やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。 7 / 渡航

やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。 / 7 ドラマCD付き限定特装版 (ガガガ文庫) やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。 (7) (ガガガ文庫)

「……あなたのやり方、嫌いだわ」

ガガガ文庫3月の新刊『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』の7巻です。

今回は修学旅行を舞台に、葉山の取り巻きの一人、戸部の恋愛成就をサポートする話。
修学旅行かつ、奉仕部の活動のためもあってか、いつも以上に八幡とゆいゆいが一緒に行動してて、読んでて楽しかった。
端から見るとどう見ても付き合ってるようにしかみえない。いいぞ、もっとやれー。

この巻の話の主軸は、告白をきっかけに今の関係が壊れてしまうことを許容できるかという点。
居心地がいい今の状況を壊したくないという、葉山、三浦、海老名。
葉山との会話の中で、想いを伝えることが本当に正解でないと思ってしまった八幡。

大事だから、失いたくないからこそ、自分の気持ちに嘘をつく。
彼等の想いがそのまま自分にも当てはまると悟ってしまい、踏み込まないことを是としてしまったところには、残念だけど八幡らしい。

しかしこれで、八幡と雪ノ下、由衣との関係もしばらくの間停滞しそう。
思えば、今回の対応は雪ノ下さんはお気に召さなかったようでさらに軽蔑されたような気もするけど…。
ラストの見開きイラストの雪ノ下さんの目は怖すぎた。
八幡が今の関係を壊してでも、変わりたいと願う日は来るのだろうか。

修学旅行も終わったので、次は冬休み編になるのかな?
物語も後半戦とのことですが、さてさて比企谷くんの青春ラブコメはどうなっていくのだろう。
春から始まるアニメも含めて楽しみです。

悲痛伝 / 西尾維新

悲痛伝 (講談社ノベルス)

「でもまあ、高度に発達した科学が魔法と区別がつかないように、魔法は高度に発達した科学と区別がつかないもんだしね」

突如として三百万人もの人が消失した四国。
四国で今なにが起きているのか?
英雄、空々空が調査に向かう。

伝説シリーズ2巻目、『悲痛伝』です。

登場人物達があっさり死んでいくところが、戯言シリーズを思いだす。
慎重に行動してる割に、ここまで連続してピンチに陥るってなかなかいない。
どんな絶望的な状況に落ちようと、決して生きることを諦めないその執着さが読んでて面白い。

誤解を解く能力の低さが彼の欠点と作中で明記されてたけど、ぶっちゃけのあの状況じゃ、誰でも誤解は解けないと思う。
特に「ストローク」と遭遇したときの状況は弁解の余地がまったくない。
「一難去ってまた一難」という言葉は、まさに彼のためにあるような感じでした。

しかしまあ、これだけのページ数の割に話が遅々として進まないとか、完全に予想外でした。
最後ページにもあるように、あれだけの危機があったのにスタート地点から動いてないってすごい。

「悲惨伝」、「悲報伝」、「悲業伝」とシリーズ化が決定しましたが、今回の「四国大戦編」はどのあたりで完結するんだろう。
「悲惨な少年と飛散する少女達」という、またとんでもないキャッチフレーズのつけられた「悲惨伝」が今から楽しみです。

ビブリア古書堂の事件手帖 4 〜栞子さんと二つの顔〜 / 三上延

ビブリア古書堂の事件手帖4 ~栞子さんと二つの顔~ (メディアワークス文庫)

「本当に嫌いかどうか、自分でも分からないことだって、あるんじゃないすか」

メディアワークス文庫2月の新刊「ビブリア古書堂の事件手帖」の4巻『栞子さんと二つの顔』です。

今回は江戸川乱歩を題材にした長編。
閉ざされた金庫を開けるために、大輔と栞子さんの二人が奮闘。

前回揉めたヒトリ書房の人をはじめ、いろんな人が絡んでいてこれまで以上に面白かった。
あの展開は予想外だったけど、読了後改めて、サブタイトルを見てハッとさせられた。

今回はついに失踪中の母が登場。
母娘の確執は想像してた以上に深く、結構衝撃だった。
栞子さんって根に持つタイプですね。
この二人が和解する時はいずれ来るんだろうか…。

母親からつきつけられた選択に対する、栞子さんの答えはなかなか素敵だった。
大輔が思っている以上に、距離は縮んでると思う。

二人のデートシーンがダイジェストだったのが少し残念だけど、大輔頑張った。
次回が楽しみだ。

命の後で咲いた花 / 綾崎隼

命の後で咲いた花

「私は命をかけて、あなたのものになりますね」

綾崎隼先生の最新作『命の後で咲いた花』です。

一見すると、ごく普通のラブストーリー。
しかしそこにはちょっとした仕掛けが。

要所々々に見え隠れする伏線で早めに気づいてしまったせいか、あのシーンのインパクトはちょっと薄かった。
だけど全体的にいい物語で私は好きだな。

同じ想いを継いだ二人が出会う奇跡。
ふたりのやりとりは読んでいて楽しかった。
絶望的な物語のはずなのに、読後感は爽やかでした。

綾崎さんの恋愛物は切ないけどやっぱり好きだ。
次の作品もまた楽しみ。

ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 2 / 大森藤ノ

ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 2 (GA文庫)

