であればなおさらです。
その遺族の方が公開されているホームページでは、「航空事故の再発防止のためご協力下さい」と書かれていますが、真に再発防止を望むのであれば、同時に事故当事者の刑事免責を保障しなければならないというジレンマがあります。今回の事件では、運輸省航空事故調査委員会*2の事故調査報告書が刑事裁判の証拠として採用されるという逆コースを辿っていて、これが有罪判決になどなろうものなら、真の航空安全への道は却って遠離ってしまいます。実際、ろくに事故調査もしていない自動車の世界では一向に交通事故が減少していないのですから、「漫然と」というテクニカルタームだけで過失責任を処理している交通事件が如何に無駄な裁判であるかがよく解るというものです。
さて、件の遺族ホームページにおいては、1つ気になる事が書かれています。
一審では訴追の対象に成らなかったが、事故の10日後の定期健康診断で高本機長は黄斑性網膜剥離を指摘され機長資格を剥奪されてます。
公判で証人にたった西田副操縦士は355ノットを超えたのでコーションスピードと警告してます。機長は視力が足りなくて的確な操縦を出来なかったのです。事故の原因は目が悪いために速度超過をした速度違反が原因です。只それだけの話です。
日本航空事故の顛末
この件については、事故調査報告書は勿論の事、Wikipediaにも外山智士さんのホームページにも記載はありません。しかし、仮に高本機長の視力に難があったとしても、これを以て訴因変更し有罪判決を勝ち取る事は、やはり非常に難しいものであると言わざるを得ません。その理由は、大きく分けて2つあります。
- 視力障害を自覚する事は非常に困難である。
- 視力障害は事故の直接的な原因とはならない。
視力の低下は、何等自覚症状なしに発生します。これといって痛みが発生するのではないのですから当然ですが、視力障害は検査によって初めて判明するケースが殆どですし、本人ですら視力検査によって初めて視力低下を認知する事もままあるのです。だからこそ、航空身体検査証明の有効期限は僅か半年しかなく、その更新に当たっては毎回緻密な視力検査をパスする事が求められているのです。高本機長の黄斑性網膜剥離が事故の10日後に判明したのは全くの偶然であり、寧ろ航空身体検査証明制度の有効性が証明されたと言うべきなのです。
業務上過失致死傷の構成要件を阻却するだけであれば、以上の説明で十分です。それでもなお視力障害と事故との因果関係を検討してみた所で、やはり高本機長の視力障害を事故原因とする事には無理が伴います。その理由は、以下の3つです。
- 高本機長はVMO*3超過の前から対策を講じている。
- 運航乗務員は機長と副操縦士との2名である。
- 操縦桿やスピードブレーキの操作には高い視力を必要としない。
先ず、「高本機長の速度計見落としによる速度違反」という件ですが、これは全く該当しません。MD-11における「速度違反」とは、VMOである365ktを超過する事を言いますが、事故調査報告書にもある通り、高本機長はオートパイロットの設定速度である350ktを超過した時点でスピードブレーキを展開しており、「漫然と速度超過を見逃した」とするのは不適当です。序でに言うと、副操縦士が「コーションスピード」とコールアウトするのは、機長がそれを認知していると否とに関わらず、必ず実施される事です。つまり、「コーションスピード」のコールアウトは、機長が「漫然と速度超過を見逃していた」という証拠にはなり得ないのです。
次に、複数名による運航という事ですが、基本的に大型機の運航乗務員は1名ではなく2名(またはそれ以上)です。これは、複数名による役割分担という意味だけではなく、片方の運航乗務員に致命的な事態が発生した場合でも安全な運航を担保するという意味も持ちます。極端な話、機長が心臓発作で急死した場合でも航空機は安全に運航を継続されなければならないのであり、機長の視力障害「如き」で事故が発生するような事では困るのです。実際、運航乗務員の突発性機能喪失が発生しながらも航空機が無事着陸した例は数多くありますし、何時そのような事態が発生しても冷静に対処できるよう、機長だけでなく副操縦士(或いは航空機関士)も日頃から訓練を重ねているのです。
そして、「的確な操縦ができなかった」という件についてですが、操縦桿やスピードブレーキの操作に高度な視力は不要です。どちらも、航空機の運動に直接かつ重大な影響を与えるスイッチですから、操縦士にとって最も目立つ場所に設置されています。「視力障害で操縦桿が引けません」などという事は有り得ないのです。「視力障害で速度超過が」云々については、上述の通り不適当な話です。
以上を振り返るに、やはり今回の事故は高本孝一機長の過失によるものとは言えなくなります。故意過失を問うのであれば、その相手は高本機長ではなく、日本航空運航技術本部ないし日本航空そのものであるべきでしょう。自動車事故よろしく「漫然と」の一言で片付けるのではなく、
- MD-11という機材選定は適切であったか?
- 運航乗務員に対する移行支援は適切であったか?
