舞 姫 このページをアンテナに追加

2012-05-27-Sunday 消えてしまいそうな夜も

[]lost in maze again 02:16

今日は携帯電話を調査しにふらふらと徘徊したのだが,結局名案は浮かばず,またしても結論先送りになった。

こちらに来る前はsimフリーiPhoneを買う気満々だったのだ。しかしこちらに来て思ったのだが,私はiPod touchiPadも持っている。この上iPhoneを買う意味はあるのだろうか。wifi天国であるこちらでは,「携帯でありながらPCと同レベルの環境でインターネットができる」というスマホ最大の利点(私はスマホ使ったことがないので憶測だが)はすでに2点のツールによって叶えられている。もちろんどこでも途切れずネットにアクセスできるわけではないので,スマホがあれば「より」便利だということは間違いないが。加えて,来たばかりなのでそんなに頻繁に連絡を取り合いたいような友人もいない。PCメールはPCもしくは上述のツールでチェックすれば十分,いわんやFacebookをや。そして何より,高い。ああ,考えれば考えるほど「買わなくてもいい理由」が増えてゆく。「あれば便利」なものについて,さらなる生活水準の向上を求めて貪欲に手を伸ばすか,それとも「なくても困らない」という理由で買わないか,この選択にはなかなか人となりが現れるような気がする。

しかしそれでもsimフリーiPhoneを買いたい理由として,数年後,できれば私が帰国するころには,日本でもsimフリーが流通していてほしいという期待はあったりする。昨日のプリンタと違い,今回は「もしかしたら日本でも使えるかもしれないもの」なのである。そういう理由で,iPhoneを諦めてこちらで一般的な,可愛げのかけらもない電話とSMSだけのプリペイド携帯を買う決意もできないでいる。やはりツールには愛着を持ちたいものですから。問題はこちらでsimフリー機を使っている前例を私の周りで聞いたことがないということ。前例なんて関係ない,そんなかっこいいことを言えるのはドラマや映画の中だけですよ。私は何をするにあたってもまず前例を当たる人間です。

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2012-05-26-Saturday Runnin’ up I’m runnin’

[]lost in maze 01:43

博論を書くとなるとレーザープリンタが断然便利だ*1というお話を先輩から伺ったので,土日はどうせ何もできないしと朝から検討。こちらではHPのシェアが大きいようなのだが,昔使っていたHPのプリンタはインクが馬鹿みたいに高かった嫌な思い出があるので個人的にあまり好きではない。というわけでもっぱらキヤノンを調べてみたのだが,うーん,見たところこれはという機種がない。すべて私の理想が高すぎるのが原因ではあるのだが。(あくまでも博論が順調に進めばの話だが)数年経てばどうせ手放さなければならないという条件も相俟って,選択はどんどん難しくなる。

しかしこの「数年」というのはなかなか曲者である。これを「たかが」一時ととらえるか,「されど」一時ととらえるかで生活の質はだいぶ変わる。もちろん後者の考え方のほうが充実した生活になるのは確かだろう。かといってなかなか高級機種を買う気にもならない。もちろん博論は研究者人生を送るにあたって大きな節目となりうるものであり,その時期をともに戦う戦友と考えれば,多少の投資は渋っていられないのだが。

しかしこういうことは何も知らない状態の頭であれこれ考えるより,実際に博論に取り組んでいる先輩方に伺うのが得策というものである。そのうち大々的にアンケートを取らせていただこう。ご回答よろしくお願いいたします。

そしてもうひとつ今日成し遂げたこと。意を決して授業料を払い込んだ。前に書いた通り,3通りの払い込み方法が提示されており,その違いをstudent fee officeで聞いて吟味してからにしようと思っていたのだが,例のおばちゃんと再び対峙する気分に少なくとも今はなれない。もう一番手軽そうな方法で支払ってやろうとついに決意し,クレジットカードで払ったのである。幸いにして私は奨学金をいただけることになっているので自身の財布が痛むわけではないが,それにしても引き落としが恐ろしいほどの額をこんなお手軽に支払ってしまってよいものだろうかと思う。領収書もメールですぐに届いた。デジタルはなるほどとても便利だが,ことこういう場合はアナログな手続きの方がいちいち順を踏んでいる感じで安心する。おかげで実質は人差し指しか動かしていないにも関わらず,とてつもなく気疲れしてしまった。それと同時に,こんな簡単な手続きならもっと早くやっておくのだったとも思い,気疲れは倍増した。

