『ピクニックの準備』その4

 またまたご無沙汰してしまいました。
 さて4/24の撮影は鶴田法男監督で亮子篇。悪い奴が殆ど出て来ない「夜のピクニック」において、唯一、物語を推進する役目を担っていると言っても良い亮子。本編同様、自由奔放に男を振り回すのだが、その相手役には矢部こと海老澤健次君。この二人が「ピクニックの準備」の中では一番多い7カ所ものロケ地で買い物をする、そのタイトルも「おかいもの」。
 鶴田監督といえば「本当にあった怖い話」でデビューし、いままで手がけてきたのはホラー作品ばかり・・・。そんな鶴田監督が初めて挑むラブコメ、どうなるかは見てからのお楽しみ!そして、あいちゃんの天然ぶりも去年夏の撮影時より「ガチバカ」などに出演し、自分に自信を持ったのか、かなりコントロールして出せるようになってて、ズルいけど憎めないキャラを自然に演じている。見物は野球部4番という、かなり男らしいはずの矢部のナヨナヨぶり。本編の中ではちょっとしか出て来ないこの矢部というキャラクターを海老澤君が非常に愛すべきキャラに演じてくれている。
 鶴田監督念願の全編ハンディという撮影方法も、このロケーションの多さに対応するには小型ビデオ撮影ならでは・・・・。軽快なテンポの楽しい作品になっているのは言うまでもない。これを見てると「夜のピクニック」の細かいシーンも楽しめるのでは?

『ピクニックの準備』その3

 4/23、渡辺孝好監督によるさくら篇。全て北高にモデルとなっている水戸一高で撮影。
 今回は現実の世界と想像の世界、回想が入り交じるという複雑な構成。
 しかし、前日夜に降って湧いたような不安な出来事が・・・。そうなんです!撮影のメインシチュエーションの体育館が、本来なら午後から使えるという話が、バトミントン部の練習試合で5時までは使えないという事態に・・・。急遽、昼間のうちに撮らなければならないシーンを部活の始まる9時前を目安に撮影する事にさくら役の近野成美ちゃんと校長先生役の田山涼成さんにお願いして中盤のシーンから撮影。今思うとタイトの撮影スケジュールの中、このシーンを朝の時点で撮り終えられたのは不幸中の幸いか。
 その後、校長室前、廊下、倉庫と撮影は進んで行く。こんなタイトなスケジュールといえど、渡邊監督は演技に妥協する事無くテイクを重ねていくが、撮影はテンポ良くすすんで行く。この落ち着きと決断力の早さはベテラン監督のなせる技なのだろう。それに加えて、この日だけ助っ人として入ってもらった助監督の山本氏の仕切りが素晴らしい。監督にプレッシャーをかける事無く、自らの判断で次の準備を進めているところなどは数々の激戦をくぐり抜けてきた敏腕助監督ならでは。
 そして、その後も渡り廊下、回想シーンの卓球部の練習など昼間のうちに撮らなければならないシーンは目白押し。この話の肝になる部分は、さくら役の近野成美が30年前の手紙を読む事でその手紙の書き手A子と一人二役を演じ、回想シーンや想像の世界を行ったり来たりするという複雑な展開。それに伴って、森役の大津君らも30年前の生徒との一人二役を演じている。撮影しているスタッフですら翻弄されて来る。
 そして、体育館地下倉庫でのファーストシーンを終え、メインイベント体育館での再現舞台。ここは体育館のディテールを残しながら別世界に見せたいという希望から水銀灯を点けた状態で、それが薄暗く感じるまで絞りを入れていくという手法をとっている。そのため、照明の光量は想像以上に必要になる。照明の古野もそれを見越して事前にセッティングを組んでいたためスムーズに撮影が始められた。今日中には帰らなければならないという田山さんのシーンを先に終え、高校生達のシーンに・・・。
 撮影終了は0時半。その後、撤収に1時間半かかり2時過ぎに学校を出られた。「あ〜あ、翌日撮休だったらなぁ・・・」という全員の思いに反して翌朝7時出発!良かった、3時間くらいなら寝れる・・・

