読書録

読書整理用のダイヤリーから移行しました19/1/26土~

グローバル・ジャーナリズム 国際スクープの舞台裏 

 
 タックスヘイブンを暴いた新たな「パラダイス文書」について、ICIJ(=国際調査報道ジャーナリスト連合)の国際調査報道に参加した各国のメディアは、日本時間の11月6日午前3時に一斉に速報した。

 ICIJによる去(2016)年4月4日報道解禁の「パナマ文書」について、著者も共同通信から参加したメンバーとのことで、舞台裏について、第一章で詳しく解説している。日本からはこのほか、朝日新聞と後にNHKが参加し、大量のデータ分析に取り組んだという。p29

 
発刊した岩波書店のサイト→ https://www.iwanami.co.jp/book/b281718.html


 いくつかポイントを備忘録として引用を以下に。
◇(グローバル化するニュースで各国で連帯することについて)「人々を知っていること」の大切さを強調…プロの取材は結局、人間と人間のコミュニケーションによってこそ成り立つことを改めて思い知らされる…国境を越えるグローバルなジャーナリズムは同時に、地元記者によるローカルなジャーナリズムに立脚している。p73+<デジタル時代こを足で稼ぐp186>情報を見つけるには情報源を作ること。それには、可能な限りランチをするんだ。毎日することもある。週に数日以上はランチをする」

◇(困難と思われるインタビューをするには)「人間らしく、そして正直に」ABCのシンディ・ガリが強調。記者として何を聞きたい
のか、どうして世の中の人はこれを知るべきなのか。誤魔化さず自分の言葉で説明することp182

◇(実名報道)「ニュースは歴史の第一稿」(ワシントン・ポスト元社主フィリップ・グレアムの言葉)という格言は日本では知られず、ジャーナリズムは、ジャーナル、つまり記録であり歴史であるということはさほど意識されない。固有名詞を欠いた記録は検証や調査のための用をなさず価値の大半を失うp226

◇オックスフォード大学ロイタージャーナリズム研究所が毎年出す『デジタルニュース報告書』、世界26カ国で実施したインターネット調査に基づく。日本で主要ニュース源として使われているのは、従来型メディアでは、NHKニュースがトップで、回答した2000人のうち25%が答えた。そのあと、民放テレビや新聞が続く。ネットでは「ヤフーニュース」が49%と一人勝ちp229

◇「報道実務家フォーラム」でネタの取り方教える、2010年3月に第一回、共同通信の大田昌克編集委員が「核密約」スクープ(非核三原則の持ち込ませずに反し黙認することを外務次官が引き継ぐ2009年5月)どうやって取材したか…すでに公開されている文書や書物を丹念に調べ、関係者に取材するp237

◇調査報道NPOの動きで、「アイ・アジア」( ⇒ http://npo-iasia.org/aboutus/ )と「政治資金センター」( http://openpolitics.or.jp/outline.html )も発足、ウェブサイトで政治資金報告書を誰でもみられるようにして、民間の力でより広く保存・公開する。



 なお、パラダイス文書については、朝日の特設ページ『疑惑の島』⇒ http://www.asahi.com/special/paradise-paper/
 NHKスペシャルの放送予定『追跡 パラダイスペーパー 疑惑の資産隠しを暴け 2017年11月12日(日) 午後9時00分〜9時49分』⇒ https://www6.nhk.or.jp/special/detail/index.html?aid=20171112

 
{2017/10/30-31読了、記入は11/11土}