西アフリカ・エボラ出血熱

インターネットで世界中が身近に感じられる現在、たくさんの情報が入ってくるので、物騒な事件や事故が多いと感じます。映画ではないかと思うほど悲惨な状況があったり、考え方や文化の違いから、日本人として理解しがたいこともあります。

「知らぬが仏」ということも時にはあるかもしれませんが、世界でニュースになっている話題についても紹介していけたらと思います。



猛威を振るうエボラ出血熱について。

西アフリカのギニアから感染が拡がっているエボラ出血熱。2014年8月3日現在、少なくとも1323人の感染者がいて、これまでに729人が亡くなっています。(画像は7月24日現在)



これまでにもエボラ出血熱の感染は度々確認されていますが、最大でも1995年にコンゴ共和国から感染が拡がったもので、当時は245人が亡くなりました。
この状況から分かるように、今起きている感染拡大は過去最悪です。感染者は、50~90%の確率で亡くなります。一般的に全身のありとあらゆる穴から出血を繰り返すと言われていますが、初期症状はアフリカで蔓延するマラリアと似通っており、発熱、頭痛、下痢や吐き気がするといった程度で、誤診に注意しなければならないようです。



感染ルートはゴリラやサルが発症の起源とされており、アフリカなど一部の地域で、感染した野生動物を食したり、死体に触れることで感染するそうです。もちろん、人から人に感染します。
エボラは通常の生活の中で感染することは無いそうですが、感染患者の血液や唾液、排泄物、分泌液などから飛沫感染するそうです。犠牲となった患者の葬儀に参列した全員が感染したという報告もあるくらい、感染力の非常に高いウィルスです。
西アフリカでは葬儀で死体に触れる文化があるそうなので、その風習が感染拡大を広めているのかもしれません。エイズウィルスと同じように、人が亡くなっても、ウィルスはしばらく死体内で生き続けるようです。

感染力の面で言えば、マラリアやインフルエンザの方が脅威と言われています。
エボラ出血熱の恐ろしいところは、治療方法が確立されておらず、抗エボラウィルス薬もなければ、ワクチンもないということです。



世界中から、NGO団体や国境なき医師団が感染拡大を防ぐために努力していますが、治療にあたっている医療従事者にも感染し、更に猛威を振るっています。

実は2012年8月には、自分が滞在していた時にウガンダ共和国でも感染が認められ、各病院の緊急外来棟は、非常に緊迫した状況が続いたことがありました。出血している患者には絶対に近づかないように、忠告を受けていました。あのような状況を経験したからこそ、とても他人ごととは思えないニュースです。
万が一の際には、自分たちで感染を防がなければなりませんので、自分が勤務していた外来病棟には、全身防護服、ゴーグルや手袋などがWHO(世界保健機関)から支給されていたのを覚えています。



現在は飛行機で世界中を簡単に行き来できますので、感染が拡がりやすい状況にあります。
西アフリカでエボラ出血熱の治療にあたっていたアメリカ人医師が感染してしまい、治療のためにアメリカへ帰国しました。厳重な監視のもと治療を始めるそうですが、感染者が出てしまう確率もゼロではないと思いますので、不安もあります。



ドイツは、エボラ患者の治療を受け入れましたし、香港では、アフリカから帰国した女性に感染の疑い?という記事もあります。日本も他人ごとではありません。
世界中の医療従事者や科学者はこの脅威に立ち向かうべく、懸命な努力をしています。人間は、戦争なんてやってる場合ではありません。もっと優先的にしなければならないことが世界中にあります。

一刻も早く、エボラ出血熱の感染拡大が終焉を迎えてほしいです。
 


Ichimasa



参考
http://rt.com/news/177616-russian-experts-ebola-outbreak/
http://www.bbc.com/news/health-28625309
http://rt.com/news/176628-eu-ebola-high-alert/