DOMA/道南の家 設計 vol1 「初めまして。」

昨年、道南で平屋の住宅”DOMA”が竣工した。自分も好きな住宅を設計する
ことができた。その過程は「設計とは?」を紹介するに適当な事例になるのでは
と思い、また記録として整理したいと思う。


※一つの事例として読まれる方の参考になれば幸いです。


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はじまりは2005年の春、まだ雪の残る頃。住宅の依頼を受けて、クライアントに
お会いすべく現地、道南の地を訪ねる。

その敷地の印象は忘れられない。函館山が一望できるパノラマが壮観だった。
遮るものなく真正面に景観を楽しめる広がりとは北海道でもそう出会えるもの
ではない。広すぎて怖くなる程だった。


初めてお会いしたクライアントご夫婦は優しく、おおらかで親切な方々であった。
滞在の間とても居心地よく過ごさせて頂いた・・・。


設計の始めは様々なことをお聞かせ頂く。敷地のこと。家のイメージや大きさ、
部屋の数、水廻りについて。予算や工期などの基本的な条件を確認させて頂く。
ついで、来客の頻度や持ち込む家具類、将来像、好みの家、スタイル、デザイン
等をざっくばらんにお聞きするかもしれない。

本当に欲しい家とは?この正解のない姿を求めることこそ設計なのだとと思う。
ともかく色々なことをお聞きする。まったく関係なさそうなことも、無駄とも思
える事も些細な事柄も。どこにヒントが隠されているのか分からないので。


普段の生活日課や休日の過ごし方かもしれないし、落ち着いた夜の過ごし方、
趣味。好きな音楽や映画、本。都度、色々探し回る。夢や希望と現実と記憶や
思い出、どんなことでも屈託無くお話頂ければといつも願う。


DOMAではその敷地の存在感が圧倒的だった。またクライアントのこの場所へ
の強い想いと理解、そしてお二人の優しさやおおらかさが印象的だった。
なにより「終の棲家」であること。これが明白でもあった。




※設計事例として”DOMA”(写真集に掲載)、その過程を紹介しております。

DOMA/道南の家 設計 vol2 「考える」

紹介建築の最大の条件は”場所”。その可能性をどこまで引き出せるのか?
観察し、理解を深め、可能性を探る。敷地なしでは何も始まらない。



”予算”、最も現実的な条件となる。予算内でなければ全く無意味となる。
どれだけ適切な計画が出来るのか?・・・得意とは言えないが。



そして”要望”、求めること。この3つから建築は考え進めることが出来る。



始めに敷地を描き出す。次いで予算を勘案して建築可能な規模を算定し、
先ず”ヴォリュームの計画”を始める。敷地をどう利用するのか?建物を
どう配置するのか?大まかに眺めるながら適切なカタチを無作為に探る。



同時に室内の計画も大まかにスタートする。居室やその大きさか、各室の
性格・・・パブリック(公的)な居間や玄関やプライベート(私的)な寝室など
をどうレイアウトするのか?”ゾーンニング”を行う。



肝心なのは答えを急がないこと。可能な限り様々なパターンを検討する。
効率の良いものも悪いものも見つかる。この段階ではむしろより遠回りし
より多くの様々なパターンを模索する。



最も考え込むのはそのイメージ。お聞きしたカタチには直接結びつかない
ものの中に多くはヒントが隠されている。”DOMA”の場合、自分は敷地に
魅了されていた。そしてクライアントの大らかで優しい様にも感じ入っていた。
幸運にもこの2つは密接に関係ているように思われ、生活のイメージが明瞭
になるのを感じた。素直にこれをカタチに導く。



・・・どうカタチにするのか?いつもこれだけは難題中の難題。



※設計事例として”DOMA”(写真集に掲載)、その過程をしております。