五月原清隆のブログハラスメント このページをアンテナに追加 RSSフィード Twitter

2009-03-14 サムライ商法

[]相模原市イミフなBRT導入計画 相模原市のイミフなBRT導入計画を含むブックマーク

 さて、最近は月1回のアリバイ更新が続いていたブロハラですが、ご指名を頂いてしまいましたので、突発的に書いてみようかと思います(ノ∀`)

幹線快速バス:相模原市が導入 路線バスの1.6倍速く 16年開業を予定

http://mainichi.jp/area/kanagawa/news/20090301ddlk14040123000c.html

 ( ゚д゚)ポカーン

 このBRT、大多数の相模原市民にとっては寝耳に水ですから、地元民が反発するのも当然です。

○住民説明会せずパブコメ実施、新バス交通問題で謝罪/相模原市

http://www.kanaloco.jp/localnews/entry/entryivmar0903150/

 元々、小田急沿線を中心とする相模原市南部住民にとって最大の不満は市役所に行くのが遠すぎるという事であり、それ故に相模原市南部の生活圏は町田市大和市などの近隣他市に寄生する形で拡大していたのです。そこへ来て、いきなり「北里までBRTを敷設します」と言われたら、「その前に国道16号の渋滞を何とかしろ」というのが自然な心理でしょう。

 更に言うなら、今回の事業は剰りにも手続きが飛躍しすぎています。何せ、元々はこんなのだったのが……

相模原市総合都市交通計画の概要 | 相模原市

http://www.city.sagamihara.kanagawa.jp/toshikotsu/new_plan/001652.html

 いきなりこれです( ´゚д゚`)

○新しい交通システム導入基本計画(案)<概要版>

http://www.city.sagamihara.kanagawa.jp/dbps_data/_material_/localhost/matizukuri-keikaku/612000/pdf/shinkotsu_gaiyou.pdf

 まぁ、一番読むべきは、巻末にある問い合わせ先でしょう。

<お問い合わせ>

相模原市 都市建設局 まちづくり計画部 小田急多摩線・新交通推進課

 はいはい与太話与太話(´・ω・`)

 小田急多摩線の延伸と一緒くたにされている時点で、相模原市におけるBRTの本気度や実現可能性がよく分かるというものです。


 それにしてもこのBRT案、ツッコミポイントが満載ですね。まとめながら書くのも面倒臭いので、読み下しながら適宜ツッコミを入れていきます。

 中心市街地である相模大野と新しいまちづくりの拠点(麻溝台・新磯野地域、当麻地区)として位置付けられている地域や大学、企業などが立地している従業人口が多い地域とのアクセス向上、主要地方道相模原町田の道路混雑を緩和する必要があることなどから、相模大野駅から原当麻駅の区間について検討を進めています。

 相模原市の中心市街地は、相模大野よりも相模原や橋本ですね。その次くらいに相模大野で、麻溝台原当麻なんてのは箸にも棒にも掛からないレベルです。発展度で言えば古淵駅周辺の方が原当麻よりも遥かに先を進んでいます。

 となれば、誰がどう考えても、ここで解決すべきは相模大野古淵相模原ショートカットであり、片側2車線で慢性的な渋滞が頻発する国道16号線の混雑緩和である事は、言を待たないでしょう。更に言うなら、現時点において既に国道16号圏央道の代替機能を果たしており、特にC2も外環道圏央道も整備されていない東名高速道路中央自動車道の連絡区間として、町田市相模原市八王子市に跨る区間は通過交通がひっきりなしに行き交う有様です。整備効果が未知数である原当麻なんかに手を出すよりも、通過交通・軌道交通・都市圏交通の三層分離で混雑緩和効果が明確な国道16号の改善に努める方が、余程市民生活の利便に貢献する事でしょう。

 BRT(幹線快速バスシステム)は、専用走行路の設置や公共車両優先信号の組み合わせなどにより、良好な走行環境を確保し、速達性や定時性を備えた信頼性の高い輸送システムです。

