龍ヶ嬢七々々の埋蔵金1 / 鳳乃一真

龍ヶ嬢七々々の埋蔵金1 (ファミ通文庫)

「バカにされるより、言えなくなるほうがもっと嫌だからだ」

第13回えんため大賞<大賞>『龍ヶ嬢七々々の埋蔵金』です。

人工島『七重島』を創り上げた天才集団をまとめた、龍ヶ嬢七々々。
彼女が生前に残した不思議な力が宿る宝物、通称『七々々コレクション』をめぐる話。

完成度が高く、とても面白かった。大賞なだけはある。
主要キャラクターはしっかりとキャラが立っているし、設定を説明する流れも自然で、物語に入り込みやすかった。

なにより、宝をもとめて島に存在する遺跡探索するところが私にはヒット。
想像するような遺跡ではなかったけれども、とてもワクワクしました。

物語のテーマもライトノベルらしくていい。
登場する何人かのキャラは、人に話したら荒唐無稽すぎて笑われてしまうような夢を平気で口にします。
彼等はそれが難しく、普通の人からしてみたら恥ずかしい夢だとわかっています。
だけど、それをバカにする行為こそが悪だといい、自分の信じる道を突き進み、足掻く彼等の姿はカッコいい。
こんな世の中だからこそ、夢に向かって突き進むキャラクターは輝いてみえる。

今まで魅力があったキャラクターの多くは、バカらしい夢を真剣に語ってそれに迷うことなく突き進むキャラだったな、と改めて思いました。

かつて自分が歩んできた道を信じられなくなって、家業を継ぐことをやめた主人公。
そんな彼が、天才『龍ヶ嬢七々々』を殺した犯人を見つけるという目標を見つけました。
まだ自分の夢を探しきれていない彼ですが、犯人探しをする中で、でっかい夢をみつけてくれることを願います。

主人公の親父をみてると、夢を見るのに歳なんて関係ないんだと思い知らされました。


何はともあれ今後が楽しみな新人がまたひとりデビューしてきて嬉しい。
2巻が3月に出るようなので、今から楽しみ。