*1:分野によって全然違うと思うので注記しますと,歴史の博論は600ページ前後にも及びます。少なくともTCDの歴史学科では「最低10万語」が条件として課せられています。

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2012-05-25-Friday 淡い後悔を 誰かの涙を

[]僕らはなんだか急ぎすぎている 01:23

昨日口座開設のために銀行に行ったら,大学の入学許可書に「日本の住所」も記載してもらってきてくれと言われた。なので今日はお昼過ぎから大学院の教務課に行って許可書を作り直してもらったのだが,いざそれを持って銀行に行ってみると,今度は銀行が閉まっていた(銀行の窓口が金曜日だけ14時半までであった)。今日できたことは入学許可書を作り直してもらっただけ。なんとも効率が悪い。

しかしせっかく市中心まで出てきているのに,それだけで帰るのももったいない気がする。それに天気もとてもいい。カフェに入って絵葉書を書くことにした。とても癒される午後ではあったが,平日の午後にカフェ絵葉書,とんでもなく暇人な所業である気がする。ここまで読んでいただいて,気づいた方は気づいたかもしれない。私は効率とかそういうことばかり気にしている。ヨーロッパに来て時間を効率的に使うことばかり考える,まことに私は日本人である。

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KAT-TUNの『僕らの街で』は小田和正の作詞作曲で,とてもいい歌です(小田和正自身も「クリスマスの約束」とかで歌ったりしていて,これもまたすごくいいんです)。今日街を歩きながらこれを聞いていてふとものすごく懐かしくなり,おお,早くもホームシックかしらと思ったのだが,いや,小田和正の曲を聞けば岡山にいても懐かしい気持ちになりますわな。

初めて君を見つけたあの日 突き抜ける青い空がただ続いていた

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2012-05-24-Thursday ちょっと振り向いてみただけの

[]異邦人 00:58

私は高校生のとき『異邦人』の読書感想文を書いて賞をいただいたが,正直に言おう,『異邦人』自体はそんなに面白いと思わない。しかし「きょう,ママンが死んだ。」はいつ見ても戦慄が走るほどの名訳であると思う。これほど人の心をつかむ書き出しがあるだろうか。「今日母が死んだ」ではこうはいかない。

さて,今や私こそが異邦人である。外国の事務対応は人によって良し悪しの落差が激しいとはよく聞くものだが,悪い方にあたってしまうと結構滅入るものである。昨日は大学のstudent fee officeでその「悪い方」にあたってしまった。(少なくとも)私は,授業料払い込みにあたって3種類の支払い方が提示されていることについてとりあえず質問したかっただけなのだが,私の英語が悪かったのか,どうやら「授業料払い込みの領収書だけ先にくれ」と要求している風に誤解されてしまったのではないかと思う(順を追って説明しようとして「外国人登録に領収書が必要かもしれない」とか言ったのがまずかった)。おばちゃんの事務員に何度も何度も「私があなたにできることは何もないわよ」と繰り返された挙句,「だいたいあんた,学校は9月からなのになんでこんな早く来たんだって移民局で聞かれるわよきっと」と言われた。おばちゃんの言うことはもっともである。授業料を払ってないのに領収書をくれなどと言う(私はそうは言ってないが)学生は十分警戒に値するだろうし,4か月も前から来愛することも客観的に見て非常に怪しい。しかし,こちらにはしっかりした理由があるのだから大きなお世話である。通じない話にイライラしっぱなしだったが,少なくともここでこの人を敵に回していいことはひとつもないので黙って立ち去ったのであった。

さて,「大きなお世話」などと強がりつつも,こんなことを言われて平気でいられるほど肝の据わった人間では残念ながらない。下手すりゃ3か月以内に日本に帰らなければならなくなる。そう心配しはじめると居ても立ってもいられなくなったので,私の状況だけちゃんと説明してビザの申請には何が必要なのか聞いてこようと思い,移民局へ行ってみることにした。

移民局(Garda National Immigration Bureau)は大通りを一本入ったところにあり,いつも混んでいる上に融通がきかない,要領が悪いとの噂は聞いていた。学期が始まる8月や9月ともなれば,開館時刻に行ったのではまずその日の受付に間に合わないとかである。今の時期があまり移動シーズンではないため今日はそこまでではなかったが,それでも人は大勢いた。悪評を先にいろいろ聞いている上,昨日おばちゃんに言われた一件もあり,もともと少なかった戦意はすでに皆無に近い。最悪の場合ビザは下りず,私は日本に帰ることになるかもしれない。しかしものは考えようで,最悪でもペナルティ(?)は「日本に帰る」だけである。一時帰国の予定が早まったと思えばよい。それに要領が悪いだの融通がきかないだの散々な言われようだが,係官のみなさんは日々英語もろくにしゃべれない外国人を相手に一生懸命仕事してくださっているのである。ありがたいと思わなくては。そう思って無理やり気分を立て直し,自分の順番を待つこと10分程度,ようやく私の番となった。