 また、BRTの導入空間を確保することにより、将来の需要等の動向に応じた輸送力の高い新交通システムへの移行が可能となるなど、システムの拡張性や発展性も備えたものと考えています。

 前段だけを読むなら、PTPSやバス専用レーンだけで事が済みそうなものです。敢えて用地買収してまでBRTを導入しなければならない必然性はありませんし、その必要性も感じられません。強いて導入するとすれば、多くの発着路線が行き交う主要駅周辺から着手してみるというのが自然でしょう。

 で、相模原市がBRTに拘るカラクリは後段から読み取れるのですが、抑もこれから生産年齢人口が減っていくというのに移動需要の拡大を見込んでいるという自己矛盾があります。新交通システムモノレールへの移行なんてのは、余程輸送密度が向上しなければ費用対効果が見込めませんし、当然ながら移行時には再度多額の設備投資を必要とします。それならば、最初からLRTでもモノレールでも造っとけというもので、出捐者たる相模原市民としては、何とも二度手間による市税の無駄遣いという印象が拭えません。

 BRTは、表定速度20km/h以上を目標とし、交通渋滞の影響を受けない速達性、定時性を備えた信頼性の高い交通を目指します。

 目標とする表定速度は、大都市路線バスの平均表定速度の約1.6倍に相当します。

 ゴーストップを繰り返す近距離都市圏交通において、表定速度を最も大きく左右するのは、停留所の数及び乗降に掛かる時間です。どんなに停留所間を快速に走行する事が出来たとしても、停留所で都度引っ掛かっていては、表定速度など伸びるはずもありません。本文中の表において広島電鉄の表定速度が極めて低い水準になっているのは、銀山町から原爆ドーム前まで、これでもかとばかりに停留所が詰め込まれているからであり、逆に言えばそれが広電の利便性でもある訳です。モノレール地下鉄とは異なり、軽量交通機関では極めて低コストで停留所を設置できますから、都心部では自然と停留所の数が増えていきます。速達性ではモノレール地下鉄に敵わないからこそ、LRTやBRTはサービスのきめ細やかさで高速鉄道と棲み分けて来たのです。

 翻って相模原市ですが、今回BRTを導入しようとしている区間に、都心部と呼べる場所は1ヶ所もありません。精々、相模大野駅からロビーファイブくらいまでの区間が若干賑わっている程度で、それを過ぎてしまえば、あとは住宅街や農地が不規則に並ぶ典型的なスプロール現象の残滓です。それに、今回のBRT導入の主眼は拠点間の速達輸送にあるのであって、停留所設置コストの安さというBRTのメリットはそれほど意味がありません。こんな所にも、相模原市におけるBRT導入の自己矛盾は見られます。

 BRTは、都市のシンボリックな交通システムとして、車両、BRT駅、走行路、景観など、トータルデザインによるイメージアップを図る必要があります。

 何だか、何処かのスターフライヤーで聞いた事があるような死亡フラグですね。シンボル云々を謳うなら、相模原市の玄関口であるJR相模原駅や相模原市の心臓部である中央(相模原警察署・相模原郵便局相模原市役所など)を経由しない理由はありません。或いは、橋本から津久井・相模湖方面を目指して「政令指定都市相模原」の統合のシンボルとする方法もあったでしょう。しかし、現実はそのどちらとも一切交わらない相模大野と北里です。これでは、何をどうシンボライズしようとしているのか、皆目見当が付きません。

 更に言うなら、相模原市のシンボルとするのであれば、何としてもモノレールLRTなどの軌道系交通機関を採用すべきでした。理由は簡単、軌道系交通機関なら時刻表に掲載されるからです。当然、世間における注目度も桁違いですし、何よりも「線路がある」という事による視覚的・心理的なインパクトがあります。他市に例えて言うなら、「ゆいレールを知っているヤマトンチューは多くても、銀バスを知っているヤマトンチューは殆どいない」ってなものです。知名度がイマイチな湘南モノレールですら、湘南台から出ている連接バスよりは知名度があります。それだけ、鉄路という構築物のインパクトは大きいのです。