『ピクニックの準備』その2

4/22、井坂聡監督による「千秋篇」。
水戸近辺の大井神社でのロケ。これが落ち着いた良い場所・・・しかし、問題なのは石段が129段もある。トホホ・・・。
午前中に石段の下のシーンを終わらせ、上の境内まで・・・。幸いにも機材は車で上まで運ぶ事が出来た。千秋の連れている犬のダイもようやくお疲れさま。実はこの犬、実際の神主さんの飼い犬。動物の撮影は気まぐれで悩ませられるが、とりあえず順調と行ったところか?
ここで神主役の若月君の登場。若槻君は吉本所属のお笑い芸人、兄弟漫才で活躍中もドラマはこれが初めて。登場のシーンの格好はかなりインパクトあるので配信をお楽しみに・・・。
その後、社殿の中のシーン。正座続きで千秋役の松田まどかチャンもさすがにギブ・アップ。それでもなんとか順調に進み日没までには撤収。
でも、これでは終わりにしてくれないのが厳しいところ。撮影終了後に県庁に行き長澤組のエレベーターのロケハン。撮影的に難はあるものの撮影日も迫っている事から狭さは撮影方法でクリアする事に・・・
ホテルに戻り渡邊孝好監督と打ち合わせ。本来なら午後から使えるはずだった体育館が夕方までバトミントン部の練習試合があるという前情報。どうするんだ〜!明日・・・
次回に続く・・・

『ピクニックの準備』その1

またしても水戸に行ってきました。もちろん『夜のピクニック』関連です。
今回は、映画公開に先駆けて『ピクニックの準備』という9本のショートドラマを撮るために行ってきました。この9本、『夜のピクニック』のメインキャストたちそれぞれの前日の話を掘り下げるというものです。これを見とくと映画本編がよりいっそう楽しめるという、各キャラクターの掘り下げ方がされているんです。
そして、それ以上にこの9本を監督する方々の顔ぶれ・・・、本編の長澤雅彦監督が内3本担当し、チーフ助監督で昨年『ヘアスタイル』というオムニバス作品で監督デビューした宮野雅之監督が2本、残り4本は『G@ME』『破線のマリス』などの伊坂聡監督、『居酒屋ゆうれい』『ショムニ』などの渡邊孝好監督、『リング0バースデー』『予言』などの鶴田法男監督、『SHINOBI』『イノセントワールド』の下山天監督といずれも第一線で活躍しているバリバリの映画監督の方々ばかり・・・。ニューヨークに行くと言っている長澤監督の杏奈篇を除いて、8本は全て私が撮影する事になっている。しかも、これだけの本数を撮影するわけですから一本ごとの予算も自ずと限られる。「どうする・・・オレ!」といった感じのまま4/21の昼には水戸行きのロケバスに乗っていました。

大丈夫なのか? 乞うご期待・・・

またしても水戸に行ってきました。もちろん『夜のピクニック』関連です。
今回は、映画公開に先駆けて『ピクニックの準備』という9本のショートドラマを撮るために行ってきました。この9本、『夜のピクニック』のメインキャストたちそれぞれの前日の話を掘り下げるというものです。これを見とくと映画本編がよりいっそう楽しめるという、各キャラクターの掘り下げ方がされているんです。
そして、それ以上にこの9本を監督する方々の顔ぶれ・・・、本編の長澤雅彦監督が内3本担当し、チーフ助監督で昨年『ヘアスタイル』というオムニバス作品で監督デビューした宮野雅之監督が2本、残り4本は『G@ME』『破線のマリス』などの伊坂聡監督、『居酒屋ゆうれい』『ショムニ』などの渡邊孝好監督、『リング0バースデー』『予言』などの鶴田法男監督、『SHINOBI』『イノセントワールド』の下山天監督といずれも第一線で活躍しているバリバリの映画監督の方々ばかり・・・。ニューヨークに行くと言っている長澤監督の杏奈篇を除いて、8本は全て私が撮影する事になっている。しかも、これだけの本数を撮影するわけですから一本ごとの予算も自ずと限られる。「どうする・・・オレ!」といった感じのまま4/21の昼には水戸行きのロケバスに乗っていました。

