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12月20日付けの相棒の日記を読んで、「それじゃあ潜水艦(詳しくはこちら)改め幽霊船だよ。俺はそんな不吉な部屋に寝泊りするのは御免だぞ」と思いましたが、よく考えたら、私自身、“死者”と3ヶ月間、寝食をともにしたことがあることを思い出しました。
私が「Oceanchild」を撮った時のことです。1月から3月という厳冬期の長期ロケで、札幌からの移動も困難なため、滝川市内にアパートを借りて合宿生活を送ることになりました。部屋探しには骨が折れましたが、随分と条件のよい物件を見つけることが出来ました。大家さんはとても親切で、短期入居なのに嫌な顔一つしません。
なんでも、この物件、ちょっと“訳あり”で、前の入居者のおじいさんが、家賃を滞納して、家財道具もすべて置き去りにして夜逃げしたそうなのです(そのおじいさん、フィリピン人の“恋人”のアパートに転がり込んでしまったんだとか)。大家さんは家財道具の処分も含めて、どうしたものか頭を悩ませていたのですが、短期間であれ入居者が決まって、ほっとしたようです。「引越しまでには家財道具は物置に移動しておくよ」とのことで、“訳あり”の部屋ともう1部屋の計2室を借りることにしました。
で、引越しをしたのですが、おじいさんの荷物らしきものは押入れに詰め込まれたままです。契約から入居までの日数が短かったので、大家さんも物置にしまう時間がなかったのでしょう(それとも単に面倒臭かっただけ?)。よくよく見ると、仏壇まであります。「こんなもんまで置いてっちゃったのか」という感じで、「まさかな」と思いつつ、何気なく仏壇を開けてみると、
げっ! 位牌まで置きっ放しです。おばあさんのものらしく10年以上前に亡くなったようです。嫌なものを見ちゃったなあという空気でしたが、心霊とか怪奇現象に人一倍敏感なKが、おそらく何か感じるものがあったのでしょう、仏壇のすぐ脇にあったみすぼらしいダンボール箱を押入れから出し、青ざめながら中を開けました。
ひえっ! Kの悲鳴が部屋に響きます。見ると小さな骨壷です。皆で丁重に手を合わせてすぐに元の場所に戻しました。おばあさんの人生の哀れと人の世の非情を思い、何となくしんみりとした引越しになってしまいましたが、さすがに、後日大家さんにお願いして、どこかに移してもらおうということになりました。
が、いざクランクインするとそれどころではありません。そのうち、「考えてみたら、仏壇なんて、貸してくれってお願いしたって借りれるもんじゃないよなあ」という強引な話になり、折角だからと急遽、仏壇を使った場面を書き足すことなりました。主人公が多重債務者のアパートに踏み込むと、そこにはほかの債権者が居座っており、既にもぬけの殻の部屋には、仏壇がだけがぽつんと取り残されているというシーンです。神仏をも畏れぬ、随分と不謹慎な話です。
結局、その部屋は私だけが使い、3人の仲間たちは別の部屋で寝泊りしました。私が一人になれるようにと気を使ってくれたようなのですが、本当のところ、気味悪くて近付きたくなかったというのもあったんじゃないか?
コンテを書いたり、シナリオを直したり、編集したりと、夜中まで一人で作業をすることが多かったのですが、霊感のまったくない私でも、時にはひやりと背筋が寒くなることがありました。そんな時には、心の中で合掌したものです。「こんな寒い夜に外に出されるよりはましでしょ」と。
東京で珍しく雪が降る夜などに、ふとあのアパートの寒々とした部屋を思い出し、あの仏壇、位牌、骨壷の3点セットは、その後、一体どうなったのかしらと、考えることがあります。物置の中に押し込められ、深々と降る雪に埋もれかかっているのかもしれません。
クリスマス・イブにふさわしい、ロマンチックなお話でした。
23
2006/12/26 02:28
あの極寒のなかの撮影現場でのあなたの執念はやはりなにかに取憑かれていたのでしょうか。南無阿弥陀仏
逃げた社長の愛人
2006/12/26 04:36
仏壇のシーン懐かしいです。そういう経緯があったとは知りませんでした。正直驚きました。ひぇ〜っ
Mr-Blockhead
2006/12/26 21:39
その節は皆様方には、大変お世話になりました。