 駅位置は、沿線居住者の利用や沿線集客施設へのアクセス性等を考慮しながら、500〜1,000mごとに1駅を設置することを検討しています。

 長いですね。次ページにあるBRT路線計画図を見れば一目瞭然なのですが、北里大学病院から総合体育館までノンストップという所からして、既にモノレール並みの飛ばしっぷりです。元々自家用車を保有し、相当程度の裏道も知っている地元民であれば、わざわざ500mも歩いてまでBRTを利用しようだなんて思いません。かといって、相模大野北里大学病院の速達輸送を最重要課題とするのであれば、敢えて新道建設なんかに頼らずとも、普通に鵜野森を経由させた方が遥かに安上がりです。ルートと駅数との矛盾が、今回のBRT計画自体に無理が多いという事を如実に示しています。

 そして、これも次ページのBRT路線計画図を見れば分かる事ですが、アクセス考慮も何も、沿線に集客施設が皆無なんです。計画図を見れば見るほど、一体相模原市が何処で集客しようとしているのか解らなくなってきます。これで、「実は都市計画道路の建設が主であり、BRTは従である」というのであれば、ある程度理解できなくもないのですが。

 相模大野駅から北里ターミナル区間は専用走行路等を走行し、北里ターミナルから原当麻駅の区間は公共車両優先信号の併用により一般道路を走行します。専用走行路の整備にあたっては、道路機能の確保とBRTの運行に必要な幅員を確保します。

※道路機能の確保とBRTの運行に必要な幅員は、30m程度を想定しています。

 30mもあれば、モノレールLRTも造り放題ですね( ^Д^)

 ……と、厭味の1つも言いたくなるような無謀っぷりです。以前、相模大野麻溝台相模原を結ぶ新交通システムの導入が検討された際、最も問題とされたのが道路幅員の確保です。何せ、相模大野麻溝台においてはほぼ全区間で道路の大幅な拡幅が必要という結論になり、結局それが祟って新交通システムそのものがお蔵入りになった事があります。そして、今回もまたぞろ同じルートを持ち出してきて、地元民の猛反発を食らうという、相模原市の学習能力を疑わざるを得ない為体です。

 逆に考えてみると、道路拡幅さえ実現すれば県道相模原町田線の混雑も解消してしまうのではないかという事すら思ってしまいます。取り敢えず、菅原神社交差点から相模原公園入口交差点までを片側2車線化した上で、森野・鵜野森・相模原公園入口の3交差点を立体交差にしてみれば、BRTどころかバスレーンすら必要がなくなるかも知れません。御園付近で地元民と事を構えるよりも、こちらの方が実現性も実用性も遥かに高いでしょう。

 運行車両は、ターミナル容量・交差点処理能力・乗降時間等とピーク時の必要輸送力から検証すると、1便あたりの大量輸送が可能な連節バスが想定されます。なお、車両の機能的配置や運行の効率化の視点から単車バスの運行も検討する必要があります。

 検討の必要などありません。最初から単車バスだけ考えておけば十分です。何故なら、連節バスの導入が、BRT最大のメリットである柔軟な拡張性をスポイルしてしまうからです。運行可能な路線が限られ、閑散時間帯には輸送力過剰となってしまう連節バスは、相模原市如きのローカル輸送では持て余してしまう事請け合いです。一応、運行主体になるであろう神奈川中央交通は、湘南台厚木において連節バス「ツインライナー」の運行実績がありますが、ピーク時におけるツインライナー運行路線の輸送密度は相模原市のそれとは桁違いであり、とても同様に導入を検討できるものではありません。

