森の魔獣に花束を / 小木君人

森の魔獣に花束を (ガガガ文庫)

「僕はあなたと、青い薔薇が咲くのを見たいんです」

跡継ぎの試練のために、青い薔薇を取りに禁断の森に来た少年は、そこで半人半植物の魔獣の少女と出逢う。
幸いにも食べられずに済んだものの、逃げられなくなった少年だったが、家にいたときよりも安らげている自分に気づく。
絵や歌と自分の知らなかった世界を見せてくれた少年に次第に惹かれていく魔獣の少女。
そんな二人の関係は長く続くはずもなく…。

ガガガ文庫4月の新刊、『森の魔獣に花束を』です。
ふたりがお互いに惹かれていく心理描写がとても丁寧に描かれていて、この二人の空気にいつまでも浸っていたく、読み終えるのを躊躇いたくなるくらい素敵な物語でした。

守れてばかりいた男の子が女の子のピンチに奮い立つ様ってやっぱり好きだな。
これぞボーイミーツガール。

終盤展開は驚いたけど、綺麗に終わって大満足。
エピローグが本当素敵だった。

紅玉いづきさんの『ミミズクと夜の王』や昨年出た『雨の日のアイリス』といった、童話系の物語が好きな人に勧めたい。