『神様、僕は……それでも、あの子が今困っているなら、助けてあげたいです』

GA文庫2月の新刊から『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』の2巻です。

確信した。このシリーズすごい好きだ。

なにより登場人物たち同様に、私自身が主人公ベル君に惹かれたのがこの巻を読んでよりハッキリした。
憧れの人に早く追いつくために、日々努力していく愚直さ。
だけどちょっと危うい彼の行動が、こう見守ってあげたくなるという…。
アドバイザーのエイナさんやフレイヤの感覚がよくわかる。

この巻ではそんなベル君に新たな出会いが訪れる。
サポーターというちょっと聞きなれない役割にスポットを当てた話。
ダンジョンを冒険するにあたって、四次元ポケットのような便利なアイテムが無い限り、アイテム回収係という専門とするポジションがあってしかるべきだなって読んで実感しました。

ところどころ、ベル君の行動にはヒヤヒヤしたものの、いい話だった。
特に5章のラストシーンとかグッっときた。
ベル君のお人好しっぷりはわかってたけど、ここまで来ると逆に気持ちがいい。

リリ救出シーンなんてカッコ良すぎ。
自分がされた優しさを他の誰かに返すことができる、ベル君にみんなが惹かれていくのもわかる。

人間関係も徐々に進展していって面白い。
エイナさんが、ベル君に対する気持ちに気づいたり、憧れのあの人も、すれ違いを繰り返したせいか、徐々にベル君のことが気になりはじめてる様子。
彼の知らないところで着実にハーレムっぽくなってて、神様が嫉妬でヤバイ。
ベル君がステータスを上昇させるたびに不機嫌になる神さまは可愛いなー。
今回はあまり出番が無かったけど、次回は増えるといいな。

今後の展開が非常に気になる。
早く次の巻が読みたいです。

ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか / 大森藤ノ

ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか (GA文庫)

「僕がキミを勝たせてやる、勝たせてみせる」
「……」
「今、君は自分のことを信じてやれないかもしれない。なら代わりに、君を信じているボクを、信用してやってくれないかい?」

主人公は冒険者になったばかりの少年ベル。
出会いを求めるために冒険者になった彼は、ダンジョンで一人の女性と出会いを果たす。
だが、その出会いは最悪だった。

冒険者アドバイザーのエイナさんから、女性は強くて頼りがいのある男の人に魅力を感じると聞いた彼は、
自身を鍛えるために、奮闘する。
そんな彼に発現したスキルは「成長速度の加速」という珍しいものだった…。

第4回GA文庫大賞、大賞『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』です。

ダンジョンを舞台に一人の少年が成長していく物語。

大賞とだけあってなかなか読み応えのある話でとても面白かった。
なにより、世界観がすごく好きなのと、主人公の純朴さというか一途さがとてもいい。
しっかりと努力して成長していく物語なのも自分の中でツボだった。

彼の主神である神様ヘスティアとの関係もなかなか面白い。
ベル君の憧れの人に嫉妬するところとか可愛い。
普段助けてもらっているベル君のために、友人に頼み込んで専用武器まで作ってもらったりと、健気すぎる。
こんないい子がいるのに、片思い相手は違うっていうのがまた泣ける。

そんなベル君もまたフレイヤという、とんでもない女神に目をつけられたものだ…。
今後もちょっかいかけてきそうで不安。
だけどいろんな試練を経てベル君がどこまで強くなるかが、とても楽しみ。

アクセル・ワールド 13 ―水際の号火― / 川原礫

アクセル・ワールド13 ―水際の号火― (電撃文庫)

「…………おかえり、カレン」
「………ただいま、ロータス

電撃文庫2月の新刊『アクセル・ワールド』13巻です。

アルゴン・アレイの乱入でピンチに陥ったところを、エレメンツの一人「アクア・カレント」さんが助っ人に来てくれたところからの続き。

今回はメタトロン攻略直前の溜め回といった感じでした。
とはいえ、「アクア・カレントのネガビュ復帰」「領土戦」「文化祭」と内容は結構盛り沢山。

カレンとハルユキとのただならぬ雰囲気に嫉妬する黒雪姫先輩には笑ってしまう。
特に今回は彼女だけに留まらず、いろんな人に対して嫉妬してるから面白い。

でも、まあハーレムすぎるよね、ハルユキ。
文化祭で、黒雪姫先輩とチユを除いた6人の女性を引き連れちゃうし、その結果、冒頭のカラーイラストがすごいことになってました。
その理由も、ニコから説明されてましたけど、まあなんとなくわかる気もします。

しかし日下部倫になってからアッシュさんのヒロイン化が止まらないですね。
これは移籍フラグが正式に立った?


七王会議を前に急遽開始された「ISSキット本体破壊作戦」は、赤の王とパドさんも加えた豪華メンバーで実施されることに。

その中でただ一人、二つ名が無かったタク…。

情報・分析担当のアクアさんが復帰したし、サーベラスもなんか後々仲間になるフラグが経ってるし、
遠くない未来にハルユキとの友情まで、彼に持っていかれそうな気がしてならない。

本格的にポジションがなくなってきたよ、やばいよ。
誰か彼を救ってあげて。

次回は「ISSキット本体破壊」とその前哨戦の「アクア・カレント救出」と今からものすごく楽しみ。