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新刊書籍・新作映画を語る

2010-12-30

2010年に読んだ小説ベスト10

当ブログは「新刊書籍・新作映画を語る」という趣旨ですが、今年については新刊書籍はさほど読まなかったので「今年私が読んだ小説のベスト10(再読除く)」というぼんやりしたくくりでベスト10を書きます。


10.近藤史恵『サクリファイス』

サクリファイス (新潮文庫)
近藤 史恵
新潮社
売り上げランキング: 2856

自転車レースの下りがとにかく素晴らしい。普段馴染みのない競技をスマートに説明し、迫力満点の闘いを展開する手腕は見事。その中で発生する殺人事件……。主人公も非常に魅力的だった。


9.吉田修一『悪人』

悪人(上) (朝日文庫)
悪人(上) (朝日文庫)
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吉田 修一
朝日新聞出版
売り上げランキング: 718

悪人(下) (朝日文庫)
悪人(下) (朝日文庫)
posted with amazlet at 10.12.30
吉田 修一
朝日新聞出版
売り上げランキング: 854

登場人物全員が小さなしょうもない人物で、作品世界も暗くて地味なのだが、一度この世界にはまると容易に抜け出せない不思議な魅力を放っている。対照的な淡々とした文体が印象的。妻夫木聡/深津絵里での映画化も話題になった。


8.伊坂幸太郎『マリアビートル』

マリアビートル
マリアビートル
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伊坂 幸太郎
角川書店(角川グループパブリッシング)
売り上げランキング: 595

「殺し屋」をこれだけたくさん出して、バカバカしくならずにグイグイ読ませる腕力は凄まじい。悪役「王子」の残忍なキャラクター造形は非常に魅力的で、今年のベスト悪役のひとり。それだけに結末にはちょっと思うところもあるのだが、読んでいる最中の興奮は今年の作品でも随一であった。


7.今野敏『果断―隠蔽捜査〈2〉』

果断―隠蔽捜査〈2〉 (新潮文庫)
今野 敏
新潮社
売り上げランキング: 5228

前作『隠蔽捜査』もえらく面白かったのだが、本作も非常によかった。バリバリのキャリアから警察署長に左遷された竜崎を軸に、立てこもり事件とその解決における硬直化した警察組織の問題が立ちはだかる。組織で生きることの難しさと、それでも犯罪を解決しなければいけないジレンマ。


6.伊藤計劃『虐殺器官』

虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)
伊藤 計劃
早川書房
売り上げランキング: 424

こんな小説、読んだことがない! 『メタルギアソリッド』を思わせる超ハードなSF。軍事用語を乱発するタイトな文体がとにかく薫る。結末も印象的。


5.冲方丁『天地明察』

天地明察
天地明察
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冲方 丁
角川書店(角川グループパブリッシング)
売り上げランキング: 327

日本独自の「暦」を作る話という着想がとにかく素晴らしい。今では当たり前に使っている「暦」の裏に、こんな壮大な物語があったとは。テーマ自体も面白いのだが、何よりも小説として素晴らしく完成されている。神社に貼り出された「算術の問題」をあっという間に解いてしまう謎の数学者が出てくる序盤から、めくるめく読書体験に放り込まれる。


4.貴志祐介『悪の教典』

悪の教典 上
悪の教典 上
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貴志 祐介
文藝春秋
売り上げランキング: 402

悪の教典 下
悪の教典 下
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貴志 祐介
文藝春秋
売り上げランキング: 472

『黒い家』リターンズ。『黒い家』ではサイコパス=大量殺人鬼の描写は徹底的に外部から描かれていたが、本作ではサイコパスの主観でどんどん物語が進む。それでいて肝が冷えるホラー。天才だけが出来る離れ業と言うしかない。上下巻、ハードカバー1000ページ以上を一気に読ませられた。主人公蓮見は、『マリアビートル』王子と並んでベスト悪役。


3.誉田哲也『武士道シックスティーン』

武士道シックスティーン (文春文庫)
誉田 哲也
文藝春秋
売り上げランキング: 10623

剣道部を舞台にしたガール・ミーツ・ガール。少しでも長く戦おうとする早苗、「殺し」の剣道を体現しようとする香織、主人公ふたりがとにかく良い。やっぱり青春っていいよなああああ! と喝采を上げたくなる。文体も決まっている。ちなみに成海璃子/北乃きいによる映画版は全く面白くなかった。


2.筒井康隆『エディプスの恋人』

エディプスの恋人 (新潮文庫)
筒井 康隆
新潮社
売り上げランキング: 51496

『悪の教典』以上に、心から恐ろしいと感じた小説。特に終盤10ページほどの展開、これは怖すぎる。『七瀬ふたたび』の後にこんな展開が待っているとは夢にも思わなかった。筒井康隆の最高傑作の一つだと思う。


1.米澤穂信『折れた竜骨』

折れた竜骨 (ミステリ・フロンティア)
米澤 穂信
東京創元社
売り上げランキング: 19886

今年の一位は『エディプスの恋人』と決めていたのだが、最後の最後にまさかの伏兵登場。ファンタジーとミステリを融合させた小説で、同趣向の作品の中でも最高峰の出来栄え。この10年を代表するミステリになるだろう。こういう小説が読みたかった!

関連エントリ:米澤穂信『折れた竜骨』―10年代を代表するミステリの傑作が誕生!


今年も色々面白い小説が読めました。来年は新刊書籍を中心に読み、ご紹介していこうと思います。

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