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2007-08-01

[]羽根むしられて

 先日のこと、短い期間だが札幌を訪れ、私たちの次回作について、相棒と大詰めの話し合いをした。

 当初の私のアイディアは、壮大(でもないが)な三部作構想。共通の舞台は北海道の架空の地方都市「霜川市」。それぞれ独立した作品で、全く異なるストーリー、スタイルをとりながら、主要登場人物がそれぞれの作品に顔を出し、有機的に関連し合う「人物再登場法」を駆使した中短編群。ところが……。

 物語上の様々な伏線が張られ、三部作の中核となるべき第一部は「巨大市庁舎の構造設計を請負いながら、強要され、耐震構造を偽装した建築士の苦悩の話」。

 まず、三部作というからには、監督は相棒、私、それともう一人、誰か第三の人物を招聘するという戦略が前提となるのだが、これが絵に描いた餅。間抜けなことに、誰もなり手が見つからない。そして何よりも、プロット段階での周囲の評価が芳しくない。いや、はっきり言おう、かなり悪い。返ってくる答えは、どれも判で押したように、「イマイチ」。あっさり泡沫のように立ち消えてしまった……。

 第二部は「息子のいじめに心を痛める、悪徳ヤミ金業者の葛藤の物語」。今回の札幌訪問に間に合わせるため、苦心して、何とかシナリオを仕上げた。ポイントを押さえた、手堅い出来にはなったと思うのだが、シナリオを読む相棒の表情が冴えない。「悪くない。しかし……」。

 “仕切り”がかなり難しいと言うのだ。学校を舞台にしたシーンがあるのだが、これが致命的なネックになりそうだと。といって、代替となるシーンの書き換えとなると、ちょっと思い浮かばない。“仕切り”の部分については、私も随分と気を付け、ハードルを下げて書いたつもりなのだが、現状の私たちの製作体制、能力を冷静に考えれば、それでもまだ十分に高い、乗り越え難い壁との判断だ。もはや風前の灯火である・・・・・・。

 で、第三部。といっても、ちゃんとしたプロットの形にもなっておらず、雑然とした創作メモのようなものなのだが、「拾った子猫を溺愛する病身のヤクザ、彼が死ぬまでの最後の24時間の物語」。

 一読し、「これで行こうや」と相棒。

 主要な登場人物は男一人、ロケーションも男の部屋一ヶ所。回想と独白で進むストーリー。手元にある、この雲をつかむような中身のメモに改めて目を落とす。はて、どうやって、一つの形に、完成したシナリオにまで持っていったらよいものか?“外的ハードル”こそ下げてはいるが、それゆえに、“内的ハードル”は、絶望的なまでに高くなっているのだ・・・・・・。

 しばしの沈黙の後、相棒が続ける。「今の俺らで勝負を打てるとしたら、これだろう」。

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 「霜川版・人間喜劇」はあっけなく崩壊したが、辛うじて“最後の希望”が残されたということか。

やってやるって

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