私の相手をしてくれた係官は若い女性で,かくかくしかじかと私が書類を見せながら説明するのを聞くともなく聞いていたが,「この書類はこれでいいから,あとは銀行の残高証明*1と保険の証明書持ってきて」と言った。それと,私の場合は5月〜9月に正式な学生身分がなく(学振の指導委託制度を利用しての渡航なので),正式に博士に入るのは9月からであるため,2度登録が必要であるとも。おばちゃんに脅された後だったということもあるが,私はもう不法入国予備軍扱いされる気満々でいたのである。なのに言われたのが至極まっとうなことであったので大変拍子抜けした。2度ほど確認したし「本当にそれでいいの,ほかに何か持ってくるもんないの」と食い下がったが反応は同じであった(当たり前だが)。

ともあれ,とりあえず無事に外国人登録は済ませられそうな気がしてきた。よかったよかった。2度登録するということは,アイルランドでの外国人登録には1回につき150ユーロかかるから計300ユーロ,少なくない出費にはなってしまうが,まぁでも不法逗留の外国人候補にならないだけよしというものである。銀行の口座が開け次第,お金を入れて残高証明取って,さっさと登録してこよう。ひとつ心配なのは,これもよく聞く移民局の悪評として「行くたびに言われることが違って何度かは必ず足を運ぶ」というのがあるということであるが。今日の人は相当「当たり」に近い人だったようだし,次回「はずれ」だったらどうしようかしら。

当たり前ではあるが,ヨーロッパは国によって外国人への対応がさまざまに異なる。日本→アイルランドの場合,入国の際に前もってビザを取得しておく必要がなく,入国から1か月以内にこうして外国人登録をすることになるのだが,これがたとえばフランスなどの場合は非常に面倒な手続きを踏んでビザを取得しておかなければならないため,出国前には同期から非常に羨ましがられたものである。しかし,いざ行ってからの心配事がないという面では,私から言わせてもらうと事前にビザを取得しておく方が気楽な気もする。まぁ一長一短でしょうが。

はぁ,しかし冒頭で述べた私の感想文,そういえば結びはこうであった。「私は,誇り高い『異邦人』なのだと。」今考えれば縁起でもないことを書いたものだ。誇り高くなくてもいいから,とりあえず「怪しい」異邦人は脱却しなければ。

*1アイルランドで学生ビザを取得するためにはアイルランド銀行口座に3000ユーロ以上の残高があることを証明しなければなりません。

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2012-05-23-Wednesday 君を忘れたこの世界を愛せたときは会いに行くよ

[]しるしをつける現在地 02:19

指導教官の先生と面談。9:45などという,日本にいたころでは考えられないような時間を指定される。午前中とのご指定で,なんでも先生は10時半からほかの用がおありだとのこと。45分で何ができるのか?と思っていたら,ものすごくてきぱきと指示を出された。31日までに,6〜7月の予定を2週間刻みで立ててメールすること。それに基づいて6月上旬にまた面談をすること。今後の面談についても,「定期的に会ったほうがいい?それとも放っとこうか?」と尋ねられる。できるなら(hopefully)できる限り頻繁に面談していただきたいです,と言うと「オーケー,じゃあ何週間に1回くらいのペースで会うようにしよう」とのこと。先生に対してこんな形容を用いるのは失礼にあたるだろうが,なんと有能な方でしょう。感嘆せざるを得ない。

面談はきっちり予定通りに終わり,そのあとは情報収集。まずは,留学生用の語学講座。これは難なく見つかった。担当の係のDeirdre先生も親切そうな方。いろいろと説明していただいた後お別れするとき,「ところでいいお名前ですね*1」と言うと,「ありがとう,でもアイルランド人やイギリス人の学生も私の名前きちんと読めなくて私のことを'D'って呼ぶのよ」と言う。あなたはちゃんと読めてるから驚いたわ,と褒められた。ちなみにこのお名前,読み方は「ディアドラ」です。発音は「ジアドル」に近いかも。そのあとは口座の開設や授業料の払い込み方についていろいろ聞いて回る。うまくいったりいかなかったり。