大丈夫なのか? 乞うご期待・・・

シンガポールから帰国

一昨日まで約一週間の間、シンガポールに行っていました。
これは毎年恒例になりつつあるCMの撮影のためです。
初めて担当した時はサイパン、次がハワイ、シドニーと続き今年はシンガポールです。シンガポールと言ってもオリエンタルなロケーションを狙うわけではなく「The Regent」というホテルの中にある「The Bar」という世界のベストバー50にも選ばれているという由緒正しい場所らしいのです。
しかし、そういう事もあってか営業に支障をきたすわけにはいかず、深夜の2時から準備を始め翌昼の2時には撮影終了していなければならないというハードスケジュール。しかも、海外のスタッフの中で撮影するという事は気心知れた日本人スタッフの場合と比べ時間はかかるもの・・・。そんな中、最後のカットだけは数十テイクという自分史上最高数かと思われる程のNGを出してしまいましたがギリギリ許される範囲で終了出来ました。
日本からのスタッフとシンガポール&タイの混成チームに感謝しなければ・・・。
でも、海外となると機材などの状況が全く違うものです。今までいろいろな国で撮影してきましたが、機材/人材ともに一番充実しているのがアメリカ(特にロス)。続いてイギリスやオーストラリア、日本も同じような状況で、最近ではタイもだいぶ充実してきています。ところが、それに比べるとシンガポールは機材的には思うように揃わず、タイから持ってきてもらうレンズも必要な程・・・。
東南アジアの中でもシンガポールは最先進国のはずなのに映像を取り囲む状況はあまり芳しくないようです。地元のスタッフに言わせるとCMなどに使うフィルムのハイエンド機器はシェアが少ないらしく維持出来る状況には無いようです。確かに淡路島程度の国土しか持たない国ですから当然と言えるのかもしれませんが、東京顔負けのビル群を有するだけに期待に方が大きかったですね。でも、アジア主体の国際会議が東京からシンガポールに移って行ったように東京の映像レべルをしのぐようになるのも時間の問題かもしれません。うかうかしてられませんぞ〜!

「運命じゃない人」

今日は下高井戸で映画を見てきた。しかもレイトショーである。マイナーのマイナーである。
タイトルは「運命じゃない人」。
普段、自分が関わった以外の映画を見てもブログには書かないのに何故?と思われるかもしれませんが、もう書かずにはいられないくらい衝撃的だったのです。PFFスカラシップ作品という自主映画で評価された監督の長編デビューを支援する企画の第14弾にあたるわけなのですが、この「運命じゃない人」という映画、かなり凄いです。
金曜の夜から土曜の朝までの数時間を、時間軸に沿ってではなく、登場人物の3人の男性、それぞれ視点で追って行くという構成。分かりやすくいうと「パルフフィクション」ような感じです。しかもそれが実に上手く組み上がっている。ちょっと予定調和的過ぎると言えなくもないが、ここまで見事だと秀逸な古典落語のように完成されている面白さに感じる。
既に数々の映画賞で新人監督賞や脚本賞など受賞し、構成の上手さは証明され済みだが、台詞良いし、人の動かし方もチャーミングで演出力もなかなかのものである。

こんな緻密なシナリオを書ける日本の作家が出てきた事を本当に嬉しく思っているのである。
2月下旬にはユーロスペースで凱旋上映との事なので是非見に行く事をお勧めする。

http://www.pia.co.jp/pff/unmei/

初号の感動

1/20にとうとう映画「夜のピクニック」の初号を迎えることが出来ました。
映画って零号という形で初めて映画としての体裁をなすわけですが、それで色など狙いと違っていたところを修正して初号となるわけです。初号の試写には何を置いても駆けつけたかったのですが、だいぶ前から決まっていた撮影があり、24日にも初号を上映してもらう事に・・・。
いや〜!感動しました。自分が撮ったという事は抜きにしても良い映画です。残念な事に公開はまだ半年以上先なんで、これ以上は触れないようにします。
しかも、この日は主演の多部未華子ちゃんがブルーリボン新人賞を「青空のゆくえ」「HINOKIO」などで受賞したのが発表された日。
勢いづいて私を含め長澤監督ら4人で、丁度仕事が終わったという編集の掛須さんのもとへ・・・
井荻の飲み屋を2件ハシゴして掛須さんの会社であるJ-FILMに戻り結局朝4時まで飲んで帰宅。
初号の感動を満喫しました。