とらドラ!スピンオフ2 虎、肥ゆる秋

 スピンオフ1とは違った面白さのあるスピンオフ2でした。5話収録ですが特に良かったのは1話「虎、肥ゆる秋」、2話「春になったら群馬に行こう!」、5話「先生のお気に入り」。以下話の内容とはあんまり関係のない感想を最近のアニメ見てて思ったことを混ぜて書きます。


・虎、肥ゆる秋
 大河ホントによく食うよなぁ。原作だとそういう設定くらいで済んでたんですが、アニメを見ているとほぼ毎回大河が何か食べてるシーンが出てくるので気になってきました(個人的にアニメの見所はモグモグしている大河の画なのですが)。竜児と大河を結びつけたのが深夜のチャーハンであることはこの話の冒頭でも出てきますが、「食事」にはそれ以外にもう少し抽象的な意味があるのかもしれません。いや具体的にはわかんないけど。
 アニメの方は最近放送した14話がちょうど物語全体の折り返しっぽい感じで、これから原作では暗めな話になっていくのでしょうが、そのときにはこれまでのような食事の風景はなくなっているのかもしれません。高須家で3人でテーブルを囲むとか、学校で仲良く弁当を食べるとか。たしか原作には一人でカップラーメンをすする場面がありましたが、これが出てくるのかなぁと。
 あと食事というと4話の「秋がきたから畑に行こう!」の雨漏りのシーンを読んでて思ったんですが、大河って「おなかすいた!」っていいながら決して一人では食べないんですね。普段の傍若無人さからするとえらく従順ですが、これって大河の本来の性質みたいなもので、一人でご飯を食べるのは嫌とかって思ってて、だから父親がきたときも別に高級レストランに行って、とかではなくて普通に二人で食事ができれば満足って思ってて、そういうのは多くの人が普通に得ている幸せなのだけど大河にはそれがない、ってことかな。アニメ14話でもやっちゃんが言ってましたね、「家族みんなでテーブルを囲めて幸せ」みたいなことを。


 それにしてもあとがきで何度も自らの肥満をネタにしてきた作者がこの話を書くと(笑)。秋の味覚について書いているところを読むと、たけゆゆは「逆文学少女」なのではないかと思えてきました。本家文学少女は文章を食べて(input)それを食べ物の味として表現します(output)が、逆文学少女は食べ物を食べて(input)それを文章として表現する(output)。これってただの食いしん坊の小説家じゃないか・・・。とりあえず文芸部の後輩は毎日タラスパを作るべし。


 2話と5話についても書きたいけど既に書き過ぎで、長々と書く自分に嫌気がさしてきました。
 簡単に書くと2話は春田ショックの真相ですが、個人的に気になったのは作者さんは美大出身なの?ということでした。なんかこう、そのあたりの描写が生々しいような。創作者としてわかるところがあるのかな。
 5話はゆりちゃん先生まじめでいいなぁ。まあさ、内臓でろんも時と相手を選べば悪いことではないと思うし、そういう相手がいるっていうのは(相手にとってはともかく)幸せなことですよ、きっと。


 2話と5話は本編ではネタ的な扱いをされてきた二人にスポットを当ててキャラの造形を深めるような話だったので、これまでの話を全て読んできた人は読んで損のない内容だと思います。他の人の感想でも1、2、5話が好評だったみたいです。


とらドラ!9巻感想