それにしても,日本にいたころはアイルランドとのやり取りの手段がメールしかなく,そのメールも意味が通じたり通じなかったりでほとほと困っていたのだが,こちらにいて何が助かるって,確認したいことがあったらすぐに直接訪ねられることである。しかも,親切な人が多いので,何か訴えればすぐ対応してくれる。今のところ,環境には大変恵まれています。

*1:Deirdreはアイルランド神話に出てくる女性で,とても古式ゆかしいアイルランド的お名前なのです。

KIDKID 2012/05/27 23:39 何故か百科全書が思い浮かびました

MephistophelesMephistopheles 2012/06/03 23:38 ディドロっぽいからですね。

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2012-05-22-Tuesday 息は持つだろうか

[]君から預かってきたんだよ 01:47

16日に送ったEMSがさっそく届く。早い!

荷物を整理する&疲れを取るという大義名分のもと,気づけば1日家から出ずに過ごしてしまった。すべてはあれだ,iPadのせいだ。寝転がった状態でもネットができたりしてしまうから。

漱石日記 (岩波文庫)

漱石日記 (岩波文庫)

今回は日本においてきてしまったが,『漱石日記』。もしかして以前も書いたかもしれないが,留学生は必読です。それ以外の人も必読です。漱石ロンドンノイローゼにかかって帰国するというのは有名な話で,この日記もさぞかし暗いのだろうと思って読み始めたら,割と抱腹絶倒ものの面白さである。楽しげにやっているじゃない。

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2012-05-21-Monday from Ireland

[]ひとつ前のシーンで臆病にもなるけど 01:31

アイルランド時間で19時頃,ダブリンに着きました。

旅を振り返ってみますと,6:50発のBritish Airways羽田発(したがって金環日食は見られず)。悪名高いBAのエコノミーは,特に不満なこともなくなかなか快適であった。機内食も私はおいしくいただきましたし。機内で見た『ドラゴン・タトゥーの女』は面白かったし(ルーニー・マーラ地下鉄の駅でひったくりから鞄を取り返すシーンが無意味にものすごくかっこよかった)。私のななめ前に座っていた阪急トラピックスツアーのお客さんが,着陸時に酔ったと見えて通路に盛大に吐いていたが,まぁそれも着陸寸前のことでしたし(だから国際線ではしゃぎすぎてアルコールを飲みすぎるのは危険なのよ皆さん)。かくして現地時間で11時半頃ヒースローに着いたが,17時前の乗り換えまでひたすらAer Lingus(アイルランドフラッグキャリア)のラウンジで過ごしておりました。新規導入したiPadのおかげで全然飽きなかった。

思えば高速バス東京岡山間を移動するようになってからというもの,10時間少々の移動なんて全然苦にならなくなってしまった。むしろヨーロッパ便など,映画も見なければいけないし音楽も聞かなければいけないし機内食も食べなければいけないしで,忙しいほど。今回も,どうせ機内で寝るだろうしと思ったので前夜はほとんど寝ていなかったのだが,結局機内でも寝なかった(寝る暇がなかった)。寝たのは最後,Aer Lingusの機内1時間半ほどの間だけではなかっただろうか。いずれにせよ,移動が苦でないというのは私のような立場の人間にとって非常にありがたいことに違いない。

ダブリンシェアハウスに着いてからは,すぐに食料品の買い出しへ。今までに2回訪れているので,ずいぶん慣れてしまった。時差はこちらに来るときは全然気にならないし,そもそも私は前述のとおりでほとんど1日半ほど寝ていない状態であったので,例によってすぐに眠れた。

ヒースローで乗り継ぎ待ちをしている間に後輩へしたためたメールにも書いたが,いよいよこれから留学が始まるというのに,なかなかその感慨が湧かない。出国前にバタバタしすぎたせいかもしれないし,留学ハイなのかもしれないし。まぁそのうち,言葉が通じなかったりホームシックになったりで思い知ることになるだろう。いずれにせよこれからの数年で長い長い長い長い学生生活にようやっとピリオドが打たれるわけなので,がんばらなければ。

ところで今日,5月21日。金環日食が見られなかったのは至極残念だが,新月だし,何かを始める日としてはとてもいいかもしれない。それにいろいろと考えていて思い出したのだが,この日はそういえば昔々,初めて恋人と付き合い始めた日でありました。その恋が続いたのは3年半。長かったもんだ。しかし3年半って,恋愛としてみれば長いかもしれないが,博士課程を終えるにはぴったりな時間である。今回も3年半以内には終わらせられるようにがんばります(?)。

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