 更に言うなら、湘南台SFCシャトルバスとは異なり、相模原市におけるBRTでは相当程度の途中駅利用がないと採算が取れない訳ですが、その為には運転士の他に車掌まで必要になってしまいます。現在の神奈中相模原市内線における一般的な運賃授受方法である後払いを連節バスで採用する場合、ワンマン運転では降車口を先頭の1ヶ所に限定する必要が出てきます。当然ながら、ラッシュ時には乗客の錯綜により遅延の原因となりますから、それを解決する為には、広電の連節車よろしく、BRTにおいても後部車両専務車掌が必要になってしまうのです。ここで人件費が二重に掛かるのであれば、最初から単車バス2台の続行運転にした方が、汎用性や運行実績という意味では遥かに優れるでしょう。クリチバのBRTに憧れるのは解りますが、クリチバにはクリチバの、相模原市には相模原市の、それぞれの交通事情があるのですから、それに最も適合した交通機関を採用するのが、行政の役目というものです。

 新交通システムモノレールの運営については、交通事業者が変電設備、通信・運行制御システム等の施設整備を行い、設備投資に係る経費を自ら負担しています。

 一方、BRTは、整備主体と運行主体の役割分担を明確にすることにより、交通事業者は初期投資や事業リスクが軽減され、継続的・安定的な輸送サービスの提供が可能になります。

 整備主体と運行主体との分離は、何もBRTでなくても実現は可能です。典型例としては、整備新幹線や空港連絡鉄道、更にはニュータウン新線の類など、枚挙に暇がありません。相模原市においても、BRTと同じ課が担当している小田急多摩線の延伸において、小田急電鉄町田市から相模原市の建設費負担による公設民営方式を要求されて、実質的に手詰まりとなっている状態です。

 あくまでも責任主体を分離したいのであれば、敢えてBRTなんてシステムに頼らなくても、バス専用レーンを設置するだけでいいんです。これならば、神奈中がバス専用レーン設置路線に重点的に投資して大火傷を負ったとしても、誰も相模原市を責めたりしません。しかし、バス専用レーンではなくBRTなんていうシステムまで構築してしまえば、運行主体である神奈中が大損失を出した際に、一定程度の補填を整備主体である相模原市に要求する事もあり得ます。或いは、事前に損失補填の確約を取ってからでなければ、抑もBRTの運行主体にならないなんていう可能性すらあり得ます。何だかんだと無理難題を押し付けられそうな神奈中としては、出来れば損失補填の確約は取っておきたい所でしょう。

 そして、「継続的・安定的」という部分にも、異を唱えざるを得ません。何故なら、整備主体である相模原市自身が「将来的には新交通システムモノレールに移行するかも知れない」としているのですから、逆に言えばその瞬間にBRTの運行主体はお払い箱になってしまうのです。要は、BRTの運行主体が努力すればするほど将来的に切り捨てられる危険性が高まるという矛盾があるのであって、そんな矛盾を抱えたBRTを真面目に運行しようなどというバス事業者などいるはずもありません。それよりは、適度に赤字を出しつつ相模原市に補填してもらう方が余程楽だからです。何だか、何処かのスターフライヤーが適度に赤字を出しつつ福岡県北九州市補助金を集ったのを思い出してしまいます。


 他にもツッコミポイントは満載なんですが、取り敢えず私なりの結論は出ました。

「BRTは、相模原市スターフライヤーになる。」

 勿論、悪い意味でです(;´Д`)

 当然、BRTがスタフラなら、北里ターミナルは差し詰め「相模原市新北九州空港」といった所でしょう。その心は、「小さく産んだが育たない」というものです。こんな所で北九州空港を腐し続けてきた私の知識が活用されるとは、思っても見ませんでしたが。

通りすがり通りすがり 2011/11/11 00:59 素晴らしい!ザッと目を通して壮大にアホな計画なのかが分かった。
今後も注目させていただく。

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