という日本航空の体質こそ、真に責められるべきなのです。
しかしながら、現在の日本において、こうした責任追及を刑事裁判の場で実行する事は不可能です。何故なら、現行刑法は業務上過失致死傷における両罰規定や代罰規定を一切制定していないからです。以前にも書いた通り、公共交通機関における死傷事故において、その被害者や遺族が納得の行くような判決を下す為には、業務上過失致死傷における代罰規定や三罰規定だけでなく、業務上重過失致死罪を新たに制定する必要があります。事故調査の信憑性を担保しつつ、「遺族感情」にも配慮した幕引きに導く方法はこれしかないはずなのですが、東武伊勢崎線踏切事故やJR福知山線脱線事故などの発生にも拘わらず、有識者から一向にこれらの声は聞こえてきません。これまた以前の繰り返しになりますが、経営者自身が刑事罰を受けない現行法には何等実効性がないのです。
【2007-01-10 追記】
「機長が急死した場合でも……」なんて書いていたら、正にタイムリーな事故が発生していました。
○機長が意識失い緊急着陸、事故調が調査官派遣 関西空港
http://www.asahi.com/national/update/0110/OSK200701100045.html
http://symy.jp/?Hot(ウェブ魚拓+ウェブ精米)
機種がMD-11だったという所までドンピシャリですね。
■[航空ニュース]JAL2404便が乱気流に遭遇 
日本航空706便事故の裁判の陰で、こんな哀しい事故も起こっていました。
○乱気流で乗務員4人けが 鹿児島発、伊丹行き日航機
http://www.asahi.com/kansai/news/OSK200701070032.html
http://symy.jp/?Lgk(ウェブ魚拓+ウェブ精米)
○乱気流で日航乗務員4人軽傷
http://www.nikkansports.com/general/f-gn-tp0-20070107-139631.html
http://symy.jp/?Gpz(ウェブ魚拓+ウェブ精米)
乗客に負傷者がいなかったというのがせめてもの救いですが、揺れが予想される飛行条件下における客室乗務員の安全確保が等閑にされているという現状が改めて浮き彫りになってしまいました。「JAL706便で係争中なのに……」などと言う気は毛頭ありませんが、遺族感情を徒に悪化させてしまったであろう事は想像に難くありません。DC-10福岡空襲の時といい今回といい、JALにおける航空事故の間の悪さは驚異的というべきでしょう。
最近のJAL便では、機長または先任客室乗務員による巡航中のPA*4で、予定到着時刻だけでなくシートベルト着用サイン点灯予定時刻も乗客に伝達される事が増えてきました。着陸準備を円滑に実施し、到着遅延を減らす為には、シートベルト着用サイン点灯予定時刻を伝達し、乗客に定時運航への協力を依頼する事が必要不可欠です。事前予告の必要性については以前にも書いた通りなのですが、少しずつそれが広まってきたのは、一乗客としても嬉しい限りです。
これも繰り返しになってしまいますが、乱気流に対する安全度は、
運航乗務員>乗客>>>>>客室乗務員
の順番であり、客室乗務員のみが極端に乱気流による死傷のリスクに晒されているのです。というのも、
という差異があり、シートベルトによる安全性の享受が制限されているからです。勿論、客室乗務員を保安要員と割り切って、一切の機内サービスを実施しなければ、客室乗務員にもある程度の安全性は保障されるのでしょうが、何処かのスカイマークでもあるまいし、とてもそんな事が実行に移されるとは思えません。
とあれば、運航乗務員に求められる事は唯一つ、客室乗務員が着陸準備を実施する余裕時間を確保して、早めにシートベルト着用サインを点灯させる事です。PAにおけるシートベルト着用サイン点灯予定時刻は、恐らくフライトプランにおける降下開始時刻または進入開始時刻を基に設定しているのでしょうが、航空機に乗り慣れない旅客の一般的な感覚は「シートベルト着用サインが点灯するまでは客室乗務員に用件をお願いしてもよい」というものであり、客室内の最終的な着陸準備はシートベルト着用サイン点灯後にならないと着手できないケースもままあります。これは即ち、機内サービスのオーダーストップから揺れの発生する危険性がある運航への移行リードタイムがゼロであるという事であり、とても客室乗務員の安全など確保されるはずもありません。勿論、乗客に対して「携帯電話の電源OFF」や「シートベルト常時着用」と同列に着陸準備リードタイムの認知徹底を図るという事も同時に必要となるのですが、安全確保の実効性を考えれば、やはりシートベルト着用サインの点灯に優るものはありません。
乱気流の遭遇に際して真っ先に負傷するのは、機内における航空会社と旅客との接点となる客室乗務員です。その客室乗務員の安全を確保するのは、運航乗務員の責任であると同時に、その運航乗務員を監督する航空会社の責任でもあります。定期航空協会や国土交通省においても、乱気流遭遇時の客室乗務員の安全確保について、法令制定を含む具体策を提示すべきでしょう。

それにしても、客室乗務員の犠牲が累々と発生していながら、それが航空利用者に全くと言っていいほど顧みられていない現状は、非常に情けないですね。組合の方が積極的に活動しているであろう事を私が寡聞にして知らないだけであればいいのですが……。