映画和日乗

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「まほろ駅前多田便利軒」監督・大森立嗣 at TOHOシネマズ西宮OS

三浦しをんの同名小説の映画化。原作は未読。
東京郊外のまほろ町なる架空の町(公式サイトによると町田市でロケされている)で便利屋を営む多田(瑛太)が、中学時代のクラスメイト行天(松田龍平)と再会するところから物語は展開する。預かったチワワの里親探し、塾への子供の送迎から麻薬密売組織との対立、そして二人の実子を巡る過去の告白、独白。
瑛太松田龍平の絶妙の間合いに依るダイアログの可笑しさ、遂に出た龍平パパ=松田優作パロディ、大森監督の実父・麿赤兒実弟大森南朋夢のファミリー共演、TV「傷だらけの天使」を彷彿とさせる'70年代的自由稼業と気楽で楽しい側面もありながら、脚本の根底に織り込まれているのは現代に於ける親子関係の希薄、教育の荒廃、そして愛情の再生への希望である。これらを放ったらかしに投げ出していた「告白」('10)と正反対のスタンスだ。
とすると大森ファミリーや優作Jr.更に柄本明Jr.である柄本佑というキャスティングもモチーフの一端なのかも知れない。私の考え過ぎか。
松田龍平の手の長さ、指の長さ、そしてその手を揺らしながらの宇宙人的ステップはこれまで見た事もない異化効果を発揮している。そして登場と同時に画面の空気を緊張させた高良健吾の目、存在感の凄みはそれこそ松田優作を想起させた。
佳作、お勧め。

まほろ駅前多田便利軒 プレミアム・エディション(2枚組) [Blu-ray]

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